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コネタ


コネタ718
 
振る実験
シェーカーがないので、これで振ります

バーテンダーがカクテルを作る時に「シャカシャカ…」とシェーカーを振る例の動作。あれのちゃんとした意味を、先日初めて知りました。

・混ざりにくい材料を混ぜる
・お酒を急激に冷やす
・気泡を入れることによって味をまろやかに

…ほほう。気泡を入れると、味がまろやかになるのか。それは知らなかった。

というわけで、身近な飲み物を一心不乱に振ってみました。果たして、味にはどんな変化が訪れるのでしょうか。

高瀬 克子

まろやかに?

「味がまろやかになって嬉しい飲み物…」とスーパーをウロウロしていて、うってつけの物を見つけた。酢だ。

酢が体にいいことは知っている。知ってはいるが、イマイチ飲む気にならないのは、あの「つーん」とした匂いと味のせいだ。

「これがまろやかになるなら願ってもない」と、さっそく実験開始。


酢といっても調味料ではなく黒酢ドリンクを選択(梅果汁2%入り)

カラの小さなペットボトルに酢を入れ、シャカシャカと振っていく。

振る時間は5分に決めた。1分では短すぎるし10分では長すぎる。5分が妥当な線だろう。ちなみに根拠は一切ない。


とにかく振りまくる
思った以上に盛大に泡立った

5分だと、だいたい1200回くらい振ることになる。わりと大変だ。右手・左手、と交互に持ち替えて振り続ける。

この動作、バーテンにおけるシェーカーというより、まるでマラカス奏者の動きだ。しかも速度的にラテン系ではなく、スラッシュメタルバンドの(スラッシュメタルにマラカスはいりませんが)。

さて、5分間振った酢と、振らずに残した酢とを飲み比べてみよう。

…おや? 振る前の方がまろやかだ。味がキツくなっているのは何故だろう。酢と梅が渾然一体として美味しい飲み物だったのに、振った物は味がバラバラで、トンガった印象だ。喉の奥が「イーッ」となる、酢独特のあの感じが残る。

これはもしかして、世に言う「分離」というやつだろうか。どうも話が違う。もしや振りすぎたか。他の飲み物でも試してみよう。


酸っぱい系、第2の刺客グレープフルーツジュース果汁100%。分離するならしてみろ
再び5分間マラカス奏者と化しました(エアーマラカス)

ゴクリ。…おや。一転して味が丸くなった。振る前と後の物を飲み比べてみても、ハッキリと味が違う。酸っぱさのカドが取れた感じだ。

なるほど、味がまろやかになるって、こういうことか。もしかしたら酢も「酢、オンリー」だったら、違う結果になったかもしれない。

 

次はお酒をまろやかに

ジュースの結果に気を良くして、お酒を振ることにした。1品目はワイン。「運搬時に揺らすと味が落ちる」だの「グラスに入れて回すと香りが立つ」だのと言われるワインだが、振るとどうなるんだろう。


飲み過ぎないようにミニボトルを購入
ペットボトルのフタを取る時、小さく「プシュッ」と音が

やはり5分振った後、飲んでみる。

第一印象は「ぼんやり」だった。ちなみに第二印象は「もやー」で、第三印象は「どわーん」だ。ワインの味をどう表現すればいいのか、サッパリわからない。

川島なお美風に例えるならば、振る前のワインが「朝露に濡れる芝生を少女が歩いているような味」で、振った後のワインは「仕事帰り、つい電車で寝過ごしたOL10年目のような味」といったところか。

これを「まろやか」と呼ぶべきかどうか判断に苦しむが、明らかに振る前のサワヤカさは消えた。どうやら、ワインを振って得をすることなど無さそうである。どうか皆さん、振らないように。

さて、お次は懲りずに日本酒だ。


こちらも飲み過ぎ厳禁のため小ビンを購入
そういえば、日本酒の泡って見たことがない(ワインのも)

