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コネタ648
 
輝くドロ団子ビリヤード
 

泥団子の前にルールは無用だ。
自分の自慢の作品を見せびらかすもアリ、ぶつけ合って遊ぶもアリ。

手足を泥だらけにして、帰宅したらお風呂場へ直行した子供時代の話だ。

そんなマイ手作りアイテム泥団子、いろんな場所の土で試してみたり、数日寝かせてみたり、様々な小細工をして、他と強度や美しさを競い合った。

それが今では陶器のように輝く泥団子が作れるという。
心の奥に眠っていた幼少の頃の私が、それに飛びつかないわけが無かった。

佐倉 美穂

こんな泥団子を夢見て

今回この実験をしようと思ったのはこのサイトを見たからだ。
これ、土? まじ? 星の模型とか、ボーリングの球とかじゃないの?
ページ下の上級の作品では花瓶や香炉にまでなっている。それ、もう泥団子じゃないだろう。

猛烈に惹かれたが、私は泥の前では何の知識もない幼子同然だ。
とりあえず初級の泥団子を作ってみよう。

まず園芸店で荒木田土を購入。
それにしてもガーデニング人気は衰えを知らないらしく、あまたの土や肥料が置いてある。
その中で普通に売られている「牛ふん」。


どーんと牛ふん

ああ、プロトコルに「まず、牛ふんと砂をよく混ぜ合わせます」なんて書かれてなくてよかった。
まだちょっと牛ふんはハードルが高いよ。


もう一つの材料を求めて

残る材料の砂を採取しに砂場へ向かう。

砂場。動くスライムで砂鉄を採って以来の場所だ。
近頃は衛生に意識が高くなったので、幼稚園などの砂場は囲いがしてあったりするが、ここの砂場はフリーダムだ。


さあみんなおいで

昔砂場で遊んでいた時、たまに干物のように薄べったく、禁忌の香りのするものが出土し、つまみ上げていた。その頃はそれが何だかも知らずに。
むしろそれが出てくると嫌なそぶりをしながら内心わくわくしていた。タブーは人を惹きつけるが、実際つまんでいたのはただの猫うんちだ。

さあ、本格的に団子作り

採取した砂に適当量の水を加え、しっとりしたら荒木田土と混ぜる。


砂と土を半分ずつくらい

藤棚の下の砂には葉っぱが多く紛れており、荒木田土は粘土質だからかごろごろ固まっている。お菓子作りならふるいにかけたいところだが、ここは念入りに指でつぶしていくしかない。

混ぜ合わせるこの感触。握ると指から溢れる砂と泥。
パイ生地をこねるのも、陶芸の土を練るのも、うどんをこねるのも、みんなこの体験の擬似のように思えてくる。子供も大人もこねこねが好きなのだ。


ほら、やりたくなってきたでしょう?

まざった土を丸くし、乾燥させる。湿ったままの土を置いておくと底が平らになるので、たまに丸めてやる。

このままおままごとに突入か

しかし球を作ろうとしている私の手つきはどうみてもオニギリをむすんでいる。

地味に乾燥
乾いたらコンクリと同化した

乾いた泥団子を球にする。泥団子より少し小さい口のビンの上でごりごりと転がして削るのだ。
しかし削っていると、取り除けなかった葉っぱ等のゴミが掘り起こされてボコッと穴が空く。これではいつまでも球にならないよ。

つるっとまるっと

しかし次の段階では、荒木田土を水で溶いて泥団子に塗りつけるのだ。これでクレーターも綺麗に埋められるかもしれない。
強硬手段だが、やってみたら、おおお、すべすべとした球になった!

あとは優しく手で撫でるようにして磨き、光沢が出るのを待つだけだ。

磨き……磨き……磨き……

もう手に砂の一粒も付かないくらいに磨いてできたのが、これです。


どう?

やはり上級にはかなわない。陶器のような泥団子なんて全然無理だ。
しかしこれはこれで鈍く光を反射している。光る泥団子と名乗っても、まあ、偽りはなかろう。
しかも驚くくらい硬い。子供の頃にこんな泥団子が作れたら、そりゃあもう仲間達は羨望の眼差しだ。盗まれる可能性もあるくらいに大人気となっただろう。


泥団子を持って外へ

せっかくできた光る泥団子。華々しい舞台で活躍させてみた。
この見事な溶け込みっぷりはどうだ。


キューで突こうとしてるのが泥団子です(念のため)

プチ実験

あまりの団子の硬さに、どれくらいまで耐えられるのか知りたくなった。
全力で握っても潰れない。
ベルサイユのばら(愛蔵版)を乗せても、百科事典を3冊乗せても潰れない。
私が乗っても潰れない……。

これ以上重い物で乗せられそうな物がないので、この挑戦はギブ。
勝者・泥団子に栄誉と賞賛を!

足の裏が気持ちよかった。

 

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