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コネタ


コネタ373
 
闘牛アンダーグラウンド

沖縄には公共の闘牛場がある。

闘牛。

闘牛って赤い布を持った闘牛士が颯爽と猛牛と戦うあれだろうか。どうも沖縄のイメージとはかけ離れている気がする。しかし実際に行ってみると、それはもうもろに筆者の沖縄に対するイメージ通りの場所だったのでした。

安藤 昌教

鉄製のゲートの向こうが闘牛場です

日常に潜む非日常

今回訪れた闘牛場は運動公園の隣にある。近くをジョギングの人とか、自転車に乗ったカップルとかが通り過ぎるいともありふれた場所だ。こんな場所で本当に闘牛が行われているのだろうか。

半信半疑で闘牛場を探しながら歩いていると、なにやら少々怪しげなゲートの向こう側から賑やかな声が聞こえてきた。

「きええええええーーー」
「えいやっ、さあああーーー」

威勢のいい掛け声と共にどっと歓声が上がる。なんだろういったい。不思議に思い近づいてみると、なんとそここそが闘牛場だったのでした。


きな臭い空気漂う警告。

警告文に脅されます

闘牛場の入り口ゲートには写真のような警告文が貼ってあった。暴力団と賭博行為という文字が赤字になっている。

大丈夫だろうか。

闘牛士が颯爽と赤い布を振り回しているんじゃなかったのか。それにしても善良な風俗という表現が奥ゆかしくて面白い。これが優良な風俗、とかだとエロい感じになっていただろう。


ここで入場料を払います。入り口はここだけ。

不安ばかりが募ります

恐る恐るゲートに近づくと、軽自動車の窓に「入場料3000円」と書かれた紙が貼られていた。そして屋根にはビール缶。裏口感漂うが、他に入り口も見当たらないしどうやらこれが正式な正面入り口のようだ。

フェンス越しに覗くと人だかりが見えた。どうやらその中心で闘牛が行われているらしい。ゲートの近くには係員らしき人の姿が見えるのだが、誰もがなんだか一様に怖い。ファイトクラブに紛れ込んでしまったみたいな雰囲気なのだ。

中にものすごい札束を裸でぱらつかせながら歩いているおじさんがいた。そして定期的にいろいろな人に話しかけ、お金のやり取りをしているようにも見える。表に書かれている通り賭博は禁止のはずなので、まさかとは思うのだが何をしていたのだろう。


牛舎の小部屋にはそれぞれ一頭ずつの牛がつながれています。

入場する前に会場の周りをぐるっと回ってみた。というか本当はあの軽自動車が正式な入り口だとは思わなかったので、他に入り口を探して周りを一周してみたのだ。結果的には入り口はあそこだけで他に入れる場所はなかったのだが。

牛舎も怖い

闘牛場の裏手を歩いていると、なにやら牛舎らしき棟に迷い込んでいた。牛舎は準備小屋と呼ばれる建物で、試合を控えた牛たちが待機している。派手なハッピを着た人たちはおそらく関係者だろう。

特に禁止されているわけでもなさそうだったので準備小屋に近づき、うわあ牛でけえ、とか言いながら写真を撮っていると、いたるところから刺さるような視線を感じた。周りを見ると牛にも人にもにらまれている。明らかに場違い。そのまま牛のえさにでもされてしまいそうな勢いだった。


準備小屋、パンチパーマ率高し。
牛にも人にもにらまれます。

ドナドナとはまた違う引かれ方の牛。

意気揚々と引かれていきます

牛たちは出番が来ると牛舎から闘牛場へと引かれていく。牛が引かれて、となるとドナドナを思い出すところだが、ここの牛たちはちょっと違う。みなやる気まんまんなのだ。目とか血走ってるし、引かれていくというよりもぎりぎり制止されているという感じ。牛舎から出た牛はさらに力強く見えて、怖くてそばに寄ることが出来なかった。まあ引いている人のパンチパーマもかなり怖かったのだが。


観客は意外と冷静に観戦しています。

そしていざ闘牛場へ

中に入ると闘牛場はスタジアムみたいなつくりになっていて、競技場を囲むように観客席が配されていた。競技場では二頭の牛がまさに頭をつき合わせて戦っている。そしてその牛の耳元でおじさんたちが怒鳴り散らす。

「はいやあああ、はっ、はっ、はああああいっっやっ」
「きええええええ、えええええっいっ」

さっき会場の外まで聞こえてきていた声はこれだ。牛の闘志を奮い立たせるための雄叫びらしい。牛たちはその声に鼓舞されるように、お互いに角を合わせて押し合っている。筆者が想像していたような闘牛とはずいぶん違うが、これはこれで迫力満点だ。

しかし試合はそのままの状態で20分くらいが流れた。牛がじっと押し合い、おじさんが叫び、周りに客が群がる。こういうものなのか。勝ち負けは決まらないのか。

そう思っていた矢先のことだった。
「きえええええええええー」

気合一発、おじさんの雄叫びが決まった。とその時、突如試合が動く。片方の牛が一気に角で突き上げ、後ろを向いた相手の牛を追いかける形になった。と、ここで試合終了。


角を突き合わせた状態でかなりの時間ねばります。
こうなると右の牛の負け。試合終了です。

会場で売られていたポスター。横綱あかりパンダ。牛なのにパンダ

かなり本気の戦いが見られます

沖縄の闘牛は闘牛士が牛と戦うのではなく牛同士が戦う競技でした。しかもショー形式ではなく、各愛好者団体が真剣勝負を繰り広げているのでかなり見ごたえがあります。年間を通じてほぼ毎週末に試合が行われているようなので、ぜひあの独特の雰囲気を味わってもらいたいものです。


つっこまないでよかった

後日沖縄の友達にこの話をしたところ
「え、もちろん賭けてると思うよ」
と真顔で言われてしまった。そうなんですか。あそこで札束持ってたおじさんに
「何してるんですか」
とか話しかけなくて本当によかったと思う。


 

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