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コネタ


コネタ244
 
玄米を人力で精米してみた

普段、玄米を食べている。
正しくは玄米に胚芽米と麦をミックスさせたものだが、これはこれで慣れるとウマイ。黒パンのような滋味がある。でも、たまに白米を食べると「やっぱりおいしいなぁ。贅沢だなぁ」と思う。

先日「新米をもらったから少し送る」と、実家から米が送られてきた。玄米と白米の2種類だ。「これ(玄米)を精米するとこれ(白米)になるのかー」としげしげ眺めていて、ひらめいた。

戦時中のニュース映像で、一升瓶に入れた配給米を棒で搗いているのを見たことがあるが、実は一度やってみたかったのだ。米は精米したてが最もウマイということだし、いい機会なので実際にやってみました。

高瀬 克子

用意するもの

まずは玄米。それを搗くための太い菜箸。そして家に転がっていた日本酒の空きビン。用意したのは以上の3点のみ。


一升瓶は入手できず
約1合分を入れてみました

ではさっそく搗いていきましょう。

■10分経過
早くも飽きた。なんせ、腕を上下に動かしているだけなのだ。あまりに作業が地味すぎる。「少しは変わったかな?」と瓶を覗きこむも全く変化は見られない。不安だ。本当にこれで精米されるのか?


なぜか正座が一番しっくりきます
それにしても飽きる

■30分経過
底の方に糠(ぬか)がたまってきた。おお! 少しは白くなったかと、黒い紙の上に広げて比べてみたのだが、悲しいくらいに差が分からない。…長期戦を覚悟した瞬間だった。


糠は確かに溜まっているのに
左が元の玄米。右が搗いた米。30分でこれか

ああ、誰か話し相手が欲しい。しかもその相手には同じ作業をしていてほしい。そしてお互いザクザク搗きながら「スープカレーってうまいよね」とか「ギター侍ってどう思う?」なんていうくだらない話をしたい。そうすれば、少しは楽しい作業になるハズなのに。


体勢崩れまくり
グレた心が姿勢に反映されたか
それも飽きたらまた正座

■1時間30分経過
一体、あと何時間続ければいいのだろう。なんとなく自分のことを「初めて道具を手にしたチンパンジーみたいだな」と思いながら、延々とテレビを見続ける。…ザクザク、ザクザク。


糠がどんどん溜まってきました
お、なんか白い部分がないか?
表面が剥げてきてます

■3時間経過
菜箸を握るのがツラくなってきた。なにか他にいい棒はないか…と押入れを覗いた瞬間、なんとドラムスティックを発見! これは以前、知りあいのドラマーに貰った物だが、すっかりその存在を忘れていた。「キミのような即戦力を求めていたんだよ!」と、さっそく菜箸とチェンジ。


まさかこんな時に役立つとは
あつらえたかのような太さ&長さ
脳内ドラムソロで搗きもリズミカルに

■4時間経過
ドラムスティックに替えてからとても快調だ。よもやPearl社も、米を搗くために自社製品が使われているとは思いもよらないだろう。糠がどんどん溜まっていくせいか、「ザクザク」だった音が「ズゴザッズゴザッ」と、重低音の効いたサウンドに変わってきた。


白くなってるんだろうか
糠が邪魔をしてよくわからない

■5時間経過(終了)
もう十分だろう。たとえ白くなってなくても構わない。いい加減、腕が痛い。肩も痛い。もうやめたい。…やめよう。

昔の人は本当にこんなことをしていたのだろうか。しかも一升瓶で(一升瓶が手に入らなくて本当に良かった)。やってみて分かったが、これはえらい重労働だ。それほどまでに白米が食べたかったのか。…食べたかったんでしょうなぁ。

白米が御馳走だった時代に思いを馳せつつ、いよいよ作業は大詰めを迎えます。果たして、どれくらい白くなってるんでしょうか。


米をザルにあげる
糠、サラッサラ

コメに湧いた愛情
まとわりついていた糠をキレイに洗い流し、普通に研いだ。
…なんと、白くなってます!


3つ並べてみた(まん中が搗いた米)

接写で比べるとよく分かる。あ、これって、もしや胚芽米か?

胚芽は残っているものの、筋のように付いていた糠はキレイに取れている。すごい。ああ、米の一粒一粒が愛おしい。コイン精米機じゃ、こうは思わなかっただろう。さすがに「真っ白!」とまではいかなかったものの、なんといいますか、わりと感動しております。

もったいなさのあまりこのまま保存したいほどだったが、さっそく土鍋で炊いてみた。


いい具合に炊けました

炊きたてを、何もつけずにそのまま食べる。…これ、ものすごく味がありますよ。うまい。玄米にはない粘りもしっかり出てるし、5時間かけただけあってウマさもひとしおだ。そう、いわば5時間分の労働が格好の調味料になっているといいますか。もう一回言おう。5時間だ。しつこいですかね。5時間。

こんな思いまでして少しでも白いお米が食べたかった戦時中の人たちのことを考えていたら、なんで自分が普段玄米を食べているのか、よくわからなくなってきた。まぁ、これからも食べ続けるんですけれども。

最後に「米を搗くなら是非ドラムスティックで」と再度主張して、おわりにしたいと思います。


この糠、どうしようか
 
 

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