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ナマコ嫌いを克服する

全ペ連の安藤昌教山です、こんにちは。

普段は怖いもの知らず、どんなものでも触ってしまう勢いの僕なのですが、一つだけ触ることの出来ないものがあります。小動物です。リスとかウサギとかなら可能なんですが、問題は水辺の小動物です。

沖縄はこのところ暖かくなってきたので、ちょっと早いけど海に行ってきたわけですよ。
そしたら見てください、なんか黒いやつがいます。ナマコです。僕の苦手な水辺の小動物、その中でも最もありえないと思われるナマコ。英語で言うとシーキューカンバ。こいつらが我が物顔でうごめいているわけですよ。怖くて泳げません。

(text by 安藤昌教山

いすぎ。

だけど僕かて今年で30になる大人です。ナマコごときにびびってる場合でもないわけです。いいかげんこのあたりで克服しておかなくては。


いくぜ、ナマコ。

と気合を入れ直してナマコを触ってみることに。うまくいけば僕の中で何かが変わるかもしれません。


でろーん。

いざ触ろうとするのですが、どうしても嫌なわけですよ。いいんじゃないか、別にナマコ触れなくったって人として今まで生きてこれたんだし、これからだって避けて通れるよ、とか思うわけです。ぜっぱつまると人間って弱いところがにじり出てくるものです。


さっきの勢いはどうした。

水の中のナマコとにらみ合うこと10分。もういいや、無理、帰ろう、と思った矢先のことでした。突如一匹のナマコが僕に話しかけてきたのです。ええ脳内で。

「なあ、触ってもいいんだぜ。触りたいんだろ」
「い、いえ、そんな大それたこと」
「だったらやめちまえよ。さっさと帰ればいい。だけど一つだけ確かなことはな、お前はいつかおれを越えなきゃいけないってことさ、どのみち」
「わかりました。痛くしないで下さい」

僕は海辺で一人ぶつぶつつぶやきながら水面下に横たわる一匹のナマコに手を伸ばしたのです。


いやまじほんとやばいですって。

はいこんにちはー。

その瞬間、僕の中で何かが弾けた。壊れていた時計が動き出すように止まっていた思考が戻ってくる。3月の海、三脚の上のデジカメ、手にはナマコ。

何してるんだ、おれ。

だけどナマコを海に返そうとしたときに確かに聞こえたような気がしたのです。

「グッジョブ」

海から吹いてくる風はまだ冷たかったけど、沖縄に暑い季節が近づいているのを感じました。今年の夏はナマコと一緒に泳ぎたいと思っています。

笑顔が作れません。

 

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