デイリーポータルZロゴ
検索天気地図路線このサイトについてランダム表示ランダム表示
アット・ニフティロゴ

コネタ


コネタ1043
 
カイロで服をつくる

暖冬だという噂を聞いていた。だから、今年は薄手の上着を買ったのだ。

そうしたらなんだこの寒さ。ウォームビズの関係か、外どころか、会社の中も寒い。ついでにいうと、自宅も日陰だからかしらん寒い。なんとか1月までしのいだが、もう我慢できない。

せめて欲しい。あたたかい上着が。

そうしてひらめいたのです。使い捨てカイロで服を作ろうと。

(text by 古賀及子

ナイス思いつき

カイロのあの蒸れるようなあったかさ、大好きだ。

そんなカイロの暖かみを十分に引き出す、使い捨てカイロをつないで服を作る! って、すごく良い思いつきじゃないか。思いついた自分にほれぼれだ。

どれぐらいカイロが必要か見当がつかなかったため、だいたい2000円分をごそっと買い込んできた。

想像してみる。四角いカイロがつながれて、布のようになり、それが服の形になっているのだ。かっこいい。小さな四角がつながっているのなんて、ドラクエとかで出てくるくさびの鎧みたいだ。

あまりにもいい思いつきだったので、誰かとっくにやっているんじゃないかとネットで「カイロ 服」とか「カイロ 鎧」とか調べたが、ひっかかってくる先達はいなかった。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ。期待で頭のなかで地鳴りがした。


こういう服を カイロをつないで作る

買ってきたカイロの注意書きを読むと、カイロの温度の持続時間20時間とある。20時間2000円でぽっかぽかだ。私は安いと思う。

ちなみに使い捨てカイロは低温火傷を防ぐため就寝時の試用はNG。作ったからには20時間堪能したい。徹夜でぽかぽかなのである。やっぱり安いと思う。

ごたくはいいから作りましょう

さて、ひとしきりグッダイディアにうっとりしたところで、あとはさくさく縫製していきたい。

カイロには周りにはのりしろのような部分がある。ここをホチキスでがっちり固定していこう。こうして作業していると、こののりしろの部分が服作りのための便宜のように思われて仕方ない。


のりしろを重ねて 布を織るごとくくっつけていく

まずは一列長くくっつけて、これを両肩にひっかけて胸を覆う部分にする。1列仕上がったので肩にかけてみた。

はっ!

「あ、あったけーー!」

思わず上がる声とテンション。カイロがあったかいって当たり前か? いや、でもこう大きな物体が温かいというのは感動だ。

人肌みたいというか、表現しづらい変な気分がする。唐突におそった感動にうろたえて、しばらく作業が中断してしまったほどだ。

しばらく休んで、落ち着いて背中の部分を作って行きたい。肩にかけた2本を背中の部分で一体にしていく。


2本のたすきの半分までを小さなカイロでつなぐ よいしょ、背負うとこんな感じ

服らしくなってきたぞ

ここまでくると、だいぶ服らしくなってきた。結果が見えてモチベーションもグッと上がる。仕事と効率の関係を見た思いだ。作ってるのは使い捨てカイロの服だけどな。

脇の部分も小さなカイロでつなぐ。ホチキスさばきにも慣れてきた。

服の形がみえた

服だ。カイロが、服になった。脇下をつなぐと、完全に服の形が見えてきた。遠目には救命胴衣のようにも見えるが気にしない。

試しにまた袖を通してみようと思うのだが、伸縮性がない上にホチキス止めというデリケートな作りになっているため、静かに着ないと破れそうだ。

仕方がないので置いた状態でゆっくりと袖を通して着ることに。


そおっと そおっと こわさないように

着用……!

ああ! あったかい。あったかいよ。これさえあれば他に服はいらないぐらいあったかい。

いや、何言ってんだ。でも、それぐらい温かい。直接的にギンギン暑いというより、ふわっと優しく温かい。カイロよ!


あったかい! あったかいぞ!

そでも付けるぞ

正直、ここまで温かいと袖はいらないぐらいだ。だが、「服」という見た目を重視したいため、せめて半袖丈ぐらいの袖はつけようと思う。

ああ、作業をしている間もあたりの温度が暖まる。

というか、暑い。


大きいカイロを4枚、小さいカイロを2枚で袖装着 より服らしくなった

実は、ひどく重い

袖もつけた。カイロ服がいよいよ最終型となってその全貌を表し、感動もひとしおだ。うっとり上着を眺めていたそのとき。

「なんだこれ、重っ」

別の企画で同席していたライター乙幡さんが、服を持って漏らした。

ずっしりですよ

実は今までみなさんには黙っていたのだが、そうなのである。ものすごい重いのだ。ドラゴンボールの修行服かという重み。ずっしりとくる。

だが、その圧迫感がまた肩を暖めるわけですよ。もう私はカイロ服にメロメロであるよ。

さあさあ、乙幡さんにサポートいただいて、この最終型を身につけてみようじゃないか。


お、おお……

ヒー! あったけー!!


なんでかしら、私、笑いが止まらない。

「あたたかい」という事実がなんでこんなに面白いんだろう。訳が分からないまま、1分ぐらい大笑いしてしまった。となりの乙幡さんも、もらい笑いある。

だって、服があったかいんだよ。何だよ、それは! 笑うしかない。あったけー!

そして小鼻はうっすらと汗ばむ

説明のつかない不条理な盛り上がりに襲われながら、寒い野外にこの服を持って出ることにした。この新しい上着でしっかりと暖まろう。

ある寒い日のよる

「うー、寒いー。こんな日に薄手の長袖Tシャツ1枚で出かけるなんて、何考えてんだよ、私は……」

「あれ? そういえば、カイロがたくさんあったな。これで服でも作ってみるか」

「おお! あったかい、あったかいぞ! しかもなんか面白くて笑いが止まらないぞー」

「あはははは、あったけー! あったけー!」


いったい何がおもしろいのか

ものすごく笑った。面白かった。服が温かい。それが、なんで面白いのか全く分からない。

カイロ服。勢いで作ってレポートまで書いてしまったが、よくよく考えれば実にくだらない試みだ。ちなみに撮影翌日この原稿を書いている現在、カイロ服はまだほんのり温かい。明日には冷たくなっているだろう。羽織ったら、また面白いだろうか。面白い気がする。

つまり、変な服着たら変な格好になって面白かった、今回のレポートはそういう内容なんだと思います。でも暖かくてきもちよかったー。


 

▲トップに戻るコネタバックナンバーへ

アット・ニフティトップページへアット・ニフティ会員に登録 個人情報保護ポリシー
©2012 NIFTY Corporation