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コネタ


コネタ404
 
節分狂奏曲
池上の本門寺にやってまいりました。果たして節分祭は盛り上がっているでしょうか?

祝日やイベントが企業主導型のバレンタインしかない月、二月。

そんな二月に、ぜひとも祝日にすべき大切な日がある。

節分。

近年では企業も乗りだし、元々は関西地方の風習であった恵方まき(恵方まきという巻きずしを西南西を向いて食べるとよいとする風習)が関東でも売られるようになったほどの、注目のイベントだ。
静かにブームを巻き起こしつつある神社仏閣界において、そのイベントがどのような状態になっているのか調べるため、節分祭にいってみることにした。

(text by 宮崎 晋平


まめまき豪華ゲスト

節分祭を盛り上げるために有名人を呼ぶお寺は結構多いが、今回の取材先である本門寺を事前に調べてみると、なんとみのもんたが来るという!!
みの様といえば謂わずと知れたババアのいいとも、「思いっきりテレビ」において怪しげな民間療法を指南するカリスマ的存在。そんな存在がまめをまこうっていうんだから只事ではない。

他にも天龍などのプロレスラーやスポーツ選手、それとデーモン小暮、じゃなくて誰だっけ? 歌舞伎のカッコしてる……、そう、氏神一番! も登場するとのことで、いろんな意味で面 白そうだ。
ということで、まるでお正月みたいな天気の中、バスは13時頃に本門寺前に到着。まずは社務所でおみくじを引く。ここのおみくじは「招き猫おみくじ」というもので、価格は¥200と高めだが中に招き猫が入っているのがうれしい。
この招き猫は7 色で計28 種類あるとのことで、思わずコレクションしたくなってくる。 7 色ごとに御利益が違うので、全部コレクションすれば相当な強運の持ち主になれそうだ。


この子は良縁の神様だニャン!!

さて、境内はどんな感じかというと……。


ポヤーン。

閑散としている訳ではないが、かといってゴミゴミしている訳でもない。正月3日目の近所の神社的な、ポヤーンとした情景がそこに広がっていたのだった。

やがて、歳男練り行列というものが戻ってきた。


オッ! なんだかカッコよさげダネ!
昔の志村けんみたいなものを叩いているひとたちも。
若い人ももちろん参加しています。
行列の後ろに綻びが生じるのは小学校の朝礼以来の鉄則。ふたりのムリヤリ感がイイ味だしてます。

売店で売っていた福豆 ¥300。なぜかおまけ付き。
時間が増えるにつれ警護の警官の数も増えてきた。

みのもんた急遽欠席!どうなる節分?

歳男練り行列という名のとおり、この行列に参加しているのは歳男・歳女のひとばかり。いっけんなんの共通 性も見いだせないような男女も、歳男(女)という項で結ばれているというのはとても興味深い事実である(そんなことはない)。

さて、それから一時間くらいのあいだ、パトカーの周りにハトが寄ってくるようにまめをまいたり(これがホントの”パトカー”)、甘酒を飲んだりして時間を潰していたのだが、甘酒売り場で衝撃の事実を入手! なんと、みのもんたの出演(?が)急遽キャンセルになってしまったらしいのだ。 そうこうしているうちにも、恐らくみの様目当てと思われるババたちは集結しはじめている。

どことなく周囲の空気も、「まだかまだかまめは」とピリピリしてきた。 やがて大勢の人がひしめいている会場に「まめまき中は危険ですから絶対に押さないでください」というアナウンスが繰り返し流される頃には、そのボルテージは爆発寸前だ。

全体的に慌ただしい空気からまめまき開始がもうすぐに迫っていることが読みとれ、本当は別になんにも期待していなかったはずなのに、だんだんワクワクしてくる。


巣鴨よりもバイタイリティに溢れたジジババたちが集結。
「まめ! まめ!!」そんな期待に溢れた会場を現代版一揆か!?と思うのは誤りである。

そして……。


遂に氏神一番の登場だ! 他に佐々木健介や大田クルーなども壇上にあがっていたのだが、この時私は氏神一番に釘付けだった。O・E・DO!!

遂に壇上に人々が登りはじめた! まめまきの始まりだ!! が、その前に壇上の人物を観察してみると……?


正面に写っているこのご婦人達は恐らくは還暦だろう(右端を除く)。幸せそうでなによりである。

壇上はさっき練り歩いていた歳男達が大半を占めていたのだ。このババさまたちの投げた豆なんて欲しいか? 買うでしょ普通、豆は。しかし、まめがまかれることを待ちわびている人々には、もはやそんなことは関係がないのであった。なんであれ縁起物は貰っておきたい。そんな心理が人を貪欲にさせるのかもしれない。みのが出まいが知ったことか。そんな迫力さえ感じた。

「はやくまけ!」「はやくまめ!!」と、会場の熱気は高まるばかりだが、やがて、けたたましい鐘の音と共に壇上から豆が投げられると、待ちわびていた者たちが歓声を挙げながら一斉に腕をあげる。先程のアナウンスが繰り返し流れる中をみなが自分の豆を確保するのに必死で、地面 に落ちた豆を拾う者、人が取り損ねた豆を横取りする者、何個もひとりでせしめる者など、昔話に出てくる悪いおじいさんの見本市のような状態になっている。本来なら非常に殺伐としているはずなのだが、対象が豆だけになんだかどこか牧歌的だ。


みな、一度振り上げた手はなかなか降ろそうとしない欲張り者ばかりだ(筆者含)。

そして、わずか5分程でまめまきは終了。筆者も豆を手にすることができたが、この祭りとしての不完全燃焼感もなかなかたまらないものがある。この後、境内にいた鬼をからかったり仁王像の前(!)に設置された大田クルーの販促ブースを冷やかしたりして帰途についた。

今回のような盛り上がりをみていると、やはり神社仏閣が静かなブームを呼んでいるのは間違いがない。来年の節分にはあなたも休みをとって参加してみてはいかがだろうか? 


赤鬼と青鬼。ふたりの体型のしまりのなさには鬼とかそういうことじゃない妖気を感じた。

まめを捕れた人、捕れなかった人。人生悲喜こもごもである。
大田クルーの販促ブース。これよく知らないんですけど他の区も出てるんですか?

これが手に入れた豆。これを手にするためだけにあれだけの大騒動とは、なんだか滑稽なものです。でも、なかなか味わえない楽しい体験でした。


 

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