そしていざ闘牛場へ
中に入ると闘牛場はスタジアムみたいなつくりになっていて、競技場を囲むように観客席が配されていた。競技場では二頭の牛がまさに頭をつき合わせて戦っている。そしてその牛の耳元でおじさんたちが怒鳴り散らす。
「はいやあああ、はっ、はっ、はああああいっっやっ」
「きええええええ、えええええっいっ」
さっき会場の外まで聞こえてきていた声はこれだ。牛の闘志を奮い立たせるための雄叫びらしい。牛たちはその声に鼓舞されるように、お互いに角を合わせて押し合っている。筆者が想像していたような闘牛とはずいぶん違うが、これはこれで迫力満点だ。
しかし試合はそのままの状態で20分くらいが流れた。牛がじっと押し合い、おじさんが叫び、周りに客が群がる。こういうものなのか。勝ち負けは決まらないのか。
そう思っていた矢先のことだった。
「きえええええええええー」
気合一発、おじさんの雄叫びが決まった。とその時、突如試合が動く。片方の牛が一気に角で突き上げ、後ろを向いた相手の牛を追いかける形になった。と、ここで試合終了。 |