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コネタ


コネタ667

 
古本に自由に書き込みができる本屋
禁断の古本への書き込み。

一週間の期間限定だが、古本に自由に書き込みができる本屋がオープンしたらしい。

来店したお客様が展示している本に勝手にペンで書き込めるわけだ。普段は禁じられているいたずら書きをここでは存分に楽しむことができる。

学生時代、歴史の教科書のザビエルにいたずら書きしたことがあるすべての人々へ、夢のひとときへご招待します。

梅田カズヒコ

今回「書き込みできる本屋」の会場になった恵比寿のギャラリー「point」

さっそくお話を伺いに。

さっそく会場になっている恵比寿のギャラリー「Point」へ。残念ながらこの記事が掲載されている今日にはこのイベントは終わってしまいましたが、6月23日から29日まで、毎日ここで本への書き込み(というかほぼいたずら書き)が行われていました。

会場には20冊ほど本が並んでいてペンで思う存分書き込む事ができる。中には三島由紀夫の偉大な名著から約50年前の映画雑誌まで「ほんまにここに書き込んでええの?」な贅沢な品揃えでした。何はともあれこの企画を考案した「古本屋ウェブマガジン」のbook pick orchestraの代表、内沼晋太郎さんにお話を聞く事にしました。


書き込みが施された本を読む内沼さん。
誰にも怒られずにこんな本に書き込みできるなんて……なんだか贅沢な娯楽だ。

Q.会場にくるお客さんの反応はどうですか?

内沼:ひとそれぞれの反応があって面白いですね。カップルで来たお客さんの彼氏のほうが夢中になってしまって、2,3時間ぐらい書き込んでいて彼女のほうが途中で帰ってしまったり。さまざまな反応が得られるのでこちらも面白いです



Q.どういった経緯でこのような発想にいたったわけですか?

内沼:普段はネットで古本を売っているんですが、古本って書き込みとかがあると価値は下がってしまうわけです。でも以前の読者が読みながら考えた事とかを書いてあったりしてそういうのを読んだりするのって実は面白いなと。
商品価値は下がっちゃうけど、そういうのの中に面白いのがあったりして。中には書き込みがあることによって価値があがってるんじゃないかと感じるものもあります。そういう考え方もあるんだよっていうことを伝えるために企画しました。

なるほど。言われてみると、図書館で借りた本の中に勝手に書いてある書き込み。公共の本に書き込み行為自体はいけない事だけど、それを読んで楽しんでいた事があったと思う。


こちらは書き込みというよりいたずら書きです。

 

内沼さんと一緒にプチ品評会を行うことに


今回のイベントについて細かくうかがうつもりが、イベントに参加されたお客さん書き込みが面白くて、品評会になってしまいました。

梅田:何か面白い書き込みありますか。
内沼:けっこうありますよ。
梅田:この辺の写真なんか、もう書き込んでくれって言わんばかりですね。
内沼:こういったいかにもな写真は逆にセンスが問われて難しいんですよ。
梅田:なるほど。

いかにもな写真、1。
いかにもな写真、2。


梅田:なんだか懐かしい気分になりますね。
内沼:そうですね。
梅田:学生の頃、人の教科書をのぞいているみたいな気分だ。
内沼:懐かしいといえばこういう落書きも懐かしいですね。(左の写真)
梅田:でましたね、眼帯。
内沼:なぜか懐かしいです。
梅田:書き込みの定番ですね。なんでみんな眼帯つけたがるんですか?
内沼:わかりません。
梅田:この絵だけ見てると、学校のロッカーとか掃除用具箱とか、好きだった女の子の事とか思い出しそうです。
内沼:モラトリアムな感じですよね。
梅田:そういえば小学校の頃、好きだった女の子の教科書に(写真左)のようないたずら書きがあって、一瞬で恋が冷めました。よりによって、おはぐろですよ。
内沼:乙女チックないたずら書きだったらよかったんですかね。
梅田:難しいところですね。ただおはぐろを書いていただけなのに、「女の子は何考えているかわからない」って悩みました。子供心に。
内沼:切ない話だけど、面白い。
梅田:今思うとその女の子にすると勝手な話ですよね。


