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コネタ


コネタ730
 
万札で湯船を満たすにはいくら必要か

「ものすごい儲かった! お金持ちになった!」という自分を想像してみてほしい。どんな様子が目に浮かぶだろうか。

私は、私自身が万札に埋もれ札束を撒きちらす、そんなところを想像する。ベタなイメージだが、そうゆうイラストってよくあるじゃないか。

あの「万札に埋まる」という状態、実際にやろうとするといくらぐらい必要なんだろう? 検証してみました。

(text by 古賀及子


湯船を万札で満たす

万札に埋まるといっても、どう埋もれよう。考えてパッと思いついたのは自宅の浴槽に万札をいっぱいにするというアイディアだった。

むかし、何かのアニメで成金のキャラクターが自宅プールに万札をいっぱいにして泳いでいるのを見て子供心にすでに羨ましく思った。残念ながらうちにはプールがないが、浴槽ならあるぜ、というわけだ。

で、財布を見たら万札は1枚しかなかった

勢いをつけて湯船にどっさどっさと万札を投入したいところだが、残念ながら財布には万札は1枚しか入っていない。貯金を下ろしてもたかが知れている。仕方がないので、今日は新聞紙を万札サイズに切って代用したい。

貧乏人の夢、「万札に埋もれたい」。その実現度調査は非常に貧乏くさい方法となった。

家じゅうのちり紙を集めました

新聞紙から1万円をねつ造

ここでニュースです! 新聞紙を広げて1枚を1万円札型に切りとると、かなりちょうど良く35枚分が切り取れます。

そうなのだ。新聞紙を切ろうとして発見した。新聞紙のサイズは約810mm×545mm。対する1万円冊は160mm×76mm。横10mm、縦13mmのロスだけできれいに35枚分切り取ることができる。

今回はとにかく大量に偽札を作らねばならないため、この横10mm、縦13mmはバッファにして、新聞紙1枚を35分割してゆくことにした。


ざざーっと縦横5分割、7分割に切ると

ざーん35マンエーン

切れたらくしゃくしゃっとしてカサを出す できあがった万札はゴミ袋に貯める。それにしてもゴミにしか見えない

新聞紙札作り、わりかし苦戦

新聞を切る作業、これが意外に手間ひまかかった。なかなか形がきれいな1万円型にならないのだ。

よくドラマで、アタッシュケースに身代金なんかを詰めるシーンがある。表面だけ本物の1万円札で中身は全部新聞紙なんてのがあるだろう。あれ、160mm×76mmに新聞紙をカットするの、すごい大変だ。手間を考えたら本物の1万円を入れちゃった方がよっぽど楽なんじゃないかと思う。

じゃあ浴槽にも本物の札を入れろって話ですが。あわわ。


ようやくたまったゴミ袋1袋分を投入!

半身浴にすらなってません……

2袋目、ざざーっ

4袋目、ざざーっ 6袋目、ざざーっ

なんだなんだ? おまえは底なし沼か? そう思うくらいにいくら入れても満杯にならない。うちの湯船は満杯で160リットル入るタイプで、けっして大きい方ではない。

新聞紙札は一度くしゃっとさせてカサを増やしているが、どうやら上からドサドサ重ねることで、その重みで沈んでいるようだ。らちがあかない。

そんなこんなで45リットルゴミ袋に偽札7袋分を投入。ぶっちゃけ4時間強かかってしまった。この4時間でバイトして時給800円×4時間=3200円稼いだ方が多少なれとも金持ちには近づくんじゃないか、そんな雑念が頭をよぎる。

7袋目でだいぶそれっぽく

いよいよ埋もれる

無限に思えた新聞紙切りの作業だったが、7袋でだいぶボリュームが感じられてきた。これなら埋もれられそうだ。

新聞紙の海を心の目で一万円札として凝視。そして、入ります。


ガサガサ。うーん? やや足りないか?

ガサガサ。あっ、でも動くと感じる札束感!

普段、湯船に浸かるときの音は「ざばーん」、だろう。でも今日は「がさがさっ」だ。なぜなら、札束の海だから!

ゴミ袋7袋分の偽札はやや足りない感がありつつも、体を動かすと札束(偽物)が波をなして体を覆った。おおゴージャス。

しばし目を閉じ、これは万札、これは万札……と唱えながら体を動かしまくった。ガサガサッ、ガサガサッ。

人間の大切な部分を忘れ、金の亡者になってしまった、そんな罪悪感。というか、罪悪感よりも先に立っているのは明らかにマヌケ感か。

万札の湯船、ハウマッチ?!

しっかり堪能して風呂から上がると、次なる作業が待っている。金の勘定だ。これもちょっと楽しみだった作業。

ひいふうみい……

7袋あった新聞紙をもう一度ゴミ袋に戻す。ぎゅうぎゅうに詰めると2袋でおさまった。少しずテーブルの上に出し、お札のように10枚を一束にしてゆく。

ここでもまた心の目を起動。ゴミ袋ぎゅううぎゅう2袋分とはいえ、万札だったらどんなに時間がかかっても数えるのは苦ではない。

祖母も手伝ってくれた

同居の祖母にも事情を話して協力をあおいだ。「友達との話のたねになるわあ」と、喜んで一緒に数えてくれた。祖母に奇異な話題を提供したとき、デイリーポータルに参加させてもらって本当によかったなと思います。

祖母と無言で(話かけると何枚数えたか分からなくなるから)勘定を続けることしばし。数え始めたときに始まったプロ野球のナイター中継が6回表まで試合を進めた頃、すべての偽札が数え上がった。

その数は?!

実に、浴槽には3028枚の新聞紙札が入っていた。3028万円である。マンションとか家とか、そうゆう単位?! 少なくとも私は持ってない金額だ。今後持ち得る自信もない。払えっていわれても到底無理だ。仕方ない、ローンだ。

「さ、さんぜんにじゅうはちまん円だって!!」

驚いて思わず大声を出してしまった。と、普段とっても柔和な祖母が珍しく厳しい表情で「しっ!」と人差し指を口にあてた。

「ご近所に聞こえたらどうするの!」

はっ。確かに泥棒さんが聞いていたら危ない。

「全部新聞紙だけど!」

と慌ててまた大声で付け加えておいた。こうゆうの、なんか本当のお金持ちみたい。泥棒、間違えてうちにこないだろうか。来ても何にもないですよ。

なんだか、最後の最後、思わぬところで金持ち気分を味わえた。が、数え終わってまたゴミ袋に戻った新聞紙札を見て、祖母が言った。

「捨てるの、なんだかもったいないわね」

うん、なんか、もったいない。つかの間の金持ち気分を終え、素になってのぞくのはやはり元来の貧乏性の顔なのだった。

そんなわけで、おとなになって、さんぜんまん えん いじょう、ぼーんと かせげるようになったら こんどは ほんとうの おさつで ゆぶねを いっぱいに したいと おもいます。

おわり。

 

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