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コネタ


コネタ352
 
ほとんどヤフオクで作ったバー
ネットオークションで買ったカウンターの台。

先日、最近オープンしたばかりの和風ダイニング・バーに飲みに行った。カウンターに座って飲みながら、
「このカウンターに使ってる木、いいですね。」
というような話をしていたら、
「ヤフオク(ヤフー・オークション)で買いました。」
と、全く予想してなかった答えが返ってきた。

「これもヤフオクで千円。」
「こっちもヤフオク。」

聞いて見たら、店内のほとんどがヤフオクで買い揃えられていたのであった。

T・斎藤

マスターの壇浦さん。ソムリエの資格も持つ。

本格和風ダイニング・バー

左が、昨年11月長崎でこの店を始めたマスターの壇浦(だんのうら)さん。
酒を作ったりグラスを出したりといった些細な動作がひとつひとつリズミカルでかっこいい。真似したくなる。

靴を脱いで上がるところとか、つまみのメニューなど随所に和の要素を取り入れており、雰囲気もかなりいい。適当に何か作ってくださいと言ったらシソの香りがするカクテルが出て来た。うまかった。

と言う感じでかなり本格的なバー。これがヤフオクで買い揃えた店内とはとても思えない。
では、これより順次見て回りたい。


ヤフオクで買った

カウンターの木は寿司屋から

「カウンターに使っている木は、寿司屋をやめるという人から15万で買いました。まともに買ったらたぶん80万〜100万はするでしょうね。」

自分が普段買わないモノの相場はさっぱりわからないものだが、木って結構するんだな。
それにしても 、こんな巨大かつ誰が買うのか読めないようなものまでネットで売買されていたとは…。ネットオークション恐るべし。
(ちなみに配送代は1万5千円だったそう)

¥1000


「カウンターの後にある茶箪笥。それ、いくらだったと思います?」

グラスや高そうなワインがディスプレイされた茶箪笥。家具屋で探してきたら10万円くらいするだろうか。

「それもやっぱりヤフオクで、1000円でした。」

どはっ!
安!

玄関の大理石も。
鏡2千円、 靴箱2万円。

玄関の大理石はホテル用の余りで、9枚で7千円。
ホテルを建てる時は大量に材料を手配する為、余りがよく出るらしい。世の中いろいろと裏道があるものだ。
ここで靴を脱いで店にあがる。
脱いだ靴を入れるのはやはりオークションで2万で落とした靴箱。そして2千円の鏡で身だしなみチェックだ。


これは1コ¥300
こちらはこだわりの一品。¥4000

左上のグラスはひとつ300円(1300円⇒300円)。
一方、右上のワイングラスはひとつ4000円。
こだわるところには、とことんこだわる。 安ければなんでもいいというわけではない。


蒸篭がなんと1円!

次に、厨房を見せて頂いた。

厨房の中も、やはりオークションで購入したものが目白押し。中でも特筆すべきは左の蒸篭(せいろ)。なんと、1円だそうだ。

「でも、送料と振込み手数料で千円くらいはかかってますけど…。」

むしろ1円を振り込んでるところがすごい。
こんなセリフのやりとりをしたんだろうか。↓
「振り込んでおきましたから、送料と1円。」

ホテルの客室用冷蔵庫も活用
業務用冷蔵庫

ホテルの客室でよくみかける小さい冷蔵庫も発見。
もちろん業務用のでかい冷蔵庫も。
これらもやはりオークションで安く購入したそうだ。

ちなみに業務用の冷蔵庫は、湿度をキープするようになっており、ラップなしでも食べ物が乾燥しないらしい。へぇ。


家っぽい雰囲気の2階席


次は、2階を見せて頂いた。

この建屋はもともと裁縫屋だったらしく、2階にはミシンが並んでいたという。床は歩くとギィと軋むが、
「それもまたいいかな」
ということで、あえて手を加えずそのままにしている。たしかに、味がある。

本棚には酒にまつわる本がビッシリ
¥1000

2階もやはり、ヤフオクで入手したものだらけ。
木のイス、千円(写真右上)。いいものらしく、北欧とかカリモクとか言っていた(…が、よくわからんかった)。

奥の本棚には酒関係の本がビッシリ並んでいた。
お酒好きには、飲むのが好きなタイプと、お酒そのものが好きなタイプと2種類ある。マスターは典型的な後者だ。(で私は前者。)
マスターは学生時代、医学を志して大学は医学部に通っていたこともあったそうだが、酒好きが高じて路線を変更、バーテンダーの道へと進んだという。人生いろいろ。 (ちなみに本棚は3万円。)


フカフカで気持ちいいと評判のスリッパ
便器界のアルファロメオ?

「このスリッパがフカフカしていて気持ちいいと評判良いんですが…」
写真左上のスリッパ。たしかにモコモコしていて良さそうなスリッパだ。
「…\298のスリッパなんです。これはOKホームセンターで買いました。」
「あははははは。」

男子便器は2万円。(写真右上)
これは「便器界のアルファロメオ」と呼ばれる良いものなんだとか。言われてみたらコレ、なかなか美しいフォルムの便器かも。


2階奥の座敷席
掛け軸

2階奥には座敷席もある(写真左上)。
このテーブルがまたカリンの一枚板とかいう良いテーブルで、重さが80キロもある。
(30万〜40万円のものを3万で購入。)

掛け軸(写真右上)は取材メモが無く、いくらだったか忘れてしまったが、もう値段なんて関係ない。かっこよく見えればそれでいいだろう。鑑定士は自分。


安い安いと書いていたけど、
企業が作った「金はかけてるけど気持ちが足りないお店」と違って、「金はかけずとも気持ちはたっぷり」な感じがなかなか良い感じの店だった。研究しているだけあって、酒も美味しかったです。

これからお店を始めようという方はぜひご参考に。


興福寺などの寺ばかりがずらりと並ぶ、
寺町通り沿いにある。

●お店データ

  美綵味 (ヴィ・ザ・ヴィ)
 長崎県長崎市鍛冶屋町4−12
 095-826-0562


 

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