以前、沖縄の安藤さんのコネタ「80度のすべり台がある」を読んで、「やっぱ沖縄、違うなぁ」と感心しきりだった私。が、調べてみたらなんと長崎にも同様のものがあった。しかも、それだけでなかった。
とある公園には、なんと高低差26メートル、全長63メートルの「らせん状のすべり台」があるというのだ。
一体なんだそれは? それ、本当に公園なのか?
はやる気持ちを抑えるのが大変な取材だった。
(T・斎藤)
車窓から見たもの
目指したのは、長崎県は長与町にある中尾城公園。
しかし、それにしても。 26メートルと言えば、7階建てのビルに相当する高さだという。一体どんなサイズのすべり台なんだ?
とか考えながら車を走らせていると…!
突如、明らかに日常生活とのバランスを欠いた、巨大なモニュメントのような物体が視界に飛び込んできた。 おかしい。絶対これ、おかしい。 なんなんだこれ。 これがすべり台なのか?
公園の駐車場に車をとめ、歩いて近づいていった。
SF映画か芸術か
「こんな感じの場面あったよ!」 それはまるでSF映画のような光景であった。 映画の場面同様に気持ちが高ぶってくる。 すべり台なのに。
真下に辿り着き、見上げてみる。 下手な遊園地のアトラクションよりスケールでかい。
この大きさ。 この赤さ。 このくねくねさ。
これは芸術作品か?
公園だよね?
すべり台の横には、専用のモノレールもある。 すべり台、モノレールは共に有料で、すべり台は1時間100円、モノレールは1往復100円。 いろいろな面で一般的な公園の概念を破壊している。 (すべり台専用モノレールって何だよ!)
すべり台のチケットを購入すると、受付で「スライダーマット」を渡される。スライダーマットとは尻に当てるマットのこと。これを装着してすべり台の摩擦から尻を守る。
いざ出陣
スライダーマットを装着し、若者らしくモノレールは使わず歩いて頂上まで登った。
小学生くらいの子供達が、走りながら次々と私を追い抜いていく。 「子供は意味もなく走ってるよなー。」 さっきうっかり若者らしくって書いたけど、全然じじくさい。
ブリッジ部分はまるでどこかの渓谷みたいな景観。 かっこいい。 てくてく歩いて滑り口へと向かう。
ようやく辿り着いた滑り口。想像はしてたけど、それにしても高い。真下を見下ろしてみると…。
人間が米粒大。 ジェットコースターじゃないんだから。
私は日頃、説明書の類は何か問題があってからでないと読まないクチだが、さすがにこれは読んでおいた方がいいと思った。
入り口には赤と緑のランプがついており、緑のGOサインが出るまでは滑り出してはいけないらしい。 わかった、そうする。
先に滑ろうとしていた子供に声をかけた。 私:「これ、恐くない?」 子 :「恐くないよ。そんなに速くないし。」
そうか、恐くないのか。
子供は颯爽と滑って行った。 一瞬、彼がなんだか大先輩のように見えた。
次は私の番だ。 緑のGOサインが点灯するのを待って、いざ!!
し、死ぬ゛ーーッ!!
しかし、それにしても恐るべき公園である。
例えば、「今度何作る?」というテーマで会議をしていたとして、そこで私が 「7階建てビルくらいの高さのすべり台とかどう?」 なんて言ったとしても 「バカも休み休み言え。」 と一蹴されるのがおちだろう。
それを実現してしまった人たちに、敬意を表したい。