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コネタ


コネタ582
 
ネズミ視線で写真を撮った
道の模様に目がくらみます……

対人関係で神経が病んだおぼえはありませんが、対鼠関係で顔面神経痛になりそこねたことがあります。そう、ネズミのことです。

クーラーのスキ間からネズミのしっぽらしき幻(と信じたかった)を見たあの日から、大量発生。さんざんネズミにはコケにされてきました。

けれども私の屈辱とは裏腹に、世の中はネズミブームというではありませんか。
信じられません。人間不信です。
人間のココロがさっぱり理解できないので、仕方ないのでネズミ視線で写真を撮ってみることにしました。
そういえば
「畜生以下!」
となじられたこともあることですし、ネズミの気持ちが少しはわかるかもしれないからです……。

(text by 土屋 遊

今度は地面からかまえます

先日は、上空から、カラス視線で写真を撮ったデイリーポータル(タコにカメラをぶらさげる)ですが、今日は地面にカメラを置いて、の撮影。
はっきり言って体力は必要としません。
そしてピントは合います。
一石二鳥です。



新宿のゴールデンウイーク

一番めは渋滞中の新宿です。
小石をちりばめたようになっていますがアスファルトです。
二台前の運転手がドアを開けてすっとこどっこいな顔をしていました。
すっとこ……が何を言いたかったかと言えばおそらく
「なんだなんだ?爆弾か?」
テロリストとでも思われたのかもしれません。

心臓破りの坂

神楽坂には抹茶ババロアを食べに行くつもりでしたが、あまりの混雑ぶりに断念しました。
私のお年頃では、あの坂は歩くだけでも息切れがします。
写真を見ると、颯爽と走る若者がいますね、よほどお急ぎだったのでしょう、あの場で彼に気づいていたら、声援を送りたかったです。私なら親が危篤でも走れません。

まっすぐで美しいです

いかにも彼らが好みそうな、ビルの谷間が近所にありました。
大きく見えますが、実際は握りこぶしほどの細いドブ(?)です。
ここを通らなければネズミがすたると思わせるほどのネズミ道でした。
ちなみにネズミ道は「ねずみどう」と読んでください。
イミはありません。


ああ、そういえばネズミ道はうちのベランダにもありました。
みるみるうちに子を増やし、大家族となったカレらは気が大きくなったのでしょう、人の目もはばからず暴走をはじめます。ネズミマフィアです。

手すりの上でダダダーッとダッシュ大会の開催を日課にしていて、私は窓を開けて追い払うこともできずに、小さな暴走族におびえる日々を過ごしていました。

このままだと神経衰弱になりかねません。
意を決して、ホームセンターで『ねずみ捕り』を購入しました。
宇宙的なデザインがステキでした。
すこしでも罪の意識をやわらげたいので『ディズ○ーランド』と命名して、ファミリーの入場をひたすら待ちかまえることにしたのでした。

 


バスの中で、踏みつぶされないようにするのが大変だ

車内・駅シリーズ

駅のホームで、たくましく生きるネズミをみかけたことはありませんか。
自分の家ではマフィアでも、都会のまんなかで見かける彼らは、けなげな小動物であってまるっきり別の生き物のようにも見えます。

それにしても、人間の足がこれほど圧倒的だったとは……。


地下鉄は床がきれいです
JRも床がきれいです
鉄格子のような四谷駅ホーム
地下鉄のホームは静かでした

バスの車内では朝帰り風のお兄さんに

「なにやってんだよ」

と言われたような気がします。

「写真とってます」

と、ネズミ視線で言うと、納得なさったようすで、だまっていらしたような気もします。

カメラを出してシャッターを押す私が、なにをやってると思われたのでしょうか。
やはり手榴弾でしょうか。

ところで、ネズミブームに異議を唱えるみなさんもいらっしゃるでしょう。

しかし世の女性陣は、東京と言う名の千葉まで出かけてわざわざネズミカップルおよびその一味にキャーキャー黄色い歓声をあげておりますし、聞くところによりますと、いきなり抱きつきそのまま移動したり、突進したりするというではありませんか。

また、一時の熱は冷めたようですが、それでもハムスターはまだまだ人気者のようですね。
ダイエット食品・健康機器など、ペットショップは関連グッズで大繁盛 。うらやましいかぎりです。
「趣味・繁殖」のようちえん児を見た時はおどろきました。
繁殖……。

その一方で、

「もしこの車内に小さな小さなネズミが登場したら、大パニックになるんだろうな……みんな逃げまくるだろうな……」

と思い、複雑な心境になりましたが、もしかしたら満員電車には有効な手段かもしれません。

 

 

ごめん、まだまだ続きます

誘導エサ(からあげ)をぶら下げたその後の通称『ディズ○ーランド』ですが、私の机から良く見える場所においておきました。

ネズミマフィアはそれぞれにエントランスをうろうろするものの、入場まではいたらず、またダッシュトレーニングに励みだします。なにをそんなに鍛えているのでしょう。
私はというと、一部始終を監視しながら翻弄されっぱなしでした。
この思わせぶりな態度は女性として見習うべきではないでしょうか。

あの頃の私は、ランド周辺に近づいてきたネズミたちに、

「ハウスッ!ハウスッ!」

と、英語は通じないにもかかわらず小声で命令したりして、あきらかに情緒不安定だったと思います。


社会はまぶしい新宿西口
甲州街道で信号待ち
ツルピカ両国国技館
近所の商店街。魚がうまいよ
心霊写真でしょうか。実家前にて。
ペットボトルは午後ティーでした


ネズミマフィアとの終焉

誰も興味ないかもしれませんが、私とネズミ戦いの記録は続きます。

延長戦にもつれ込むと思われた矢先、そのバトルは意外な展開で終焉をむかえることとなりました。

飼い犬が他界したその数日後に、一斉に消えていることに気付いたのです。
子牛にまちがえられるほどデカい犬だったので、もしかしたら死にぎわに彼が食っ……(以下略)。

どっちにしても、最後まで頼りがいのある男でした。
ほんとうに、どうもありがとう。


江ノ島電鉄。細い線路もネズミ視線でダイナミックに


ネズミ視線を終えて

ネズミ視線の写真を撮ると、道路の模様に目がくらんだり、人間の足におどろかされたりするネズミのドキドキが伝わってきます。
さぞかし、おっかなびっくりライフを送っているのでしょう。
じっさい、ネズミの心拍数は毎分600〜700、象のそれの30倍と聞いたことがあります。ちなみに私が母に怒られている時の心拍数が600です。

つまり、ネズミたちは、私のあの緊迫状態でもって毎日過ごしているのでした。気の毒でなりません。
これからはネズミにやさしい女でありたいと思います。


草むらはネズミ気分にひたれます
さっぱりわかりませんが深夜の中野通り


ネズミ視線をほんとうに終えて

でもこんどネズミ穫りを購入した際のネーミングは決めています。
「ディズ○ーシー」です。


 

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