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コネタ


コネタ449
 
全て逆転する夕食
ある意味、主役。

毎日コーヒーにゼラチンを入れて飲んでいる。ゼラチンの良質なコラーゲンが美容や健康にいいと聞いたから。冷えたカップにこびりついたゼリーを洗うのは面倒だけれど、「カラダにいいことしてる!」という満足感がとりあえず嬉しい。

プリンは器のまま食べるよりも、ひっくり返して皿に盛った方が価値が数段上がると思う。生クリームやチェリーを、なんて贅沢は言わない。ただプリンの素肌が多く露出しているだけで迫ってくる何かがあるのだ。

そして逆転の夕食というタイトル。
もう、何をするかおわかり…ですよね?

佐倉 美穂

今夜の献立は
・鱈の煮物
・水菜の煮びたし
・ミョウガと豆腐のお吸い物

純和風の地味な夕食だ。

ミョウガを始め、ピーマンやセロリ等、子供は苦手だけど大人になると平気になるような食べ物は多い。
多分に漏れず、私もそれらがダメな子供で、食べられる野菜の方が少なかった。白菜の味噌汁を、「歯が臭くなるからイヤー」とわけのわからないことを言って食べずにいた。子供の頃からくだらない駄洒落が好きだったのだとしみじみ思う。三つ子の魂百までを肌で実感している。
今は食わず嫌い王に出る時どうしよう、と悩むくらいに何でも食べられるようになりましたが。

とんとんとん、と作ってゆく。


とん
とん
とん

あ、それからビールも毎晩飲むので、献立に追加。


発泡酒をビールと思い込む。欺瞞。

さて、調理課程で少し「工夫」をし、料理完成。


派手ではないが和風の夕食。美味しいですよ。

やはりご飯はできたての熱々が美味しい。うう、食べたい。けど、逆転のためにぐっと我慢。

--秘密の場所で2時間--

その時がきた。そりゃ、逆転!


でーん、ぷるるん。

上で書いた工夫とは、料理全部にゼラチンを投入したのだ。秘密の場所とは冷蔵庫。

このビールの美しさ、立体さ加減は素晴らしいだろう。まるで恥じらう乙女のようにぷるぷると輝いている。
魚は煮こごり風になっただろうか。自重で崩れてしまったのが痛い。正直、地味なものは地味だ。しかしそこに秘められた沁みる味は里心がつくくらいだ。
お吸い物も和食特有の茶色系な色合いになってしまったが、豆腐の白が上に集まって寒天のデザートのようではないか。
煮びたしはゼリー部分が少ないが、それでも半球を描いている。

早速食べてみる。どれどれ…


放心したように見えますが期待でいっぱいです

煮魚は冷めても美味しいもので、ゼリーのねっとりと合わさって、うん、いけるいける。
お吸い物の具の豆腐は冷や奴でも食べるし、ミョウガも漬け物にしてもいいので、やっぱり冷えていても美味しい。ただ、お吸い物のメインともいえる汁部分のゼリーが多すぎて、ややねとねとに飽きてしまった。再度温め、ずずーと君を飲み干してしまいたい、と途中で感じた。
水菜の煮びたしは、しゃくしゃくとした歯触りがゼリーを飽きさせない。


ビールゼリー。
蜂蜜色で透明で美味しそうだが…

問題はビールだ。こ、これは…。はじける炭酸もない、香りどころか風味も全くない、苦みもない、喉ごしももちろんない、ぶるぶるとふるえる色だけは綺麗なゼリー。こんなにまずいゼリーは初めて食べた。すみません、ちょっとギブアップ。

・ゼラチンを贅沢に摂取できた
・ぷるんとした姿をいつもと違う視線で皿に盛ることができた
最初に掲げた欲求を満たすことができた今回の実験(?)。
たとえビールのゼリーを食べた時の顔が以下の写真のようでも、満足、満腹!

「ぷはー」ではなく「んぎー」という唸り


 

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