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コネタ


コネタ350
 
スガキヤの歌をきけ

それはもう8年前の事になるだろうか。
誰もがかつてそうであったように、その時僕は16歳だった。
誰もがかつてそうであったように、家庭やら人間関係やらの、 そういったささいな(しかし当人にとっては切実な)オブセッションを抱え、 とても強くこの世界を疎ましいものと認識していた。
そして、誰もがかつてそうだったことがあるように、その頃の僕は恋をしていた。
アルバイトはしていたが大した金額にはならなかったから、 デートといっても、朝が来るまで街をひたすら歩き回ったり、 ファーストフード店でおしゃべりをしたりすることに大半の時間を費やしていた。
それはなにものも邪魔することのできない、ある意味で神聖な時間だった。 お互いがお互いのことだけをみつめ、それ以外に対しては唾を吐くような二人だけの世界。
それは、ある意味では神聖な時間だったのかもしれないが、その関係は恐らく間違っていた。
そしてその間違いに気付いたのか、彼女から別れを切り出してきた。場所は、当時地元のダイエーのフードコーナーに併設されていたスガキヤで、僕は食後のデザートのあんみつに取りかかりながら、牛皮を先に食べるべきかどうかを決めかねているところだった。

(text by 宮崎春樹

スガキヤ再出店

スガキヤは、名古屋を拠点にするラーメンのチェーン店だ。 ラーメンが290円という、明らかにジャンクな価格設定で、行列ができるようなラーメン屋とは対極に位 置するが、諸説ありハッキリとはしないが、とんこつベースと思われるそのスープには隠れたファンが多い(ミュージシャンのかせきさいだぁもスガキヤのファンだという)。以前は関東にも出店され、スーパーのフードコーナーなどに併設されていたのだが、平成11年頃を境に関東から撤退。 多くのスガキヤファンを哀しみに暮れさせることとなった。
が、昨今の名古屋ブームを受けてからか、昨年末、高田馬場に直営店がオープンしたという。初の関東再出店とのことで、 思い出の味を味わうために行ってみることにした。

JR高田馬場駅から早稲田通り沿いに5分ほど歩くと、大きな看板が見えてくる。
スーパーのフードコーナーでしかお目にかかったことがないだけに、こうして店舗を構えているのを見るとそれだけで奇妙だ。


この看板が目印。
いかにも和式ファストフードといった感じだ。

店構えといえばよくある和式ファストフードといった感じで、店内にはU字型にカウンターが設置され、中国人の女性が働いている。吉野家に端を発する和式ファストフードの伝統を、従業員の人選まで模倣しなくてもよいだろうと思うが、これは単なる偶然かもしれない。

さて、入り口正面に設置された券売機で食券を買う。かつてよく食べたあんみつもないし特製ラーメンもない。
やれやれ、 しかたなくラーメンとみそかつ丼のセット(550円)のセットと半熟卵(100円)をオーダーすると、 やがて、そのふたつが同時に運ばれてきた。

まずは、みそかつ丼を食べてみることにした。


ミニみそかつ丼。いつぞや取り上げたチャンピオンカレーに似ているけど違うよ。

かつは柔らかく、とても食べやすいのだが、味噌の味がちょっと強すぎるようだ。こういったジャンクな食べ物はケミカルな味わいも魅力のひとつだと思うが、どうもそのケミカルっぽさが強すぎるように感じた。かといって、ものすごくマズいという訳でもない。 個人的にはセットのミニ丼で充分満足だった。これ以上大きくなると食べきるのは難しいのではないかと感じた。

続いては待望のラーメンだ。


290円のラーメン。半熟卵は別売りだ。

あいかわらず、サッポロ一番塩ラーメンを数段グレードアップさせ、クリーミーにした感じにしたような味わいだ。サッポロ一番を牛乳から作ると、恐らくこういう味になるのかもしれないな、と僕は思った。

かつて食べた恋人と食べていたときよりも、こころなしか味があっさりしていたような気がしたのは、僕が大人になったからかもしれないし、あるいは僕がひとりだったからかもしれない。

風の噂では、彼女は結婚をしてs三重県に引っ越していったときく。彼女は僕の知らない街で、子供と共にこのラーメンを食べているのだろうか。

そして僕は彼女のいなくなった街で生活をしながら、空虚さを抱えたままぼんやりと生をやり過ごしている。


スガキヤラーメン高田馬場店
  東京都新宿区高田馬場2-1-1
   
  Tel:03-3200-8816


 

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