デイリーポータルZロゴ
このサイトについて

コネタ


コネタ248
 
森の中に巨大な鳥がいる

沖縄本島の最北端の森には巨大な鳥がいるという。そろそろおわかりかとは思うが風車といいダムといい筆者はなにしろ巨大な物が好きなのだ。どこかに巨大なものがあるという噂を聞くとどきどきしてしまう。それにしても今回は鳥だ。え、鳥?一瞬考えたが、南の島の最北端という南なんだか北なんだかよくわからない場所にも惹かれるところがあって行ってきました。そうしたら本当に巨大な鳥がいました。

安藤 昌教

沖縄本島最北端と鳥

やけに繁盛しているコンビニ

コンビニ大繁盛

沖縄は島とはいえ南北に長いので、那覇あたりから北端まで行こうとすると高速を使っても軽く2時間以上かかってしまう。しかも筆者の車は極端にボロくべた踏みしても90キロくらいしか出ないため高速を走る勇気もない。ということで下道でとことこと北部へと向かうことにした。

途中で立ち寄ったコンビニは駐車場がやたらと広く、しかも広い駐車場いっぱいに車が止まっていた。店内はバーゲンでもやってるのかと見紛うほど客があふれかえっている。何があったのかわからないまま缶コーヒーを買って店を出た。なんだったんだろう、前日あるあるにでも取り上げられたのだろうか。


あ、なんかあったぞ

私事だが最近家のラジカセの調子が悪く音楽に飢えていた。そんな筆者にとって思う存分音楽の聴ける場所は車の中だけなのだ。だから長いドライブだってまったく苦にならない。大音量でレッチリを聞きながら跳ねるようにして(実際車がボロいので跳ねそうになる)一路北部へと向かった。

岬に着くやいなや鳥らしきもの発見

レッチリのアルバムも4、5回繰り返して聴いただろうか、もうおなかいっぱいになった頃やっと本島最北端の辺戸岬(へどみさき)へと到着した。

するとさっそく前方に何か白い像を発見。羽のようなものが見えるがもしかしてあれが噂の巨大鳥なのだろうか。だとしたらそれほど巨大とはいえないと思うのだが・・


巨大な鳥ってこれだろうか

・・ええと、まあ鳥といえば鳥だ。だけどやっぱり巨大とはいえない。

この像には「与論島と国頭村友好のきずな」と記されていた。天気のいい日にはこの像のはるか先の海上に与論島を望むことができる。米軍統治時代には本土復帰を願って与論島との間でのろしを上げあったのだという。ここは深く厳しい歴史のある場所なのだ。


遠くに何か発見。鳥か?

さらに遠くになにか発見

巨大な鳥というのは沖縄の戦争の歴史において大きな意味を持つ鳥、ということではないか。だとしたらまさにこの鳥のことなのかもしれない。

自分の中で強引に完結させようと思っていた矢先、ふと視線を移すと森の中に何か茶色いものが立っているのを見つけた。遠くてよくわからないが鳥のように見えなくもない。もしかしてあれのことか。もしあれが鳥ならばそうとうでかいぞ。期待に胸が膨らむ。


墓、小山、鳥の頭

巨大鳥を目指して森の方角へ車を走らせた。サトウキビ畑を抜けて山に入り、崖みたいな道をうねうねと走ると小高い山のてっぺんに鳥の頭らしきものが見えた。

ちなみに小山のふもとにある家のような建物はすべて墓。沖縄の墓は本土のものとは違い一つ一つが小さな家のような形をしている。もしかしてこの鳥、ピラミッドを守るスフィンクスみたいな役割で墓を守っているのか。期待はさらに膨らむ。


鳥。この写真だけではその巨大さが実感できないと思うのでもう一枚

そして巨大鳥を発見

小山を登る迷路みたいな道を抜けると森の中の巨大な鳥が目の前に姿を現した。

でかい、確かに巨大な鳥だ。しかも質感こそテカテカしているが胴体部分の羽の感じだとか足の皮膚や爪なんかはすごくリアルに再現されている。足元に立つとこのまま動き出すんじゃないかと怖くなってしまうくらいだ。


どーん、手羽。近くで見ると爪とか足の感触とか結構リアルでした

足元でくつろぐ人と比べてみてほしい、この大きさ。鳥は高さなんと11メートル。ラドンとかそういったレベルだ。

この鳥、いわずと知れた沖縄に生息する天然記念物ヤンバルクイナ。森の中にいる巨大な鳥とはヤンバルクイナをかたどった展望台のことだったのでした。

ヤンバルクイナはこの北部の山林に生息する鳥で、夜になると「キョッキョッキョッ」とけたたましく鳴くらしい。だけど山林開発のあおりを受けて絶滅の危機に瀕しているという。自然の美しい場所へ行くと、自分達人間が無意識にでもそれを破壊しているのだということを痛感する。僕達はこれから先もずっとヤンバルクイナにキョッキョッキョッと元気な鳴き声を聞かせてもらえるように自然を守っていかなくてはならないのだ。


鳥の胸から外界をのぞく

無言で訴えかける鳥

鳥の胸の辺りから顔を出しているのは筆者。鳥の内部は階段になっていて胸の展望台まで登ることができるのだ。鳥の胸からは本島最北端の辺戸岬と共に、はるか遠くに与論島を望むことができた。文句なしにすばらしい景色だ。

森の中にいる巨大な鳥というのはその存在もその意味合いも共に大きな鳥のことなのでした。単に巨大なもの見たさに出かけた今回のドライブは、期せずして戦争と平和そして自然保護の重要性までをも考えさせられる非常に意味のあるものになりました。キョッキョッキョッ


 

▲トップに戻る コネタバックナンバーへ
 
 


個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.