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コネタ


コネタ627
 
面白ゼミナールのあのトロフィーを作る

若い読者の方には大変恐縮ですが、昔のテレビの話から始まります。

小学校の頃、よくクイズ番組を見た中に、NHKの「クイズ面白ゼミナール」というのがあった。著書「気くばりのすすめ」でおなじみの鈴木健二アナウンサーが司会をやっていた、教養系クイズ番組だ。「さあ答えなさい」の命令口調や、寸劇に出てきたエキストラを最後「本日のオールスターキャストでございます」と紹介するシーンが懐かしい(というかほぼそれしか覚えていない)。

さて、優勝チームには最後にトロフィーがもらえるのだが、そのトロフィーが変わっていた。(確か)どこから見ても「?」マークに見えるよう造型されたものだったのだ。

グラフィックデザイナー福田繁雄氏の手になるそれは、幼い心をいたく刺激した。あの形はどうやって作ればそうなるの?

あれから20数年―「発泡スチロール」という材料を手にしたサルが、今その謎の造型を再現する。

乙幡 啓子

「角度を変えると違うものが見えてくる」という造型や絵に、やたら私は感心する。だまし絵なんかもそうだし、おととしデイリーの取材で訪ねたつくば万博跡地にもそれはあった。


方向を変えると4人の偉人の顔がいっぺんに表現されているのがわかる。

上の写真のようなものはお手上げだ。でも、単純なマークをスチロールで、ということなら、なんとかできそうな気がする。たぶん3次元CADソフトか何かあれば簡単なのかもしれないが、設備の不足は脳で補うことにして、いそいそと発泡スチロールを買いに出かける。


シャキーン。また来たぜ。主役のスチロールカッターと、横たわる切られ役。

脳内CADと図面を頼りに切っていくわけだ。まずは平行な2面に図を写していく。


当然裏はこうなる。

ずずずー。ああ・・・快感。私にはここが山場である。

なんとか1方向には切り抜けました。

次が大変だ。大変なのよ!と声を大にして言いたい。残りの2面(すでに曲面と化している)に、平面図を写すのが、た・い・へ・ん・な・ん・だ・よっ。


目線をできるだけ物体と平行にして、型紙の来るべきところに見当をつけていく。

なんとかひけたー。

あとはまた裏と表の線がなるべくずれないように、スチロールカッターで切っていくわけだ。またこれが大変だ。平行になかなか切れない。頭の中で出来上がりもだいたい予測しながら作っていかないといけない。でも、まあ、なんとかできたぜ。


マウスオーバーでまわります。

まあ、2方向からは「?」に見え、残り2方向からはその裏返しになるわけだが。作ってから言うのもなんだが、あの番組のトロフィーは「?」と何か他の別の字だったような気もする。

これ、2つともおなじ「?」マークだからまだいいようなものの、全然違う字を融合させるとしたらどうなるんだろう。知恵熱出ちゃうよ。頭から煙を出しながらの作業は必至である。

ご注文があればお作りしてもよくってよ。嘘。いつか作りますで、今日のところはこれで勘弁してくだされ。


デイリーポータル「Z」!も作ってみた、余力で。
斜めから見る。もう何が何だか。

 

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