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コネタ


コネタ959
 
ブチ切れスパゲッティの作り方
缶詰は取ってあります

以前、コネタでイギリス土産の「スパゲッティの缶詰」を紹介したことがある。

ブヨブヨに伸びきり、ブチブチと切れる麺には大変驚かされた。そして同じような状態の麺を再現出来なかった自分を、情けなくも思った。

あれから約1ヶ月。どうすれば簡単にブチブチと切れるスパゲッティが作れるのか…。

気になって仕方なかったので、やってみました。

高瀬 克子

袋には「茹で時間12分」と書いてあった
約100グラムのスパゲッティを茹でます

アドバイスを参考に

「スパゲッティ缶」の記事を読んだ方から、たくさんのメールをいただいた。

その多くは「フィジーにもスパ缶があった」や「ニュージーランドにもあるよ」「アメリカにも!」というスパ缶現地情報である。

スパ缶が世界中で愛されていることも驚きだが、デイリーポータルZの読者が世界各地にいることにも驚かされた。いつもありがとうございます。

そのスパ缶報告と同じくらいの割合でいただいたのが、ブヨブヨの麺にするためにはどうすればいいか、というアドバイスである。

「イギリス人は水から茹でると聞いた」
「茹でたあと、放置しておくべき」
「あのままソースに絡めて一晩置けばいい」

等々、どれも「なるほど!」と膝を打ちたくなるものばかり。いやー、みなさん、本当にありがとうございます。


タイマーを50分にセット
茹で上がった状態で、しばらく放置

アドバイスを反映してスパゲッティを茹で、いい感じになったところで火を止める。そして麺を茹で汁に入れたまま放置すること数時間。

忘れた頃に台所に行くと、スパゲッティが大変なことになっていた。


どんぶりからハミ出んばかり

麺が異様なほどに膨張している。こんなスパゲッティ、見たことがない。というか、これはもうスパゲッティではない。うどんだ。

参考までに、同じ量のスパゲッティを規定時間で茹でた物と並べてみよう。どれだけこれが異常な事態か分かるハズだ。


通常は左の状態で食します

量もすごいが、色の違いもすごい。そういえば茹で汁が「なんで?」ってほどに黄色かったが、成分が全て流出してしまったようだ。

何も言わずにこれを見せられたら、多くの人が「ウドンとスパゲッティが並んでる」と思うことだろう。それほどまでに膨張した麺は白く、ボッテリと太っている。

ここで、両者にトマトソースを絡めてみた。


これはどう見てもスパゲッティですが
きみは焼きうどんか

見た目は合格としよう。だが、私が目指したのはフォークで巻こうとしてもブチブチと切れる、そんなスパゲッティだ。

果たして、うまく出来たんだろうか。


切れた! …非常に満足です

 

ブチ切れ麺と、食パンを用意
力を入れなくてもブチブチと切れます
均一にパンの上に伸ばしました

もう一つの目的

今回は、なにも「ブチ切れスパゲッティ」だけを作って満足しようという企画ではない。

実は、いただいたメールの中には、次のような内容のものもあった。

「スパ缶は、あのまま食べたら、そりゃマズイですよ! あれはホットサンドとしてチーズと一緒に食べることで、はじめて美味しくなるのです」

というものと、

「スパゲティ・オン・トウストで食すべし。これはトウストの上にスパゲッティ(トマトソース味)が乗っかっているもので、イギリスでは子供用の夕食のメニウの代表的なものだ。学校給食でも定番である」

というもの。

なんと、あのスパ缶には正式な食べ方があったらしいのだ。そうとは知らずに缶をパカッと開けてそのまま食べ、「うわっ」とか言っていた自分が恥ずかしい。

そうと知ったら試さずにはいられない。せっかくスパ缶の再現に成功したことだし、ここは何がなんでもパンと一緒に食べなければなるまい。なにより、スパ缶の名誉のためでもる。

というわけで、さっそく食パンの上に、潰したスパゲッティを乗せ、上から粉チーズを振った状態で熱したオーブンに投入。

粉チーズがトロッとした状態で、取り出してみました。


うわっ、なんだ、このウマげなものは

熱々のところを、ひとくちガブリと食べてみる。…非常に、非常においしい。

スパゲッティを単独で食べたときの歯応えのなさが、ここでは功を奏している。パンと一緒に食べていて、とても具合がいい。もしもアルデンテ状のパスタが乗っていたら、かえって邪魔なことだろう。

それにしても驚いた。料理が生まれ変わるって、こういうことなのかもしれない。いやぁ、これ、ホントにウマイですよ。

ごめんねスパ缶

以前、スパ缶を紹介したときは「おもしろいから探して食べてみて」的なことを書いて締めた。前言撤回。悪かった。謝る。ごめん。

えーと、スパゲッティの缶詰は、パンに乗せてチーズと一緒に焼きますと、それはそれはおいしくなります。

果たして、スパ缶の名誉は守れたでしょうか。

ただ、具がとっても重いんだ

 

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