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コネタ


コネタ645
 
動かないトリは必殺仕掛け鳥だった
「必殺仕掛け鳥」とは私のことです

動かない鳥がいるという。

テレビ出演の際には、40分以上動かなかったために、スタッフがビデオの故障を疑ったという逸話を持つその鳥の名は

「ハシビロコウ」

ネットで探してみると、グレーのボディに木靴のような大きなくちばし。そして、見つめられると思わず動揺してしまいそうなつぶらな瞳。

か、かわいい。
頭からはなれない。

ああわたしも、動かない鳥に会って、ぜひともカメラの故障を疑ってみたい。

電化店のポイントカードで購入したばかりのデジカメを持って、上野動物園に行ってきました。

(text by 土屋 遊

「ハシビロコウ」を予習する

まずは、あらゆる手段を駆使(ただの検索です)して、1科1属1種の珍鳥「ハシビロコウ」を予習してワクワクしてみる。

和名:ハシビロコウ、由来はクチバシの広いコウノトリ
英名:Shoebill、由来は木靴。ほかにクジラの頭という異名も持つ
コウノトリ目
ハシビロコウ科
アフリカ中央部の沼地・湿地帯に単独orペアで生息
体長 120cm
絶滅危惧種

サギとコウノトリとペリカンの特徴をあわせ持っているが実はどれとも類縁はないとのことで、まるっきりワケがわからないが、「とにかく珍鳥」ということだけはなんとなく理解する。

日本では、今回訪問する上野動物園、直立レッサー風太くんのいる千葉市動物公園、日本一ご長寿ハシビロコウのいる伊豆シャボテン公園で彼らの動かないぶりに会える。

「ハシビロコウ」vs.「うちのオカン」

「動物園で動かない生き物」と言えば、ハ虫類をのぞけば、ナマケモノと私の母くらいしか見たことがない。

コレと決めた動物(主にネコ科)の前から、飲まず食わずで一歩も動かず、丸一日延々と話しかけているという奇病の持ち主である我が母。動物たちに勝手に命名して呼びかけている事もあり、我々子どもたちはそのたびに「知らないオバサン」という設定で一日を過ごすことにしていた。
いいかげんつきあいきれなくなった父が、動物園を抜けだし温泉とサウナに数時間入って戻ってきても、まだ話しかけていたというエピソードもある。

当日はそんな母を同行させ、「ハシビロコウ」vs.「うちのオカン」という夢の不動バトル伝説を作ろうと思っていたのだが、あいにく「なんだか勝てる気がしない」という理由で断られてしまったのだった。
鳥に負けるのがくやしいのか、夢がない母だ。


上野動物園が私をまっていた


いよいよ不動の鳥に……

「ハシビロコウ」に会えるのは、上野動物園の西園。

メインであるパンダ舎でなぜか元気にヒップホップを踊るレッサーパンダを眺めたり、ワシに色目を使うオオタカを観察して今後の参考にしたり、股間を両手でかくしながら眠るあざらしパパの手ばかりが気になったり、どうやったら鼻くそを豪快にほじれるのかとゴリラからのご教示を受けたあと、ゆるやかな坂を下って「ハシビロコウ」の待つ西園へ。

彼らの鳥舎は、フラミンゴの放飼場と隣接している。鮮やかなサーモンピンクのフラミンゴ集団が目立つのですぐにわかった。

いました。
静かにじっと、佇んでいました。


物思いにふける怪鳥、たしかに動きません。

じっーーーー……。
瞬きの瞬間。腹がへこみますように……。

一挙一動に感動する

うわっ頭が動いた!
と、それだけで大騒ぎしていた私たちに、ハシビロコウのスケッチをしていた美しい女性が、そっと指を指して教えてくださったのは目の前に存在していたハシビロコウ。

うっわー!こんな目前にいたのか……。

たしかにほとんど動かない。スケッチするには最適のモチーフだ。
まばたきしただけでも、貴重なものを見せていただいた気になる。まるで星空の流れ星のようなありがたさ。なにか願い事をすれば叶うのではないだろうか。

そんな熱い思いが通じたのか、これから私たちは動くハシビロコウどころか、衝撃的とも言える彼らのパフォーマンスを目撃する事になるのだった。

 

おもむろに立ち上がると……
カポカポカポカポ!高々とくちばしを鳴らしました。
騒々しくなったフラミンゴのもとへ行ってみると、なにやら一人で立ち向かう黒崎さん発見。ア、アレ?君は……
お隣に乱入!もしかして橋夫さん(仮名)、ワープですか?
ゆっくりとプレシャーをかける橋夫さんと逃げまどうフラ家族。そしてひそかにバッくれる黒崎さん
あっちにもお仲間が……橋夫さん、なにか企んでいるお顔をしています


は、橋夫さん、あんた、ぜったい何か企んでるでしょ?なぜか一羽、勘が鋭く逃げ足のはやいフラミンゴがいるようです


うぎゃあ!#$%&’!!ふぇk#$%&’!(奇声をあげて逃げまどうフラファミリー)
ひょええ!今度はこっちかよ〜!!!!!右往左往するフラ軍団
橋夫、自分のシマに戻る
これ以上、満足げな顔をした鳥を、かつて見たことがあったでしょうか


うわっ!こんな人工けもの道があったとは……超ごきげんな橋夫さんはここを通っていらっしゃいました


のっそりのっそりとそのままお家のなかへ……
目をこらしてください。じーっとエサ(魚)を見つめています
のみこむ瞬間、得意げに私の顔をみてくれました
いたずらもしてお腹もいっぱい。橋夫さん大満足です


嵐も去り、平和なフラファミリーはこんな雰囲気です。なぜか今ごろ白井さんがいきがっていますが全員にムシされていました

【感想文】動物園に、いこう。

うちの犬は、私がベッドに入り、寝息をたてるまでビットリとそばにいてくれる。ボディーガードをしているつもりらしいのだが、いったん「こいつ寝たな」と思うとぜったいに私には近づかない(らしい)。

それはなぜだろう。さっぱりわからない。私はそんな、犬の心理がどうしても解せない。

自分ちの犬の気持ちでさえ理解できない私が、ハシビロコウの気持ちを理解することなど不可能ではあるものの、多大なる関心をもって長い時間をかけ、かれらの様子を一部始終見てきた。

一歩一歩、用心深く歩く姿も、魚をひとのみする様子も、悪巧みのあの行動も、すべてがかわいらしく非常に興味深い。 絶滅危惧種だと聞いて、どうにかならないもんだろうか、と本気で思う。

たまたま私は今回ハシビロコウを見てきたが、たいくつそうに見える動物園の中は、ほんとうはかなりドラマチックに展開しているのではないだろうか。それをじっくり見て、カレらを知るほど、もうなんだか他人事とは思えなくなってくるんじゃないのか、と思った。

でもって、もしや私の母は、それを全身で子どもたちに教えていたのではないか、そんな気がしてきた。
そうだ、だって彼女はいつも動物園から帰るとちゅう、

「あのピューマは私ばかり見ていたのよ。気持ちが通じたのよ」

「私のこと親だと思ってるらしいわ」

「私の前世ってもしかしたらネコ科の動物かもしれない」

など、そんなちょっと、尋常ではないセリフを、まじめな顔して言っていたのですから。それを聞かされる、こっちの身にもなってみてください。



どこの動物園も、動物たちの魅力をいっしょうけんめい伝えようとしています。

動物園に、行こう。

 

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