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コネタ


コネタ608
 
「川崎乗り」は今
 

自転車の二人乗りで、後ろの人が立って乗る事を「川崎乗り」というのをご存知だろうか? 自転車の後輪軸にステップを取り付け、そこに立つ。もちろん、二人乗りは違法である上に、更に立って乗っている訳なので許された事ではないのだが、今から20年近く前、僕が川崎の高校に通っていた頃は、「川崎乗り」が頻繁に見受けられ、実際僕も「川崎乗り」をしていた。あまりにもみんなが「川崎乗り」をするものだから、新聞でその危険性が取り上げられ、社会問題になっていた事を覚えている。

あれから20年、「川崎乗り」はどうなったのだろうか?
いまだに危険を顧みない若者たちが「川崎乗り」をしているのだろうか?

「川崎乗り」の今を確かめるため、川崎駅周辺を歩いた。

(text by 住 正徳

駅周辺の自転車置き場で


京急川崎駅前 高架下自転車駐輪場

まずは「川崎乗り」仕様の自転車がどれくらいあるのか、京急川崎駅の高架下駐輪場で探す事にした。係のおじさんに聞くと、ここには約1500台の自転車が停められているという。その数に圧倒されつつ、自転車の後輪だけに注目して川崎乗り仕様を探す。


ノーマルな自転車 川崎乗り仕様の自転車

小一時間ほどかけて全ての自転車をチェックしたが、川崎乗り仕様の自転車は10台にも満たなかった。

※駐輪場で見つけた川崎乗り仕様の自転車



20年前、あれほどまでに街に溢れていた川崎乗り仕様の自転車が、今となってはほとんど見当たらない。

川崎乗りは確実に少なくなっているようだが、実際の所はどうなのか?
事実関係を確かめる為、駅周辺の自転車屋さんに話を聞いてみた。

自転車屋さんではステップを売らない


大野商会さん カメダサイクルさん

2軒の自転車屋さんで川崎乗りについて話を伺った。2軒とも親切に色々と教えてくれて、どちらの見解もほぼ似ていた。

・そもそもあのステップは変速機の保護のために付けられていた。
・それを二人乗りに利用したのが川崎乗りの始まり。
・「川崎乗り」という名前の由来は、川崎が発祥だから、川崎に多かったから、など諸説ある。
・川崎乗りをしていた高校生がガードに頭をぶつけ、脳挫傷の重傷をおうという事故があった。
・それ以来、二人乗り用にステップを売ってはいけない事になり、川崎乗りが少なくなった。
・現在ではほとんどの学生が普通の二人乗りをしている。

やはりこの20年間で、川崎乗りはほとんどなくなった様だった。だが、普通の二人乗りでも違法行為には変わりはない。カメダサイクルのご主人は嘆く。

「警察がちゃんと取り締まらないからいけないんだ。パトカーから“二人乗りはやめなさい”って放送するだけなんだから。ちゃんと自転車を止めて、叱らないと駄目なんだよ」

ご主人は更に、川崎乗りが完全になくならない理由として、ディスカウントストアの存在を指摘した。

「違法だって言うのに未だにステップを売っている。儲け優先主義で倫理観がないんだよ。自転車組合に加盟しているお店は絶対そんな事しない」

 

警察とディスカウントストアでその辺りを確かめたいと思う。

見かければ注意はしている

南町交番で話を聞いた

川崎乗りの現状を警察ではどう把握しているのか。交番で聞いてみたが、対応してくれた警察官が若い方で、川崎乗りを知らないという。後ろの人が後輪のステップに立って乗る二人乗りの事だと説明すると、そういう乗り方をしている人はほとんどいないと答えてくれた。

若い警察官がその存在を知らないほど、川崎乗りは少なくなっているのだ。
続けて、普通の二人乗りについて聞いた。

--普通の二人乗りはまだ多いと聞きましたが?
「そうですね、見かければ注意する様にはしていますけど」

二人乗りは道路交通法違反だ、と補足してくれた。注意しても降りない場合は罰則が設けられているのだ。スピード違反などの反則行為ではないので、罰金が定められている訳ではないが、裁判の後、決定した罰金を払わなくてはいけない。


一見3人乗りの様に見えるが一番後ろのおじさんは関係ない 青春の一コマとして
カーディガンは色違い シャツは出して
停車中は二人で立って自転車を支える ヘアピンカーブ、しっかりつかまってろ!
カーディガンはお揃いで コインロッカーに制服をしまってきました
タッチとカッチと南ちゃん 待ってくれよー、置いてかないでくれよー

二人乗り撲滅の努力はしている。
それが警察の見解であったが、交番周辺でも二人乗りをする若者の姿が目立った。

 

最後に、川崎乗りが完全になくならない理由、ディスカウントストアに行ってみよう。

商品棚には陳列されていない


某ディスカウントストア店頭

南町交番から徒歩で5分ほどの場所に某ディスカウントストアAはあった。
店頭に1万円台の自転車が並んでいる。その間を抜けて店内に入ると、自転車用具が陳列されているコーナーがある。タイヤチューブやチェーンキーなど、自転車グッズが一通り揃ってはいるが、問題のステップは置いていない。

カメダサイクルのご主人が言っていた事は嘘だったのか?


自転車コーナー

店員さんにステップは置いてあるか、聞いてみた。

「ああ、ステップはレジにあります」

レジに?
何故自転車コーナーに置いていないのか、疑問を感じつつレジに行く。レジ係の女性にステップを注文すると、レジ下の棚から小さな箱を取り出した。箱の中にはステップがいくつか入っていた。

隠す様にして売っている。そういう印象を持たずにはいられなかった。


商品名はメカガード。893円

パッケージには注意書きが同封されていて、「これを使用して二人乗りはしないこと」とあった。つまり、二人乗りに使用される事を知っているのである。




また、このステップは自分でも簡単に取り付けられてしまう。こうしてディスカウントストアで手に入ってしまうという事は、後ろに座っている人がいつでも立ち上がれる、という事なのだ。

ステップを売る業者がいて、二人乗りをする若者がいる以上、川崎乗りは完全にはなくならない。いや、むしろ、いつまた流行してもおかしくない。そんな危険をはらんでいるといえる。

若者たちよ、立ち上がるな!
そう警告して、今回のレポートは終わります。



 

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