先日、東急ハンズの調理用品コーナーをブラブラしていて「燻液」なるものを見つけた。
「くん… えき?」
説明書には《食品に加えるだけで、手軽に燻製がつくれます》と書いてある。どうやらアウトドアの代表料理のような燻製を、煙を出さずに家で簡単に作ることが出来る液体のようだ。そんな魔法のようなシロモノがこの世にあったなんて。知ったからには黙っておれません。買って帰って、いろんなものを燻製にしてみました。
(高瀬 克子)
一体これはなんだ?
この液体、何から出来ているのかと思いラベルを見たものの、書かれているのはたったこれだけ。
サンマを開き、それを浸け込み液に一晩漬けたものを焼いて食べた。「これ燻製か?」と聞かれれば「違う」と答えるしかないが、香ばしさが加わって新しい味になっている。これはこれでおいしい。でも、サンマは普通に塩焼きにした方がおいしい。
おすすめ度★★★
浸けたものをオイスターソースで炒めてみたのだが、牡蠣と燻液がそれぞれ「俺が!俺が!」と主張しまくり、クドさ満点の食べ物になってしまった。工夫すればもっと美味しく化けるような気がするのだが。今回は調理法を間違えました。残念。
おすすめ度★
肉に調味料を揉み込む時に、燻液も一緒に揉んでみた。液に浸け込まず、そのまま焼く。焼いている時の匂いがハムそのもので、「やっぱり燻製は肉に限るのか?」と、いやがうえにも期待が高まったが、浸け込まなかったせいか肉が固く「荒々しさと野性味に溢れたハム」になってしまった。味は普通にうまい。さすが肉。
おすすめ度★★★★
豚肉の反省を生かし、一晩浸けたものを焼いて食べてみた。…これはウマイ! そして柔らかい! 淡白な味のものの方が、ダイレクトに燻液の威力が分かるような気がする。「これスモークターキーです」と言って出されても、たぶん騙されます。ビール進みます。
おすすめ度★★★★★
醤油で煮た卵を浸けるべきだったかもしれない。売られている「くんたま」より随分薄味でサッパリしているが、まぁまぁおいしい。マヨネーズを付けたら更においしくなるんじゃないか、と思いながらも、結局このまま食べてしまった。
一晩浸けた豆腐を焼き、醤油をかけて食べた。コクがあってなかなかの味だが、別にわざわざ燻製にしなくても、と一瞬冷静になる味でもあった。 一方のはんぺんは、すごくおいしい。中にチーズでも挟んだら、きっと最強の酒のツマミになるだろう。
おすすめ度★&★★★★
はんぺんが意外なほどにおいしかったので「もしや魚練り製品と合うのでは?」と、魚肉ソーセージで試してみた。予想通り、マズイはずがない。普通においしい。ついでに言えば、燻製しなくてもおいしい。
今どきのウインナーはどれも立派だ。いかにも「しっかり燻製してまっせ!」と言わんばかりの物ばかり。今回は「本当に燻製したのか?」と問い質したくなるような赤いウインナーを選んでみた。なんというか、ちょっとだけグレードアップしたような味になりました。(ちなみに袋の裏の添加物の欄に「くん液」の表示あり)
おすすめ度★★
手当たり次第に食べてみて「なんでもかんでも燻製にすりゃいいってもんじゃない」という、しごく当たり前のことが分かった。そして“燻製”“燻製”と連呼してきたが、はっきり言って、これは“燻製もどき”だ。“なんちゃって燻製”だ。
でも十分おいしい(材料さえ選べば)。
…と、燻液の肩を持つようなことを言ったそばからナンですが、再び購入することはないと思われます。そして、いつかホンモノの燻製を作りたいです。