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コネタ


コネタ859
 
破綻した駅名表示広告

駅名表示をモチーフとした広告などのグラフィックデザインをよく見かける。

以前、ぼくは仕事でグラフィックデザインを手がけたことがある。だから、そういう仕事において、印象的でちょっとひねりの利いたデザインモティーフを考え出す苦労はよく分かる。

よく分かるし、その苦労に同情はするが、駅名表示だけはやっちゃっだめだろうと思う。いかにもありがちだし、ありがちなんだけど「ちょっと気が利いてない?」っていう自負が見え隠れしたりして、なんだかなあ、と思う。お〜いお茶の俳句みたいなセンスだ。よく分からない喩えで申し訳ないが。 でも、嫌いじゃない。この駅名表示広告はよく見ると内容が破綻していることが多く、それを確認するのは楽しい。

今回は、そんな破綻した駅名表示広告を見ていこう。

(text by 大山 顕

■分かりやすく破綻した例


次の駅ばかりか前の駅も警察署


痴漢を戒める趣旨のポスターである。もちろんメッセージの趣旨には賛同するし、痴漢行為がもっぱら電車を舞台に繰り広げられることを考慮すると、駅名表示をデザインモティーフとして採用するのは自然な成り行きかもしれないが、それらをさっぴいて考えても、この破綻はいかがなものか。

どこが破綻しているか。一見すると見逃してしまうかもしれないが、現在の居場所が「痴漢」で、次の行き先である「駅」が「警察署」なのは道理にかなっているが、前の駅も「警察署」とはおかしな話だ。どんな乗り継ぎだ。

前科があって仮保釈中にまた痴漢を働いた、というシチュエーションだろうか。常習犯をターゲットとした、とすればなるほどと頷けなくもないが、ここはやはり前駅は「平和な毎日」とか「平穏な暮らし」とかそんな感じにするべきではないか。

あるいはもしかして警察官による痴漢行為を戒めているのかもしれない。日本は先進国なのかほんとに。

 

■予備校の広告


そんなにも駅名表示を使いたかったのか、一画面に4つの欲張りよう


一番上の駅名表示に関しては、めずらしく破綻がない。いままで「独学」でやっていたのがこの予備校を経由することで「合格」へと運行していくわけだ。やや不自然ではあるがモデルの満面の笑みもさもありなん、といったところである。

しかし、下のひとまわり小さい駅名表示たちはいただけない。写真が見づらくて申し訳ないが、次の駅がみんな「合格」なのだ。現在駅が「公務員」「教員採用」「看護医療」なのに、その次の行き先が「合格」。惜しい。公務員になるのも、教員に採用されるのも、看護医療にたずさわるのも、それらは合格のあとだろう。

一番上だけにしておけば、と惜しまれる作品である。ここから得られる教訓は「よくばっちゃだめ」ということだろうか。

 

■人気コミックスの広告


秋葉原駅に墨痕鮮やか「おたく」の駅名表示広告。グラフィックのクオリティは高いのだが。


「げんしけん」とはコミックスの名前、「木尾士目」とは作者の名前である。

ここにはもはや「前の駅」「現在駅」「次の駅」という因果律に対する配慮はまるでない。広告中に記さなくてはならない要素をお構いなしに並べただけである。だったらなぜ駅名表示をモティーフとして選んだのか。

このコミックスをご存じない方も多いと思うので、デイリーポータルにあてはめることでわかりやすくしてみよう。


DPZに置き換えたら破綻具合が分かりやすいかと思ってやってみたが、破綻のパラメーターが多くなりすぎてよく分からなくなった。


「現在駅」の「おたく」はコミックスの主人公なので、DPZの主人公が現在駅として据えられるべきである。DPZの主人公って誰だ。それは読者だ、という答えもあるだろうが、ちょっとむずがゆいのでここはZくんにしておいた。

もとの左端のキャラに習い、半裸のZくんを探したところなぜか暗黒舞踏を踊っている彼しかいなかった。

破綻具合を示そうとしたところDPZが抱えるなにかが見え隠れした結果となってしまった。

 

■高級肉屋の看板


田舎のローカル線の駅名表示を思わせる素朴な味わいの看板。しかし、その牧歌的風景の中にも破綻の闇が。


高級牛肉である近江牛と松阪牛をフィーチャーしたい意気込みは理解するが、それらを前駅と次の駅に据えてしまってはだめだろう。近江牛を卒業した人が「ふじかわ」で開眼、松阪牛に至る、という意味となりかねない。あるいはその逆かもしれないが。粉薬がずっとのどに張り付いているような不快感を感じる。

これをDPZに置き換えるとこんな感じか。


DPZにおいて、高級肉屋における近江牛および松阪牛にあたる位置づけのものはやはり特集とコネタかと。


肉のバリエーションにあたるDPZの代表コンテンツカテゴリーはなんなのか。「河原」ははずせない。などと悩んでいると、DPZのマーケティング分析でもやっているかのような気分になった。

 

■最後に転職サービスの広告


これもめずらしく破綻のない例。しかし、いろいろ書きすぎだ。そんなに書かなきゃいかんのなら駅名表示はあきらめたらどうか。


「現状違和感」が本サービスによって「転職成功!」へ。すばらしい。破綻がない。破綻がないってだけで評価したくなるが、そもそもやっていることは駅名表示広告だ。だまされてはいけない。

だいたいたくさん書きすぎだ。もはやこれは駅名表示にあるまじきリッチコンテンツではないか。

これをDPZに置き換えると、こんな感じか。


ほんとうに「暇つぶし」でいいのか。


駅名表示広告の破綻具合を見ていくはずが、まったく別の終着駅にたどりついてしまった感じがする。

 

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