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おせち料理INサマー
残暑お見舞いおめでとうございます

 オーストラリアなどの南半球の国では、サンタクロースは真夏にやって来るらしい。
  クリスマス IN サマーである。
 ということは、南半球のお正月も真夏だということになる。

 真っ赤な太陽、照りつける日差し、流れる汗、そんなお正月!
 ちょっと楽しそうではないか。

 お正月にしか食べられないおせち料理も、夏にだって食べてみたい。

 ビバ!おせち料理 IN サマー。

 というわけで、夏の公園でおせち料理を食べてきました。

(text by クドウ

今年のお正月の我が家のおせち
これを目指す
手当り次第におせちっぽい物をかごへ
おせちの基準がゆらぐ

なかなか集まらない材料集め

 日本の年末の風物詩といえば、上野アメ横などに代表される、お正月食材の歳末セールだ。
 エビや黒豆やその他おせち料理の材料を、景気良く売りさばく光景を毎年テレビで目にする。

 だがしかし、今は年末じゃない。
 夏のまっただ中だ。

 だからやっぱり、スーパーに行ってもおせち料理の材料なんかは、全くと言っていいほど売っていない。
 せちがらい世の中だ。

 仕方がないので、陳列されている食材の中から、おせちっぽい物をみつくろって購入する。

 スーパーの中を、「おせち」をテーマにうろついた経験の無いボクは、何を見ても「おせチック」に感じてしまう。

 博多名物「おきゅうと」なんて、おせち料理とは無関係なのに思わず買ってしまった。
 普通に家で食べた。

 

 

主なメニュー
おせちだ、あくまでも
おせちは盛りつけも大切だ、でも場末のスナックのお通しみたいになるんだ

真夏のおせちレシピ

 一通り材料はそろった(事にする)。

左上から
・海老・・・ヒゲが伸びて腰が曲がった老人を模して長寿への願い。
・黒豆・・・まめに暮らせるようにとの願いから。
・昆布・・・よろこぶの語呂あわせ。(が無かったので茎わかめ。わかめのようにみずみずしく。)
・ごまめ・・・まめに暮らせるように。ピーナッツ入ってるけど。
・焼豚・・・かっこいいから。
・なます・・・がないので大根キムチ。いちおう紅白だ。
・煮しめ・・・ちくわやゴボ天やタマゴが入っている。煮しめ。
・いか・・・好きだから。
・栗きんとん・・・のかわりの人形焼。めでたい。

 

 

35度だ、サマーにも程がある
クーラバッグの中におせちという日常

おせちを持って夏に飛び出せ!

 取材当日の気温は35℃。暑い。

 おせちといえば数の子だ。
 材料にぜひ数の子をと思ったが、この暑さでは心配だ。
  ふ化したら困る。
  入れずにおいて正解だ。

 とてもいい天気なので、近所の公園でおせちを食べるとしよう。

 クーラーバッグにおせちを入れる。
 おせちにとっても、恐らくはじめて経験する夏の暑さだろう。
 ボクのおせちはこの夏を乗りきる事ができるだろうか。

 そんなおせちの想いとともに、自転車に乗って、いざ出発。

 

 

こんなに夏っぽい公園でおせち
ここだけお正月、周りの子供は水着か全裸

噴水とおせちのコラボレーション

 公園に着いたらそこは夏だった。

 テレビのニュースで流れる「東京はこの夏一番の暑さです」の映像みたいな光景が広がっていたのだ。

 近隣の子供たちが噴水で遊んでいる。
 それを微笑みながら見守るお父さんやお母さん。
 幸せそうな家族の休日が目の前で繰り広げられている。
 このお父さんお母さんたちは、ちょうどボクと同じ世代だろう。
 子供のふとした表情に成長を感じ、幸せな未来を願うお父さん、真夏のおせちを作るボク。
 様々な人生模様がこの公園で繰り広げられているのだ。  

 思うところは色々あるが、ボクにはやるべき事がある。

 水遊びに興じながらもちらちらとこちらにそそがれる、オーディエンスたちの熱い視線を一手に引き受け、噴水前におせちを広げる。
 そう、真夏のお正月を エンジョイするのだ。

 

 

一の重

ここに完成、おせち料理 IN サマー

 完成したのがこのおせち。

 我ながらなかなかじゃあないかと思う。
 最低限のおせちラインはクリアしているのではないだろうか。

 栗きんとんのかわりの人形焼がやや主張しすぎな感はあるけれども。

二の重
三の重

 

おとそ。泡立っているが、おとそ
お煮しめ、というかおでん うまい

夏おせち、意外な発見 冷やしおでん

 おせち料理と言えばおとそだ。

 でも暑いのでビールにする。
 お銚子から注ぐビールは格別だ。
 格別まずいのだ。
 泡立ってどうしようもない。
 お銚子メーカーの人には今後この点を改善していただきたい。

 意外だったのが、煮しめのかわりに用意したレトルトのおでん。
 冷蔵庫に入れておいたのをそのままクーラーバッグに入れて、公園に到着してから重箱に盛りつけたのだが、これがうまい。
 キンキンに冷えたちくわがたまらない。
 こんにゃくも歯にしみるほどうまい。

 新たな発見である。

 夏おでん。
 冷やしおでん。

 この夏の大ヒットになった(個人的には)。

 

ふつうにピクニック
平らげたという表現がぴったり

ごちそうサマー、去りゆく夏よ

 食べ始めると、ふつうにお弁当だった。
 いや、 お弁当というよりおつまみだ。
 三段重ねの晩酌セットだ。

 そもそも、お正月に食べるおせち料理も、考えてみるとおつまみ色が非常に強い。
  かっぱえびせんやイカの煮付けなど、どうしてこんなにおいしいおせち料理を、お正月にしか食べないのだろうか。

 季節にとらわれず、我々はもっとおせち料理を食べるべきだと思う。

 自由に、もっと気ままに、一年中おせち料理というようなムーブメントが、もうそこまで来ているのではないだろうか。

お重の中のフルコース

 重箱に食材を盛りつけるだけで、何だかおごそかな雰囲気に包まれることを発見した。
 ボクは普段全く料理はしないのだが、買ってきた普通のお惣菜や乾きモノでも、こうして食べるとごちそう感がアップする。
  思いのほか、かんたんにお正月気分が味わえて、この企画はとてもおすすめである。

 かんたん手作り夏のおせち、皆さんもレパートリーに加えてみてはいかがでしょうか?

夏をあきらめて

 

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