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コネタ949
 
クラーク博士のあのポーズ

問題のこのポーズ。

札幌市内の観光地、「羊が丘展望台」には、有名なクラーク博士の胴像があります。札幌在住の私も、北海道外から知人が来るとつきあいでよく行くのですが、その際、

「記念写真を撮るときに、
クラーク博士と同じポーズをとるか否か」

で意見がまっぷたつに分かれました。

私「あのポーズをとるのはお約束だ。私の知り合いもみんなあのポーズで写真を撮っている」

友人「そんな恥ずかしいことをする人はいない。アンタの知り合いがみんなおかしい。いやむしろアンタがおかしい」

議論は紛糾したうえ、決裂。
そんなわけで、「人はクラーク博士像の前であのポーズをとるのか」、シロクロつけに行ってきました。

(text by 加藤 和美

やってきました、羊が丘展望台。
じつはけっこう近所だったりするのだが、連れてくるべき観光客もいないのに、自分の意思のみでここに来るのは不思議な感じだ。

展望台といいつつ、実際は見晴らしのよい高台。
そこには、毎度おなじみクラーク博士があのポーズで立っていらっしゃる。


「今日はよろしくお願いします!」

初冬の札幌、観光客の人数はいまいち…。
とはいえ観光バスでドドッと降りてくる団体もいるので、リサーチはできそうだ。
クラーク博士像から少し離れた場所で、記念写真を撮ろうとする観光客たちに向かって

「右手を…右手を上げろおおぉぉ……」

と、なかば念を送りながら観察する。


クラーク博士とそのバックに広がる風景を撮るフリをして、観光客を観察。
手前にいる後ろ姿がわたくし。

 

クラーク
来た!
いきなりあのポーズだ!
しかもごく自然に2人が右手を上げた。


ミニスカートで寒そうな女性も、ハリキリ気味に「あのポーズ」。

2人組の右側の女性も「あのポーズ」。
左の女性は、あのポーズをとるかどうか、迷っているようだ。

さきほど迷っていた女性が「あのポーズ」で撮りなおそうとしているところへ、セルフタイマーでカメラをセットしたおじさんが乱入。
非クラーク
こちらは団体客だが、誰も「あのポーズ」は無し。
団体客の場合、誰か1人がポーズをとれば、他の人も連鎖的にポーズをとる傾向がある(と思う)。
あろうことか、クラーク博士自体をスルーしている観光客がいた!クラーク博士も「おまえらちょっと待てよ!」とつっこんでいるように見える。
クラーク博士のみを一心不乱に撮影するグループ。
君たち、札幌の思い出を撮ろうぜ!(あのポーズで)
意外と年配の団体客の方が、恥じらいなく「あのポーズ」をやってくれるのだが…。

 

最初は好調だったが、「あのポーズ」をとる人がパタリと途絶えたまま、時間だけが過ぎてゆく。
観光客はけっこう行き来しているのだが…。
客足が途切れた。
ぽつーん。
客観的に見ると、さみしい絵だなー。

 

観察して1時間が経過。
なかなかポーズをとる人がいなくなって、あせってきたところで「あのポーズ」。
バックショットを撮影していたら「あのポーズ」。
反対側からのWクラーク博士はレア・ショット!逆光なのもむしろいい感じ(自画自賛)
1人の男性が抜け出し、「あのポーズ」をとった!
仲間たちから「手が違う」「顔の向きは…」などと細かく注意されていた。
カメラのシャッターが下りなくなったらしく、「あのポーズ」のままで、カメラが直るのを待つ女性。
観察をつづける私に近づき、「シャッター押してもらえますか?」と頼んできた女性2人組。
本日最後の「あのポーズ」
しかし、明らかに腕の向きが反対だ。
本人はこれでOKらしい。
今度は石原裕次郎の歌碑の前で、シャッターを頼まれた。シャッターを押しながらも、向こうのクラーク像が気になって仕方がないわたくし。
若者3人。
ちょっとふざけてダブルピースを決めているが、「それは違う!」と指摘したい。
ワラワラワラ…とあらわれた団体客。
「来た!」と色めきたって観察したが、「あのポーズ」はゼロ。残念。


こんな感じで、約2時間ほどクラーク像前で観察を続けた。
結果、クラーク像前で記念撮影をする人のうち、あのポーズをとるのは6割といったところだった。
(写真は印象に残ったものだけを掲載しています)

6割……。微妙な割合だ。
個人的には7割は行くと予想していたのだが。
しかし半分は超えているので、自信をもっていい結果といえよう。

この調査結果により、「人はクラーク像の前であのポーズをとるか否か」という私と友人の議論は、私の勝利で終わるかと思われたが、友人に伝えたところ「アンタの調査は信用できない」とあっさり否定されただけだった。

それはともかく、これだけたくさんの「あのポーズ」が見れただけでも満足……としておこう。


寒かったな。羊が丘。


いつもと違う角度からクラーク博士。
妙に勇ましい。

■自然なふるまいが重要

今回の観察でわかったことがほかにもある。

  • 「あのポーズ」をとる場合、ごく自然に行う人と、恥ずかしがりながら行う人がいる。
  • ごく自然にポーズをとれば、全然恥ずかしくない。むしろ、もじもじしたり、周囲をキョロキョロ気にし始めると恥ずかしい。
  • 若者グループだからといって、ノリノリで「あのポーズ」をするとは限らない。
  • 関西人グループだからといって、ノリノリで「あのポーズ」をするとは限らない。
  • 「あのポーズ」に個人的に思い入れがあり、団体から抜けて、自分1人で「あのポーズ」で撮りなおす人はけっこういる。

じつは私も、今まで「あのポーズ」をちょっと恥ずかしいと思いながらやっていた。
しかし、今回の取材でまったく平気になった。1人でキメても全然平気だ。むしろ、もっとうまく「あのポーズ」をとれるようになりたいと思ったくらいだ。
ポイントは、
「両足を軽くひらく」
「視線はカメラを向くのではなく右手が指す方向を見つめる」
「右手は指をささずにひらく。左腕はぐっと背中に回す」
「心の中は堂々と」

皆さんも羊が丘へお越しの際は、これらをぜひ実践していただきたい。

羊が丘には羊がいます。

 

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