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コネタ


コネタ417
 
「共食いキャラクター」を鑑賞する
食べる気まんまんだ

マルコポーロは『東方見聞録』の中で「日本人は人食い人種だ」という趣旨のことを記しているそうだ。

もちろん、実際には日本に人間を食べる習慣はない。しかし、みなさんは気付いておられるだろうか、日本には共食いする動物たちがたくさんいることを。

トンカツ屋の看板でコックさんの帽子をかぶった豚が「おいしいヨ!」とか言っている、あれだ。

よく考えるとそら恐ろしい豚さんだが、ふだん我々は彼らのことをあまり気にしていない。

今回は街にあふれるこの「共食いキャラクター」の実態を調査し、その心の闇にせまりたいと思う。

うそ。心の闇にはせまりません。

(text by 大山 顕

■共食いの王様:豚

今回収集した共食いキャラクターを動物ジャンルごとに分類してみていこう。まずは共食い王国トンカツ屋をおもな生息地としている、共食い豚たちだ。


ふくよかなその体型に、一体今までどれだけの豚を食べてきたんだ、と恐ろしくなる豚。【品川】

冒頭でご紹介したのと同じ「コック豚」。トンカツ屋における共食い豚に多く見られるのが、この自ら厨房に立つタイプ。しかも帽子から見るにコック長か。

朗らかな笑顔と、崩れた描画が恐ろしさを増幅。右手はどこから生えているんだろうか。

フライパンの中の謎の物体はとうていトンカツには見えず、「もしかしたら共食いじゃないのかも」と一縷の望みを抱かせる。ていうか、絵が下手すぎ。


2頭身のプロポーションでかわいらしさを演出と思いきや、リアルな顔の造形【品川】

こちらはちょっとめずらしいフィギュアタイプ。招きネコのボディランゲージを踏襲し「俺の仲間を食わないか?」とばかりに道行人を招いている。

トンカツ屋らしく和風のいでたちで仲間を料理。コックというよりは板長という感じか。脂の分解を促進するというキャベツを小脇に抱えるあたりに、「もっと、仲間、食え」というメッセージを感じる。何でカタコト。


料理はしないが、お勧めはする。そんな豚さん。【国立】

ところ変わってこちらはお肉屋さんにおける共食いキャラ。

この場合、「共食い」かどうかは微妙なところ。上のトンカツ屋シリーズとは違い、見た目から判断するに彼自身は料理をする立場ではなさそうだ。

しかし腰低く「今日は自家製シューマイ、トンカツ、コロッケがお勧めだヨ!」と仲間を売る態度に豚界からは非難轟々だろう。片目がつぶれているのには、そんな事情があるのかもしれない。

肉屋の体制に飼いならされた豚。「この家畜め!」「この豚野郎!」と非難したところで、もともと豚はそういうものなのがつらいところだ。


なにやら楽しげな表情だが、だいじょうぶか。【大阪】

これは「共食い」というよりはもはや「食べられる側」だ。過酷な運命を知ってか知らずか、本人はいたって楽しげな表情。しかもボディにカラフルに「とんかつ」なんて書かれてしまっている。だいじょうぶか。

競争社会のただなかにあって、危機感の薄い豚さん。共食いキャラクター界の負け組といったところだろうか。


全体的にファンシーに描かれた共食い豚。「おいでやす」て。【大阪】

こちらは串かつを中心としたお店の共食い豚。誇らしげに自らを「TRADE MARK」と宣言。どうやら女の子らしくリボンをあしらっており、いうなれば「看板娘」といったところだろうか。

ちょっと悩ましげな目つきでもってこちらを見つめているが、共食いは共食い。騙されてはいけない。

全体的にファンシーでゆるい描写とあいまって、ずっと見てるとちょっとむかついてくる豚だ。


共食い豚の最右翼。片手にはもつ焼。かなりストレートな共食いプレイだ。【大井町】

満面の笑みで片手にはもつ焼。ここまでストレートな共食い表現はワシントン条約違反と言っても過言ではないだろう。

はっぴにも臆面もなく「もつ焼」と書かれており、その表情と合わせてみるに、彼がこの役割になんの疑問も感じていないことがうかがえる。

しかも「またね」って。恐い。

 

■共食いに至る病:牛

完全にデザイン化されたものからだんだんと擬人化されていく様子

焼き肉屋のマークには牛の頭部をデザイン化したものがよく見られる。

雄々しい角を持ったその造形は図案化しやすく、デザイン化されきったものにはあまり共食い感は感じられない。

しかし、なかには抽象的なデザインにとどまっていればいいものを、微妙に擬人化されている例が見られる。共食いに至る経過の一例を見てみよう。

一番左の焼肉屋のマークはデザイン化されきった例。ここまで記号化されてしまえば、もはや共食い感は感じられない。

真ん中の例もぎりぎりセーフだろう。つぶらな瞳に共食いキャラ化前夜という風情を感じるが、とくに悲惨な感じはしない。

しかし、これが一番右になるとどうだろうか。おまえはにっこりしている場合か、と言いたくなる。

親しみを演出しようとして擬人化すればするほど共食いキャラに近づいていく。ポイントは目。


すでにご紹介した肉屋の看板の裏側。流し目で舌なめずり。

こちらは完全に共食いキャラの牛。牛はよだれをたらしがちなものだとは聞いているが、肉屋の店頭で舌なめずりはいかがなものだろうか。

しかし、完全なる共食いキャラかと思いきや、彼がお勧めしているのは「ヤキブタ、トンカツ、から揚」とどれも他種族の料理ばかり。肉屋の体制に従順に飼いならされたと見せかけて、なるべく同胞は助けようという心意気を感じる。共食いキャラクター界のシンドラーと呼びたい。


牛と豚の共食いコラボレーション。ユニット名は「ブッチャー」。【鐘ヶ淵】

こちらの牛も肉屋にいた方。上の看板の牛は、上で紹介してきたセオリーどおり、充分なデザイン化がほどこされており、あまり共食い感はない。豚のかわいらしさと比べても、牛の共食い度の低さが分かるだろう。

しかし、シャッター部に描かれた牛は一味違う。フライパン片手にガッツポーズ。やるきまんまんである。

牛でここまで共食いキャラクターとして立っている例はあまり見かけないので、大事にしていきたいと思う。



 

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