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コネタ


コネタ262
 
大掃除は高圧洗浄機で

 建物の外壁をきれいにしたい場合、どうしたら一番楽で効率がいいのだろう。筆者は個人的な必要性から家の壁を磨きたくなったわけだが、どうせ年末だし同じような悩みを持つ読者にも何か良い提案ができればと思い検討してみた。

コストがかからないのはタワシと洗剤だが、面積が広いと時間もかかるし腰も痛くなる。なんとかいい方法はないものかと考えていたとき、ある業者の方から素敵な提案を頂いた。

「高圧洗浄機というのがありますよ。」

高圧洗浄。いかにも簡単に汚れが落ちそうではないか。なんて軽い気持ちで借りてみた機械が、実はとんでもない代物だったのでした。

安藤 昌教

塗料業者さんの事務所の奥から重たそうな機械が運ばれてきた

掃除なのに塗料業者

 今回お世話になったのは塗料の専門店。今になって思えば清掃の専門業者でなく、塗料の専門店に依頼したあたりからどこか道を踏み外していたような気がする。

「建物の外壁を洗浄したいんですが、高圧洗浄機ってやつでだいたいの汚れは落ちるんですか」
「うん、大丈夫。だいたい落ちるよ。汚れどころか塗装も落ちる」

聞くところによると、高圧洗浄機という機械はポンプで圧力を高めた水を噴射して汚れを落とすというしくみらしい。いくら高圧とはいえ飛ばすのは水だ。外壁の塗装までもが落ちるとは思えない。ようするに洗車機みたいなやつだろう、と軽く考えていた。しかもこの業者さん、そんな便利な機械を一日わずか二千円で貸してくれるという。筆者の心は決まった。次の日の朝取に行くという約束で予約を入れさせてもらった。


これが噂の高圧洗浄機。セッティングまでしていただきました
高圧洗浄機と対面する

次の日の朝は遠足の日の朝のようにすっきりと目覚めることができた。なにせ今日は高圧洗浄機を借りる日だ。はやる気持ちを抑えつつ、業者さんの事務所へと向かった。

事務所に付いて簡単なリースの手続きを済ますと、さっそく奥の倉庫から大人二人がかりで高圧洗浄機が運び出されてきた。なんだかすごく重たそうだ。初めて目にする高圧洗浄機はなんというかむき出しのエンジンそのものだった。見たところ原付のエンジンよりも大きい。

事務所の前の空き地で一応の取り扱い説明を受けた後、高圧洗浄機を車の後部座席に乗せて家路に着いた。おじさんの説明は沖縄の方言が強くてほとんど理解できなかったが、たいして難しい操作もなさそうだった。

エンジン点火とともにけたたましい音が響き渡ります

エンジン始動

現場に到着。教えられたとおりに高圧洗浄機のエンジンを始動する。チョークを引き紐を一気に引っ張ると、エンジンは二度三度息継ぎをした後、爆音を上げて始動した。

ブゥオ、ブゥオ、ブゥオオオオオオオオ

暴走族もびっくりの大音量だ。近所に何も断っていなかったので周りの目が気になる。すみません、朝っぱらから。

高圧洗浄機は圧力で水を飛ばす機械ということで、片方のホースを水源につなぎ、もう片方をガンアタッチメントにつなぐ。ガンアタッチメントには英語で「危険。人や動物に圧力を加えないで下さい」と書かれていた。


これがガンアタッチメント。ゴルゴ13みたいな気分になれます
左手でちゃんとガンを支えて

トリガーを引くと水圧の反動で体がのけぞりそうになります

いよいよ洗浄開始

それではさっそく今回の目的である壁の洗浄を始めよう。エンジンの爆音をBGMにガンアタッチメントのトリガーを引くと最高潮に加圧された水が一気に噴出する。その水圧の反動で体が後ろに突き飛ばされそうになった。最初脚立に乗って作業しようとしたのだが、反動で本当に脚立から転げ落ちかけた。


汚れたコンクリートに水圧が走った跡
水圧のあまりのすさまじさに少々ひるみながらも、さっそく家の洗浄を始めることに。ためしに汚れたコンクリート部分に向けてトリガーを引いてみる。

ブショワッ、ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

コケが生えて緑になったコンクリートにガンを走らせると高圧の水が通った跡がくっきりと残った。洗浄というより表面を剥ぎ取っているといった感じだ。こいつはすごいぞ。タワシと洗剤ではこうはいかないだろう。夢中になってコンクリート表面を洗浄しているうちに、ガンの扱いにも慣れてきた。きっちりと脇を締め、銃口近くのグリップに添えた左手で方向を付ける。そして躊躇なく水を噴射する。


壁に向けると塗料が剥げ飛びました

洗うつもりが

調子に乗って屋根ちかくの塗装された壁にガンを走らせてみた。

ブショッ、ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

塗装が飛び散り、ガンの走った跡が壁に残った。エンジンの発する爆音の中、ガンを持ち立ち尽くす筆者。たいへんだ、まじで塗装剥げたじゃん。なんだこの機械。武器か。

しかしこの状態では終わるに終われない。なにしろ家の壁にミミズの這ったような跡が残っているのだ。少し悩んだ末、結局すべての塗装を一度剥ぎ取ることにした。

そうと決まれば高圧洗浄機の独壇場だ。縦横無尽にガンが走る。この頃にはもう周りの目なんて気にならなくなっていた。筆者の手には何でも剥ぎ取る機械が握られているのだ。文句のあるやついたら出て来い。この後とりつかれたように1時間くらいかけて壁の塗装を全部剥ぎ取ってやった。

その結果がこの写真。塗装を剥がした壁には以前描かれていた看板らしきものが浮かび上がっていた。「FURNITURE」だろうか。どうやら前は家具屋だったらしい。


最初こんな感じだった壁が
高圧洗浄機によって塗装が剥ぎ取られた状態。どうやら以前は家具屋だったようです

まつりの後

こうして筆者の年末までの仕事が決まった。壁の再塗装だ。

高圧洗浄機はその注意書きに書かれていた通り、非常に危険な機械でした。どのくらい危険かというと、我を忘れて壁の塗装を一気に吹き飛ばしてしまうくらい危険です。筆者は純粋に壁の掃除がしたかったのに、家の周りには高圧の水で剥ぎ取られ飛び散った塗装の破片が広範囲に広がっていて、それを掃除するのに一番労力を使いました。それにしても水圧で自由自在に塗装を剥がすというのは、なんだか病みつきになりそうな感触です。みなさんも機会があればぜひお試しあれ。



 

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