これは、…ま…ろやか…だろうか? はなはだ自信がない。
一口飲むたびに水を飲んで、振る前と後の味を比べてみたのだが、目隠しをされて出されたら、きっと「両方ともウマイ」と答えてしまうだろう。

さっき、空っ腹でワインを飲んだせいだろうか、どうにも判断が甘くなってきた。えー、早い話が、酔っ払っいました。(一時休止)

お酒部門の結論としては「酔うと酒の味はどうでもよくなる」とだけ、声を大にして言わせていただきましょう。

 

乳は固まる

さて、私にとって身近な飲み物といえば、お酒よりも牛乳だ(日に1リットルほど飲む)。乳製品といえば、生クリームを振り続けるとバターが出来るという話がある。知識としては知っているが、実際に試したことがない。いい機会なのでやってみた。


どれくらいの時間、振ればいいのだろう
あっというま(1分半)に固まった

おお、これは面白い。「バシャッ、バシャッ」と重い音を立てていた生クリームが、急に「パコッ、パコッ」という軽い音に変化したと思ったら、中にひょこっりバターがいた。知識がない人が見たらマジックかと思うんじゃないだろうか。

さらに振るとバターが硬くなるかと振り続けてみたのだが、結果はご覧の通り。


ベチャッと拡散したまま、元に戻らず。温まりすぎたか
ものすごく美味しそうです。ああ、パンに塗りたい

ついでに固まらなかった部分を飲んでみたところ、非常にウマかった。味がぎゅっと凝縮した牛乳のような、そんな味。

「生クリームがこれほど固まるのなら、牛乳はどうだろうか」と、無脂肪固形分8.4%、乳脂肪分3.6%の低温殺菌牛乳で試してみた。


5分後、なにやらカスのような物が
「さわやかすぎるバター」といった印象

大きな塊は出来なかったが、小さなツブツブのような物が現れた。指ですくって舐めてみると、…これまたウマイ。このツブツブを茶碗一杯食べてみたいが贅沢だろうか。

さて、牛の乳は振るだけで固まることが分かった。つまり分離するのだ。では、豆の乳はどうだろうか。


成分無調整豆乳。上等な豆腐の味がします
もちろん固まらず。泡だらけに

にがりを入れず、温める作業もしない状態では、もちろん豆乳が固まるハズもない。ただ、今までのどの飲み物にも見られなかったパターンが現れた

水分が全て泡になったまま戻らず

飲もうとしても、泡しか飲めない。私は健康診断の時のバリウムをゴクゴク飲める人間だが、この飲みづらさはバリウム以上だと断言できる。どうにも始末に困る物を作ってしまった。

 

番外編・卵を振ってみる

これは飲み物ではないが「卵って振るとどうなるんだろう?」という疑問を感じたことはないだろうか。私はある。あるからには振ってみよう。


スクランブルエッグ状になって出て来たら面白いのに
潰さないように振るのが大変だ

かすかに「チャプチャプ」という音は聞こえるものの、ほぼ無音状態。これも5分ほど振り続け「中身がグシャグシャになってますように」と念じながら殻を割ってみた。

黄身、ビクともせず。ただし白身は、少しだけ泡立っておりました
白身がサラサラして古い卵のように

…惨敗である。いや、別に「グチャグチャ=勝利」というわけではないが、なんとなく「卵にはかなわない」という気がした。

自然界に、これほど高速に卵をシェイクする敵がいるとは思えない。それでも生命の核である黄身は守られたままなのだ。「卵ってスゴイ、あっぱれ」という敬虔な気持ちにならずいられようか。

それぞれでした

そういえばカクテルによって、シェーカーを使うもの、使わないものがあることを今さらながらに思い出した。ただ軽く混ぜるだけのカクテルもあるのだ。

つまり、振ることで美味しくなるものと、美味しくならないものがあるということである。結論は、初めから出ていたのだった。

ま、当然といえば当然の話ですが。

バリウム豆乳にはゴマを加え、豚シャブのタレとして消費。瓢箪から独楽。ウマイ。

 

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