親孝行から出来たお店
感動して若い店長、近藤さんにお話を伺った。
「店長、すごいですね、名古屋の手羽先でした。」
「ありがとうございます。だけどメニューはどれも沖縄の人の口に合うように微妙に改良しています。手羽先だって本場のはもうちょっとピリ辛でしょう。はじめはそのまま出していたのですが、お客さんにあまりにも辛い、と言われて改良しました。」
そういわれてみると確かに幾分マイルドになっている気もする。だけど根本に流れる名古屋のマインドはそのままだ。
近藤さんは1年ほど前に地元愛知から家族共々沖縄にやってきた。その理由を尋ねると少しはにかんだ笑顔を浮かべながら、名古屋弁の残るイントネーションで話してくれた。
「実はね、親父が話してるところを盗み聞きしてしまったんですよ。いつか沖縄に住みたいなあ、って。それならば、と僕が先にこっちにきて名古屋の味が食べられる場所を作ろうと思ったんです。」
沖縄に進出した理由は近藤さんの親孝行だった。いい話ではないか。で、お父さんはさぞ喜んだでしょう。
「いやそれがもう飽きたみたいで、お前がここでお店やってるのならたまに来るからもう住むのはいいや、って。」
お父さん。
|