飲み会で最初の注文からついおにぎりを頼んでしまう。それくらい炭水化物系が好きだ。
いきなりのおにぎりには周囲からブーイングもあったりするが、そうした席でも受け入れらやすいのがやきそば。そんな人気者・やきそばの専門店が千葉県・房総の山の中にあると聞いた。
やきそば専門店というだけでも結構レア。その上150円という価格から注文できるらしい。
選択肢のなさが迷いを捨てさせる。カラアゲやピザのことは一時的に忘れて、やきそばと向き合ってきました。
(text by 小野 法師丸)
気づいたら小さな旅っぽくなってたロケーション
今回目的とするきそば専門店、千葉県・房総半島の中ほどを走るちんまりとした鉄道・JR久留里線の平山駅のすぐ前にあるという。
なぜだか泣きたくなるくらいのいい景色。落葉したイチョウが先客となっているベンチも、危うく人を詩人にさせるくらいのたたずまい。ここは詩のことを忘れて、 やきそばだけに集中したい。
そんな平山駅のすぐ前にあるやきそば専門店『志保沢』さん。はっきりとわかりやすく書かれた「やきそば」。そういえばやきそばを前面に押し出したのれん、これまで見たことなかったかもしれない。
値段がメニューの名前という本気ぶり
駅も含めて周囲はあまり人気もないところなのだが、店内は結構混みあっている。バイクのツーリング客もたくさんいるので、手軽におなかを満たせるお店として知られているのかもしれない。
専門店だけあって、メニューはシンプル。
話に聞いていた通り、ちゃんと150円から食べられる。ソーセージ入りが200円スタート、肉入りが250円スタートということは、それぞれ50円・100円ずつアップしてのオプションということになるのだろう。
少し考えて、原点のメニューとも言える150円のやきそばと、対極とも言える500円の肉ソーセージ入りやきうどんをオーダー。
お店の方に「両方とも食べてくの?」と聞かれて不安になるが、かなり腹ぺこということもあり返事はイエス。他のお客さんの注文を見てわかったのだが、持ち帰りもできるよという意味で聞いてくれたようだ。
やきそばが来るまで目にしていた店内はレトロフューチャーな感じ。年季の入ったポットに「水です」とのわかりやすい表示。ただ、つい勢いで書いてしまったが、別にフューチャーではないとも思う。
割りばしを入れてあった段ボール箱、中華麺まではいいのだが、「100人前 10kg入」の表示がすごい。本気を感じる勢いだ。
容赦なく迫ってくる茶色いやつら
程なく出てきたお皿は、意外な盛り付け方だった。
ひとつのお皿に盛り付けられて出てきた。カレーライスみたいだなと思いつつ、色は両方茶色だからルーっぽくもあるし、でも内容は炭水化物だからライスでもあるしと、勝手にカレーに例えて混乱をきたす。
素で頼んだ150円のやきそばだが、ちゃんとキャベツ、そして揚げ玉が入っているのがうれしい。
やきうどんの方はお肉もソーセージも合間に見える。食べてみるとソーセージは魚肉バージョン、いろいろ見解も分かれるところかもしれないが、個人的にはウェルカムだ。
写真でおわかりいただけるだろうか、このやきそばの麺、屋台や自宅で作って食べる麺とは少し違う感じ。黄色くて縮れている例の麺ではなく、どちらかというと普通のラーメンで使われているような麺に近いと言えばよいだろうか。食感が微妙に新鮮でおいしい。
うどんの方はおなじみの麺といった風なのだが、やきそばとうどんではソースの味が違うような気もする。だから飽きない、ような気がする。
うん、どっちもうまいよ。黙々と食べる。
と、気づいたら犬が入ってきていてかなり驚いた。私の隣に座って、食べている間ずうっとこっちを見ている。小学生のときの授業中、教室に犬が入ってきたとき以来の出会い方だ。
欲しいのかもしれないが、行儀がよすぎることもあってよくわからない。犬がじっと見ている中、黙って麺を食べる。少し夢っぽい。
スポーツ感覚あふれるやきそば
そばをおかずにうどん、うどんをおかずにそばという無限回廊。おかずとは何なのかということについて考えながら15分ほどだったろうか、かなりあった麺を完食。
相当なボリュームだったと思う。こんなに真剣にやきそば・やきうどんを食べたのは初めてかもしれない。
150円のやきそばでもそれなりの量がありました。お手ごろ価格でおなかいっぱいになりたい方には、かなりおすすめできるお店です。