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コネタ


コネタ555
 
路面標示の「止まれ」を敬語にすると、どれくらいコストが上がるのか
 

普段はそれほど気にかからないのだが、渋滞でイライラしている時などに「止まれ」とか「速度を落とせ」という路面標示を見つけると、その命令口調に腹が立つ。あれ、敬語で標示出来ないものだろうか。「止まって下さい」とか。
「下さい」って丁寧に言われれば、まあ止まってあげてもいいかなあ、という気持ちになりそうなものだが、4文字増える事でコストが跳ね上がってしまうかもしれない。その辺の事も含め、施行業者さんから路面標示について色々と伺って来ました。

(text by 住 正徳

「止まれ」3文字でいくらなのか?
双葉ライン(株)代表の御厨さん
路面標示の単価はこの本で定められている
文字の太さなどが詳細に指定されている
徐行

路面標示には道路の管理者(国や地方自治体)が設けるものと、公安委員会(警察)が設けるものの2種類ある。現状標示の補修などは道路管理者からの依頼で、新規に設置する場合は警察からの依頼による。それぞれ、入札後に受注先が決定して施行に至る。
今回お話を伺った双葉ライン株式会社(東京都葛飾区)はその施行業者さんで、都内の道路に数多くの路面標示やラインを描いてきている。

早速、代表の御厨(みくりあ)さんに「止まれ」の値段を聞いたのだが、その算出方法がややこしい。

「まずは塗り面積を15センチ幅のメーター数に換算して、そこに土木施行単価本で設定されている単価を掛けると直接工事費が算出されます。その費用に共通仮設費、現場管理費、一般管理費、安全費がかかりますので、最終的な合計は直接工事費の1.8倍になります。また、夜間作業の場合は補正係数が変わりまして……」

すっかり頭が混乱してしまったので算出方法は置いといて、ざっくり「止まれ」はいくらなのか改めて聞いた。

「1文字で約8000円ですね。なので、“止まれ”で24,000円です」

業者間での価格競争や施行条件によって変動はあるものの、一般的な「止まれ(1文字の長さが1メートル80センチ)」の場合、1文字8000円が相場らしい。

という事は「止まって下さい」とした場合、4文字分の32,000円ほど余計にかかる計算になる。一カ所で32,000円なので、これを全国規模に換算すると大変な金額になりそうだ。全国に「止まれ」の路面標示が何カ所あるのか、調べがつかなかったのだが、東京都港区内での数は分かった。港区内6カ所の警察署によると、同管轄内には概算で1600個所の「止まれ」がある。(路面標示に関しては指導標示なので警察では完全に把握しきれていないので、あくまでも目安です)

つまり「止まれ」を敬語表記にすると、東京都港区だけでもおよそ5120万円も余計にコストがかかる訳だ。

「まあ、コストの面というよりは、可読性の問題が大きいですよね」
とは御厨さん。確かに「止まって下さい」は長過ぎる。道路上が文字だらけになってしまい、かえって腹が立つかもしれない。

だったら「止まる」はどうでしょうか?

「はははは。それはいいかもしれませんが、お上の言葉ですから“止まれ”ってなるんでしょう」

なるほど、お上は偉いから命令口調でいいのだ。


その他、路面標示の豆知識をどうぞ


「路面標示マニュアル」(全国道路標識・標示業協議会)で定められている文字、記号、数字は全部で70点。 車から見やすい様に、ほとんどの文字には約300%の長体がかかっている。
数字や矢印の長さは5メートルもある。 指定文字の中で一番画数が多いのは「優」
「千葉有料」など、路面標示マニュアルの中にない文字の場合は施工業者が書き起こし、警察の許可をもらわないといけない。 以前は手書きで新規文字を起こしていたが、最近ではキャドを使っている。写真は御厨さんが書き起こした「首都」。
15センチ用の機械は軽いので押す。 30センチ、40センチの機械は重いので引く。
機械の都合で施行の時は横線から引いていくので書き順が違う。写真の番号は「急」の書き順 双葉ライン株式会社のモットーは「人と車の共存のための道づくり」だ。

御厨さんに「デイリーポータルZ」を路面標示風に書き起こして下さい、とお願いしたら「はははは」と流されてしまった。今度、工事現場を見学させてもらう約束をしたので、その時にもう一回お願いしてみようと思う。



 

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