先週、「後から貼らなくてはいけなくなってしまった苦渋の貼り紙」についてレポートしたが、そのときひとつの備品が大いに心に残った。「使用済みパスネット入れ」である(パスネットとは、東京近郊の私鉄で乗車券として使えるプリペイドカードのこと)。「パスネット入れ」とぞんざいに呼びならわされることの多いこの箱、ときに黙って通り過ぎることのできないDEATHなオーラを放っていることもあり、以前からその有り様が気になって仕方なかった。
そこだけ時空が戦前につながっているような。手を入れると空間のねじれに吸い込まれ、老婆の手をつかんでしまいそうな。
この箱は、都市における闇か。この存在自体が、パンドラの函なのか。
とワーワー言ってますが、要は都会にもこんな手作り感を見つけて喜んでみよう、ということです。
(乙幡 啓子)
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