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コネタ


コネタ282
 
お肉をつかわない肉料理ランチ

(text by 大塚 幸代

昨日、図書館で『ソトコト』という雑誌を読んでいて、私の好きなミュージシャンが菜食だということを知った。
彼は「SHING02(シンゴ2)」というヒップホップのアーティストで、在米日本人。
このあいだ来日ライブがあったとき、最前列で見ていて「なんか前に見たときより日焼けしてるなあ〜」「そして痩せてるなあ〜」「でもつやつやだなあ〜」と思っていたのだが……。
彼はコンポストでたい肥を作り、自分で野菜を作って食べているのだという。「……あれ、野良仕事焼けだったのかあ!」ということがショックだった。
ちなみにゴスペラーズも菜食で、菜食を始めてから声質が変わったんだそうだ。

実は私も10年ほど前、マクロビオティックという食餌療法にハマったことがある。
とくに思想はなく、当時、人生が辛かった(!)ので、自分をなんとかして変えたくて変えたくて、神様にすがるがごとくダイエットに向かったのだ。
ほぼ菜食で過ごした。体重は減り、テンションだけがスカーンとあがっていった。
感覚が澄み切っていた……ような気がする。あんな厳しい食生活をなぜ(一定期間でも)続けていられたかというと、「気持ち良かったから」なんじゃないかなあ、と今にして思う。

しかし、続けられなかった。現在は肉も砂糖も食品添加物もガンガン食べている。体重も増えたし体調も悪い。だから「あの気持ち良い菜食をもう一度」と思うこともある。やってないけど。

で今回、以前から新聞・雑誌で取り上げられてて気になってた、池袋にある「お肉を使わないお肉料理」屋さんに行ってみることにした。

お店の名前は「彩食館」。菜食=サイショクとひっかけているのだと思う。2002年冬にオープンした、まだ新しいお店だ。






行った日のランチは、マーボナス、ピーマン肉詰め、水餃子、味噌汁、つけもの、五穀米。
看板の日本語がちょっとだけあやしいのは、店主の女性が台湾出身の人だからなのかもしれない。
「いらっしゃいませー」
開店直後だったので、誰もいなかった。はしの席に座る。
店内はオレンジ色のインテリアに統一されている。カフェっぽい。
「あの……ランチを」
「はい」

奥でじゃーじゃーと何かを加熱する音が聴こえる間、置いてあった雑誌を読んだ。
『散歩の達人』池袋特集。そして新聞のキリヌキ。料理教室の案内。……あ、このお店、料理教室もやってるんだ。


ほどなく料理が運ばれてきた。おおお。

ピーマン、大豆肉詰め。

水餃子、中身はこんな。

もちろん肉は入ってない。

メインのマーボナス。


給食のように、三角食べしながら、
「肉、入ってないって言われなければ『そうなの?』と思えるかもしれないなあ」とか、
「マーボナスが他の中華料理店で食べるよりスパイシーだから、肉入ってないのは気にならないなあ」とか、
「このスパイシーってところがポイントかなあ、インドのベジタリアン用の豆カレーとかも、辛いから『ああ食べた!』って気になって、肉なしでも満たされるもんなあ」とか、
「日本の精進料理って食べたことないけど、やっぱり物足りないのかなあ、日本発祥のマクロビオティックも物足りなかったもんなあ、それは日本が『がまんすることが美しい』って考える文化だからなのかなー……」とか、
いろいろ考えてしまった。

この美味しさなら無理せず菜食が続けられるだろうなあ、すごいな台湾、と思いながら箸を置くと、店主がやってきて「よかったら」とミカンをくれた。
「あ、ありがとうございます」
「(このお店は)はじめてですか?」
「はい、噂を聞いて、ずっと来てみたかったんです。……これ、大豆のお肉もお店で売ってるって聞いたんですけど、欲しいんですが……」
「はい、ありますよ」




……店主が持って来てくれたのは、大豆で出来た、固い、乾燥したカタマリであった。

「うわあ、これなんですか。どうやって食べるんですか?」
「まず、お湯に入れて1時間ほどおいて、さわってシンまで柔らかくなるまで、もどすんです」
「はい」
「次に沸騰したお湯に入れて、1分ゆでて」
「はい」
「しぼってください。そのあとは、好きな味付けで、ごま油とか、こんぶダシとか、ショウガとか……」
「はい」

はいはい、と答えておきながらも、自分で作れるか……? と自信がなかった。店主は「分からないことがあったら、電話してきてください、教えてあげますから」と言って、名刺をくれた。
「料理教室も開いているので、よかったら来てくださいね。
……あ、この間その生徒さんたちと、パーティを開いたんですよ」
アルバムの写真を見ると、やはり生徒さんは女性が多かったが、男性もいた。
「みんなで、この大豆のお肉を使って1品作って持ち寄る、というパーティをやったんです。この男の人が作ったハルマキが、いちばん美味しくできていました」
「へえー…」
「やっぱり、みんな、大豆のお肉をやわらかく作るのが難しいみたいです。固めになっちゃう場合が多いです。チンジャオロースを作ってきた人もいたんですが、やっぱり固くて、それにチンジャオがほとんど入ってなくて、タケノコばっかりでねえ」
店主はパーティを思い出しながら、嬉しそうに笑った。
私は「チンジャオって何だ?」と一瞬思ったが、字面を思い出し、あ、ピーマンのことか、とやっと分かった。
そうだ私、中華料理のこと、何も知らないなあ……と思いながら、とりあえず500円分の「大豆肉」を購入。

私が出ると入れ代わりに、男性2人組が入っていった。会社の同僚2人、という感じ。「行きつけの店」みたいに慣れた雰囲気で座った。「一週間のうち、何度かのランチはココ!」と決めていたりするのだろうか? 確かに健康にはいいかもしれない。




……というワケで、今、手元に大豆肉がある。調理レポートは次回!


彩食館

東京都豊島区池袋2-73-4


(ちなみに彩食館の向かいには、『池袋ウエストゲートパーク』特別編で「主人公マコトが焼そば屋を開いてる店」のロケ地だ。マニアの方はゼヒそちらも見学していってください。中は入れないけど)。





 

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