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コネタ


コネタ376
 
地底であいましょう
トンネルを抜けるとそこは、

『では、地底であいましょう。』

「地底現場応援団」(東京ジオサイトプロジェクト)のお誘いをうけ、メールでいただいた『見学基本手順・入団心得』のしめくくりにこの言葉があった。

か、かっこよすぎる……
私はその言葉に心底ホレ込んでしまい、数時間であろうとも地底と関われる自分に有頂天になった。

現場の虎ノ門に向かう地下鉄の中で、
「私は今から地の底へ行ってくるのです」
とオーラを出してみたが誰も気付いてはいないようだ。よく考えてみれば、ここだって地底じゃないか。
でも私はそんじょそこらの地底ではないのです。デパ地下やビルの駐車場とはワケが違うのです。そうして鼻息を荒くしながら、電車に揺られていました。

では、地底にいってきます。

(text by 土屋 遊

地底人の証・マイヘル

うらやましいマイヘル族

今回、私と地底をむすぶ架け橋になってくださった沢村さんは、ソーシャルネットワークmixi内でのコミュニティ『地下都市研究会』のメンバー。
濃コンのマイヘルメットを片手にご登場だ。

マイヘルをお持ちの方々が徐々に集合して、
「ニューヨークの地底は……」
「ロンドンの地底は……」
「初台の地底は……」
と、ワールドワイドな地底談義に花が咲いている。
私の体験談と言えば
「私が掘った地底は……」
「ばあちゃんちで落ちたボットン便所の深さは……」
くらいなので、さりげなく混じりながら、いかにも地底人のフリをしていた。


あそこに見えるのは蟻でしょうか

あれ?

さて、お気づきの読者もいらっしゃるかもしれない。
このプロジェクトは2003年に初開催で今回が3回目。第1弾にはデイリーポータルウェブマスターの林氏、住氏の両氏が参加なさっている。その詳細を「共同溝から愛をこめて」でレポートされているので、私はこの0.02の肉眼で見えたモノに焦点をあて
『地底で目撃したモノ』
についてみなさんにご紹介したいと思う。

地底人の血液型を探る

ヘルメットと軍手を支給され、足を踏み入れた地底はズドンとまっすぐに深い。案内の人が点在し、現場の詳細がパネルに展示されていた。全く土くさくないし、足元もきちんと整備されている。解説してくださった係りの人の作業衣もキレイで意外だったが、
「普段の現場とはちょっと違いますよ」
と聞いてなんだか少し安心した。

エレベーターで降りた地下30mから横穴に入り、シールドマシン(トンネル掘削機)を目指して突きすすんでゆく。
現場の方々が、緊急時のために、血液型を記載してあるヘルメットをかぶっているのがなんともうらやましかった。
これからは持ちものには名前ではなく血液型を書くことにしようと思った。
ただし、私の愚問に対して
「今までに事故はゼロですよ。安全第一、緊張第一ですから」
と誇らしげに答えてくださったことも書いておこう。


地底の血液型はやはりA型が多かった。目撃した中で一番少なかったのはO型。

象が乗ってもだいじょーぶ!

安全靴の実験をする

現場では、足を保護する足先のハードな靴をはいているのだと沢村さんがこっそり教えてくれたので、
「ぜひとも足を叩かせてください」
と願いでた。
快く叩かせてくれた安田さん、ありがとうございました。車に轢かれても、鉄骨が落ちても、象に踏まれてもこれならダイジョーブだと身をもって体感いたしました。



今日もみんなを楽しませてくれます

地下30mで、珍獣に遭遇

トンネルを歩いていると、ゴーゴーとかすかに空気の流れを感じる音がする。そこで私は思いがけないものに出会った。まさかここで遭遇するとは思わなかった『ピカチュウ』。『ピカチュウ2号』もあったがこちらは色を塗ってないようで白いピカチュウ。珍獣だ。
彼らは、セグメント(セメントの塊のようなものでトンネルの外壁になる)を運んでくれる力持ち。
見学に訪れる子供達に楽しんでもらうために、現場の方が作成して貼ったのだとおっしゃっていた。
地底の優しさはなぜか地上より胸に染みます……。


地底に青空。それは必需品だった

ここで私たちは、土をマイナス10度以下にして掘りすすむ話を聞いた。地下40m、地下水の侵入を防ぐためだと言う。では息や鼻水が凍りつくのでは?バナナで釘が打てるのでは?と素朴な疑問がでてくるのだが、息も鼻水も凍り付くことはなく、バナナは試したことがないのでわからないとのこと。
現場の方々はかぎりなく真摯であった。そして地底は、謎に満ちていた。バナナの謎に。


紅一点。かわいい亀田さんは地底でも大人気
熱心に解説してくださった清水さん。かっこよかったです
太めの二本がシールドマシンに繋がる
一日中ご苦労様です。こっそりノド飴を発見

いよいよ先端部に……

前回のレポートから、およそ800m伸びたトンネルの先端部にシールドマシンはある。
地ひびきをあげながらバケモノのような大きなドリルがドドドドッと掘りすすめているものだ思っていた。じっさいはドリルではなく、たくさんのツメがついた円盤を回転させながらジャッキで進みセグメントをきっちり埋めていく。今までの誤差は上下でわずか2mm。繊細な巨大モグラだ。

内部に入ると土のにおいがした(ような気がした)。でも実際は見えない。そして空調だろうか、強い風が吹いていた。どこから吹いてくるのかわからなかったが、わあーこれが現場だあーと体感。


この先にアレがある
巨大モグラにア然

地底でカンパイ

巨大モグラをあとにしてエレベーターで戻った先は、イベント最終日セレモニーの準備。驚いた。
BGMにジョンレノンのHappy Xmasが流れ、関係者と残っていた来場者にシャンパンが振るまわれている。
ヘルメットをかぶりながら、シャンパン(シャンメリー)で乾杯することなど一生に一度かもしれない。そんな私たちを、『現場は緊張』の看板が、ただひたすらに見守ってくれているような気がしたが、軍手でコップを持つのも意外とあぶなっかしいもので、たしかに一番緊張した瞬間だった。


地下の味を堪能する方々

注目のコメントがあちこちに残るメッセージボード。工事終了まで現場で応援する。

地下の恥はかき捨て。多分

沢村さんが地底人ならではの解説をしてくださっていたので、今回の取材はまるでガイドツアー付きのようでした。だから、と言うわけではないと思いますが、現場の方々にはまったくくだらない質問ばかりしてしまったような気がします。

ついでに白状すると、デジカメの充電がとっとと切れてしまい、沢村さん、そして同行者の小澤さんが写真を提供してくださっています。というよりも、「アレも撮れコレも撮れ」とむちゃな依頼をしてしまいました。どうもありがとうございます。地底のことなので許してください。

地上に出ていきなりNINTENDODSでチャットをおっぱじめる同行者たち

お父さんの働く姿を見よ

おそらく奥様が連れてこられたのでしょう、シールドマシンのすぐそばで、現場の方が女の子を抱いていました。小さな彼女が目をまんまるにして、巨大なモグラに見入っている様子と、うれしそうなお父さんの顔が実は一番印象的に残っているのです。

シャンパンもジョンレノンもかっこいいけれども、もっともっとたくさんの子供たちに見てもらいたいな、と思った地下30mの旅でした。

Z君土屋作(上)と沢村さん作のZ君(下)。

 

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