あまり仲良くない人と、仲良くなるために、一緒にごはんを食べるとき、
メニューを見ながら
「何にしましょうか、何が食べたいですか? 何か苦手なものとかありますか?」
とかいう話になるじゃないですか。
「いや、とくに苦手ななものはないです」
と答えながら、「あれ、何か食べられないものあったっけ……?」と考えていたら、突き出しにラッキョが出てきた。
ウッ。
そういえば、ラッキョが苦手だ。
いや、正確に言うと、30年以上生きてきて、私はラッキョを食べたことがない、ラッキョ処女なのだ。
コドモの頃、ラッキョは食卓にあった。
しかし、その独特な匂いがもうダメで、箸すらつけなかった。
他にもタコときゅうりの酢の物とか、ヒジキと豆の煮物とか、白菜の漬け物とか、そういう「オトナ向けおかず」は一切食べられなかった。残しては怒られた。
でもラッキョに関してだけは、怒られた記憶がない。人数分の皿に盛ることなく、完全サイドメニューで出されていたせいだろうか。
大人になって、酢の物もヒジキも漬け物も、かなり食べられるようになった。
でもラッキョだけは別だ。なんとなく避けて生きてきてしまった。
でも、みんなラッキョ好きなんだろうか……?
ナゾに思ったので、周囲にリサーチしてみた。
ケース1
「ラッキョを初めて食べたのは20代。カレーライスについていたのをなんとなく。お、結構食べられるじゃん、と思った。その後も、あれば食べるが、積極的に買ったりしない」
ケース2
「ラッキョは実家の食卓にいつも出ていた。子供の頃は美味しく感じられなかった。大人になって、飲み屋で食べて、結構いけるじゃんと思った」
ケース3
「おいしい食べ物だと思う。酒のつまみとして食べる。臭いものの、大人にしかわからない旨味を感じる」
ケース4
「ラッキョは自分で漬けて食うものだ!! 美味い。 泥らっきょうが出回る初夏が、毎年楽しみ」
ケース5
「高校生の時、ドライカレーを出すお店があって、そこについていたラッキョを好きになった。一口ごとに一個のラッキョを入れてもいいぐらい美味だった。 福神漬けよりラッキョだ!」
ケース6
「子供の頃からおやつ代わりに。噛んだ時の冷たい感じがいやだったので、口の中で一枚一枚はがして食べてていた。 大人になってもその食べ方をしているが、自分では購入しない」
ケース7
「ラッキョはセロリくらいに苦手。片手で数えるくらいしか食べたことがないと思う」
ケース8
「好物と言っても良いくらい大好き。ばあちゃんが漬けてくれたのが最高だった。アレだけで酒が飲める。 まるく太ったラッキョよりスレンダーなラッキョが好み。ぱりぱり感が良い」
ケース9
「あの甘い酢の物系の味とにおいが駄目。食卓やレストランで並んでいても見ないふり。自分のなかではラッキョの存在は全否定」
ケース10
「ラッキョは好きだが、は同居人が『絶対ゆるさない派』なので家の食卓に上る事はない」
……ほんとに皆、まちまちまちのラッキョ感。
でも「全否定派」がいるのは分かった。そう、私もラッキョを全否定してきたのだ。
でも試しもしないで否定するのはいけないのかも、と思い、近所のスーパーでラッキョを買ってきた。 |