あーざっす。


50年代と2000年代をつなぐ書き込み

内沼:左の写真ですが、1950年代のキネマ旬報なんですけど。
梅田:2000年代のギャグを書き込まれてますね。「あざーっす!」
内沼:世紀を越えた書き込みですね。
梅田:ロマンチックなのかバカらしいのかよくわからない。

内沼:こちら(写真左)は素朴な疑問が書き込まれてますね。もっきり屋って何? と。
梅田:本読んでてたまにこういう瞬間ありますよね。何? って思う瞬間。
内沼:こういった書き込みは、前の読者の感情が想像できて面白いですね。
梅田:書き手と読み手の二元構造からの脱皮ですね。前の読者が書き手になる。双方向性だ。インターネットだ。
内沼:確かにブログの書き込みに近いのかもしれない。

内沼:写真左ですが、まじめな文章のタイトルが書き込みによって変えられています。
梅田:『マンガは教育問題にならないこともない』こういった気難しい文章こそ書き込みたくなっちゃうんですね。
内沼:気持ちは分かります。そういえば、三島由紀夫の本も展示していますが、やっぱりいろいろ書き込まれていますよ。

 

近代文学への挑戦!? 三島由紀夫にダメだし。



梅田:これが三島由紀夫の本ですか?
内沼:そうです。表紙も書き込まれて、ずいぶんポップになっちゃいました。
梅田:教育熱心なママが買ってきた本が子供部屋でこうなってたらショックでしょうね。
内沼:そうですね。もちろん、中の文章にもいろいろ書き込まれています。(写真左下)それぞれが文章の中で気になったところにマーカーをいれてますね。
梅田:なるほど。僕はいわゆるこういった近代的な文学作品が苦手なのですが、こういった書き込みがあったら楽しめるかもしれない。「あ、読者の誰かはここの表現が気になったんだ」とか思ったり。
内沼:重要なのはそこなんですよ。本って書き込むのがタブーっていうのがあるじゃないですか。それってどこか本の内容はありがたがるもの、という観念があるからだと思うんです。もっともっと楽しむものであってもいいのでは、と。
梅田:いい事いいますね。


梅田:三島由紀夫が男女の濡れ場を書くシーンですが、第三者の読者によって『さすがに大げさでは』と突っ込まれてますね。
内沼:あはは。
梅田:まさか三島由紀夫もこんな後世になってダメだしをくらってるとは思ってないでしょうね。
内沼:でもちゃんと読んでいくと、確かに大げさです。
梅田:こうやって書き込まれることによってなんだか自分が気づかなかった三島の新たな魅力に気づきます。三島って大げさだったんだー、とか。
内沼:いいことだと思います。

 

ひっそりと書き込まれた格言

梅田:これはまた、格言チックな事が書かれてますね。
内沼:『馬を水飲み場までつれていくことはたやすいが水を飲ませることは難し』と。
梅田:なんだかこのイラストとともに読むと、ちょっとグッとくるものがありますね。どういう意味だかはよくわかんないけど。
内沼:図書館で借りてきた本の裏表紙とかにたまにこういったことが載ってる本があって。誰がどんな思いをこめて書いたのか想像して楽しんでました。
梅田:こういった書き込みが先ほどおっしゃっていた『価値があがっている本』なのかもしれませんね。

梅田:本日はありがとうございました。
内沼:いえ、こちらこそ。

 

お忙しい中インタビューにつきあっていただいた内沼さんがお帰りになった後も、僕はページをめくって一人クスクス笑っていました。会場の雰囲気のおかげかお客さんもすっかりアットホームな雰囲気で楽しんでおりました。

字が汚くてすみません。読めますか?

取材協力

book pick orchestra
http://www.super-jp.com/bookpick/
「古本屋ウェブマガジン」

Point
http://www.enough.jp/point/
〒 150-0021東京都渋谷区恵比寿西1-4-7
TEL 03-5428-5179
ギャラリー、デザインオフィス

今回の企画の発案者であるbook pick orchestraさんとpointさんはこれからも今回のような実験的で楽しいイベントを企画中だそうです。


 

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