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コネタ


コネタ706
 
打ち水で書いたラヴ・レター

砂にメッセージを書いて波で消されるアレにあこがれる。
でも私の家の近くには海も砂浜もない。誰にも言えない(そんなことはないけど)想いを波のまにまに漂わせたいけれど、夏休みの前進行が立てこんで海にまで行く時間がない。日焼けしたくないし。

・・・というわけで、都会のどまんなかで朝っぱらからラブレターをしたためましょう。
灼熱のヒートアイランドに消える、はかない愛のメッセージです。

(text by 田中あずさ

打ち水人

実は、2年ほど前からひそかに話題になっている「打ち水大作戦」の取材をきっかけに、すっかり打ち水人になっていた。浴槽の水を払わずに溜めておき、朝起きて植物と家の前にてきとうにまく。
気温を下げるとかエコとかまあそんな理由もあるのだけれど、私の場合、水をまくのが楽しいからというのがおよその理由だ。ばしゃばしゃと水をまく快感を味わいたくて、前の晩にわざわざ浴槽に湯を張ることもある。(打ち水は2次利用水(おふろの残り水とか米のとぎ汁とか)で行うのがスマートで、水道水をそのまま使うのは邪道とされているから。ホースでびゅーっとやるなんて至福の水まきタイムだが、打ち水大作戦のルールではご法度なのだ)

前置きが長くなりましたが、打ち水が乾いてもとの地面に戻る様を見ながら、「これって砂が水に洗われてフラットになるかんじと似ているなー」と思ったわけです。

で、今回は友人の古書店「オヨヨ書林」にマイ打ち水セットを持ち込み、店番ついでにラブレターをしたためようと思う。あまりお客もこないし、ひっそりと想いにふけるには絶好のロケーションだからね。


想いのたけをぶちまける

傾斜のおかげで液ダレしてはいるものの、改心の作だ。こんなにでかでかと書いても、そのうち乾いて消えてしまうんだからちっとも恥ずかしくなんてないぞ。いつもの撒き散らし感こそないものの、水をまく楽しさと軒先にでかでかと想いのたけをぶちまけられる快感は思った以上に興奮するものだった。


「なんだい!? 打ち水かい!・・・打ち水で字を書くだってぇ〜?そりゃーおもしろいねえ!なんだい!?「すき」って書いてるのかい!じゃあハートも書きなさいよ!ハート!!・・・そうそう、矢もね、矢!!」

古書店の前を通りすがった地元の男性の威勢につられて書いたハート。矢の羽まで書けと言われましたが、至りませんでした。

 

打ち水で書いたラヴ・レター
♪ふたりで打ち水のラヴ・レターを書いて〜
♪時間をすごしたね〜
♪太陽がその文字を消して〜
♪独りになっちゃった〜
♪今は打っては消える打ち水が〜
♪胸キュンなのさ〜

「砂に書いたラヴ・レター (Pat Boone ) 」という曲の歌詞になぞらえ、はかない打ち水のラブレターの行く末を見守る。太陽に照らされ、打ち水が消えてゆくあいだには、たくさんの人がそのメッセージを踏んでいった。

ここは店の軒先を通る歩道なわけで、営業妨害にならなくってよかったと思う。

 

まいては消えるメッセージ


英語版打ち水ラブレター。

まとめと考察

打ち水は楽しいし、楽しい打ち水でメッセージをぶちまければなおのこと楽しい。

歩道や人通りのあるところで打ち水メッセージをする場合は、ふまれてもいいメッセージもしくはふまれたいメッセージを選ぶのがいいかもしれません。


 

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