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イカに賭けろ!
イベントポスター。イカ、馬に乗ってます

青森県風間浦村に「烏賊様(いかさま)レース」というイベントがある。

競泳用プールのようなレーンのついた水槽にイカを放して、イカの泳ぎの速さを競うというものだ。競馬のイカ版である。

ミニ豚やウサギのレースなんてのは聞いたことがあるが、イカときた。しかも、現地では相当盛り上がっている名物イベントらしい。

そんなイカ様が東京は銀座にやってきた。競争するイカ、見たい! 行ってきました。イカ、好物だし!

(text by 古賀 及子

水槽まわりはギャラリーでぎゅうぎゅう
イカ主になるべく列をつくる人々。
黄色いムチを持った「イカ主」さんたちが一列に並ぶ

イカ、大人気

開催は11月の平日。レースは正午から夕方にかけて行われるという。平日にイベントというと、なかなか人が集まらないのではないかと余計な心配をしたが、着いてみると現場は大盛況だった。

人混みをかきわけてなかを覗くと、風間浦村の特産品ブースが。イカの塩辛や薫製、海苔、ひじきなどが盛りだくさん。昼間っからおツマミ的な品々がばんばん売れている。

その隣、「元祖 烏賊様レース」の横断幕が掲げられた下に水槽があった。思ったより小さな水槽の周りは人々が2重3重と取り囲み、テレビカメラや報道の腕章をしたカメラマンの方々もずらりと並ぶ。もっとほのぼのしたイベントだと思っていたがなんだか殺気すら。

銀座のどまんなかがイカで大騒ぎだ。


キーマンは「イカ主」

レースは全部で10レース行われる。泳ぐイカ達をバックアップするのは馬主ならぬ「イカ主」だ。

レースではイカ主がムチでつついてイカを走らせる。ある意味、馬主でありながら騎手であるような状態。自分のイカが優勝すると、豪華海産物セットや風間浦村の宿泊券がもらえる。もしレースに勝てなくても、泳いだイカそのものを持ち帰ることができる。

イカ主には誰でも2,000円でなれるそうで、登録スペースに長蛇の列ができていた。私も並んだのですが、あまりの人気ぶりで残念ながら列の直前で締切に。

何度もいうようだが、平日の昼だ。イカ主の列には普通のサラリーマンらしき人々も並んでいた。いいのか、仕事は。


これで予想&投票!
昼休みらしいOLさんもこぞってイカを予想
そしてレース時間が近づくとイカは厳かに水槽へ投入

イカに賭けた!

競馬のイカ版だけあって、イカ主になれなくても賭けることで無料でレースに参加できる。

会場では「イカ新聞」というのが配られていた。読むと全10レースの詳細が書いてあるのだが、全てのレースに「JAL杯 生イッカ賞」や「風間浦村長杯 活イカダービー」といったそれらしい名前がついている。競争するイカにも「ネオイカユニバース」とか「トウイカテイオー」とほとんどギャグで名前がついていてぬかりない。

これを読んで勝ちそうなイカを予想し、当たると塩辛などの物産がもらえるのだ。塩辛!

イカ新聞にはレース名とイカ名の他に、本命とか大穴といった競馬新聞さながらのマークがついていた。なるほど、これを目安に予想すればいいのか。

それにしても、このマークってどうゆう基準で決めるんだろう。事前にイカを競争させたりして割り出してるんだろうか。それとも体重とか? 聞いてみた。

「あ、それ適当なんです」

適当かよ! いや、こんなに体から自然にツッコミがあふれ出したのも久しぶりだ。ともかく、それじゃあもうカンで張るしかない。用紙に「3-5」と適当に記入して係りの方に渡した。当たってくれ! そして塩辛を我が手に!

パンパカパーンパパパパパパパパパパッパパー、と、競馬でお馴染みのファンファーレがなると、手動でゲートが上げられた。イカ主の皆さんがいっせいに黄色いムチでイカをつつく! 果たして一着は?!

ゲートが上がり、各イカいっせいににスタート!
スーイスイ

結果は2-5
一躍取材責めに

イカ、すごい早い

え? え? え? 余りの速さにレースを追うことができなかった。クロールでいうと、片腕ひとかきでゴール、という感覚だ。勢い余って水槽のヘリに激突するイカ多数。ほぼ2〜3秒でレースは終了した。

ゴール地点には協賛するJALのスチュワーデスさんが審判として待機していて目視でジャッジ。1着2番と2着5番のカードを高らかに掲げていた。会場がざわめくが、私の山勘、3-5はかすりもせずだ。

優勝したイカ主の方には取材が詰めかけていた。やはり勝因はそのムチ裁きだったようだ。ゲートにいる間はイカには一切触らないのがコツらしい。

「ゲートが開いてすぐ、ちょっとつついたら、スーって走っていって、あっという間でした」

制服姿のきれいな方だった。会社抜けて来たんだろうか。うっかり聞き忘れてしまった。

その後30分ごとに行われるレースに4回挑んだのだが、結局予想を的中させることはできず。残念なのはともかく、イカの泳ぐ速さに目を見張った一日でした。

あ、塩辛はたまらず自腹で買いました。

かわいい餅も買った
ご飯にのせて、至福ですわ
 

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