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コネタ1069
 
廊下スケートに最も適した履き物とは

学校で廊下そうじの担当者が必ずといってよいほどやる遊び、おぼえているだろうか。

そう、廊下スケートである。つるつるの廊下を上履きで滑るのだ。学校の廊下でなくても、つるつるの場所があると子供のころはよく滑って遊んだ。

ちょっと前に絶好のつるつる場を見つけた。かなり広くて、つるつるなのだ。……。滑りたい……。久しぶりにそう思った。

というわけで、どんな履き物がツルツルの床を滑りやすいか調べる、そんないいわけをこじつけて思い切り滑ってきました。

なお、当記事は記事末に注意書きがあります。最後までご覧いただければ幸いです。(text by 古賀及子

ずっと滑りたかったこのツルツル

写真をご覧いただきたい。ものすごくツルツルである。この床を見て、滑りたがらない人がどこにいるだろう。本気でそう思う。思いながら目を細めていたら、4歳ぐらいの男の子がしゃかしゃか滑っていった。

どう見ても滑り出したくなる床

あらまあ、こどもは無邪気でいいわねえ。

いつもは、そうやってグッとこらえるだけだ。でも、今日は「大人」という心の枷をとりはらって私も滑りたい。すこしでも大人らしく滑るため、滑りやすい履き物は何かを調べるところまで深く切り込もうと思う。

いろんな種類の履き物で滑り比べてみよう。

開催、クツノオリンピック

さて、そういったわけで私なりのオリンピックを遅ればせながら開催である。出場選手は、全員、靴だ。

どの履き物が一番滑るのか。小学校や中学校であれだけ廊下を滑ったにもかかわらず、今まで上履き以外を試したことがなかった。今日は7つの履き物を戦わせる。

日本より、ブーツ、ハイヒール、上履き、運動靴が。中国からは健康サンダル、スリッパ、靴下 がエントリー

日本と中国から7選手があつまった(日本製と中国製、という意味ですな)。本当はもっと各国から選手を呼び集めたかったのだが、我が家の下駄箱からはこの2カ国からしかエントリーがなかったのだ。

次回開催時はぜひイタリアやフランスあたりからの参加を期待したい。

勝負は7メートルの滑走

クツノオリンピックの正式種目であり、唯一の種目でもある「廊下スケート」であるが、走行距離が7メートルと短距離であることが競技の特徴である。

学校の廊下を想定して今決めた。タイムキーパーにストップウォッチを持ってゴールラインについてもらう。スタートの合図と一緒に、それでは各靴ですべっていきましょう。

果たして、最も廊下スケートに適した履き物はどれなのか。なお、走者は全靴、古賀がつとめさせていただきます。


向こうまで7メートルを走り抜ける 走行練習も念入りに

はきもの no.1 運動靴

用途がアクティブなため滑りにくい印象があるものの、雪道や凍結した道路では予想外に滑って驚かせる。靴底を確認すると、確かに滑りやすそうだ。期待できる。


いちについて、よーい、スタート!

あ、やっぱり案外滑りやすい!
なお、写真は滑り終えてから滑っている様子を再現して撮影しております

運動靴選手の特徴
・ツルツル、というよりスルスルすべっていく
・足の運びも上々
・さすが「運動」靴である。スケート用としてのポテンシャルの高さを見せつけた格好

 
記録は5.87秒
(現在1位)

はきもの no.2 ブーツ

4年ほど前に購入、はきつぶすつもりでカカトのすり減りも補修していないという一足。運動靴同様、思いのほかすべる。
はじめて靴底を見てみたが、ものすごくよくすべりそうなのっぺり具合。普通は滑り止めを貼るべきなんだろうが、今日のこの日のため、貼らずにいてよかった。


いちについて、よーい、スタート!

大穴の走り!

ブーツ選手の特徴
・まさに「ツルツル」滑った
・ カカトの蹴り出しも具合よし
・逆に、こんな滑りやすい靴じゃ、普通に歩くのが危ないんじゃないかと心配になるぐらいの滑りやすさ

 
記録は5.24秒
(運動靴を抜き、現在1位)

はきもの no.3 パンプス
古賀予想 ・本命

くつづれしやすい、カカトが折れることもある、歩きにくい、と、たくさん歩くときなどは敬遠されがちなヒールのあるパンプス。靴底はツルツルだが、そういえば履いていて滑ったことはあまりない。


いちについて、よーい、スタート!

コツをつかめばもっと滑れそう

パンプス靴選手の特徴
・ワンストロークでの滑りの距離が若干短かったが思いのほか、よく滑る。カカトを上げるといい感じ
・ 蹴り出しにヒール部分も上手に使うとタイムも伸びそうだ

 
記録は7.84秒

はきもの no.4 上履き

今回のために新品を購入。なにやらテフロン加工が施されているとのふれこみだった。フライパンみたいな上履きである。
リアル廊下スケーターだった小学生のころはこれで滑っていたわけであるが、果たしてタイムは。


いちについて、よーい、スタート!

あらら?

上履き選手の特徴
・なぜだ、滑らない!
・ズルズルと進み、つっかかってしまう
・新品だったのがいけないのか
・それとも現代の上履きが滑り止めに進化したのか

 
記録は10.64秒

はきもの no.5 健康サンダル

家庭用室内履きとしてエントリー。靴底のでこぼこの無意味な感じがよく滑りそうだ。期待。


いちについて、よーい、スタート!

足の運びが悪い

健康サンダル選手の特徴
・さきっちょからつま先がギュウギュウ出てしまう
・つぼが押されて気持ちはいい

 
記録は7.75秒

はきもの no.6 スリッパ

そういえば、学校の廊下だけでなく、病院なんかでもスリッパ着用の廊下スケーターはよく見かける。靴底がふわふわした布なのにも期待が持てる。

いちについて、よーい、スタート!

滑りすぎてこわい!

スリッパ選手の特徴
・とにかくよく滑る
・ワンストロークの距離も他の履き物に比べると俄然長い
・カカトが固定されていない分不安だったが、前へ前へとすすむ滑りにカカトは問題なかった
・後半やや滑りすぎて怖くなって腰がひけてしまった

 
記録は4.57秒
( ブーツを抜き、現在1位)

はきもの no.7 靴下

最後に投入してみたドーピングとも言えるアイテム。ぶっちゃけ、ただ一度これで滑ってみたかっただけともいえる。


いちについて、よーい、スタート!

あ、進まない?

靴下選手の特徴
・なんでだろう、滑るのだが前につんのめる感じで進まない
・体重が分散されないからだろうか?

 
記録は9.21秒
 

予想外の順位と総評

予想外の展開であった。なんと、廊下スケートの履き物として代名詞的存在でさえあった上履きが最下位である。さらに靴下の不振も意外だった。

金 スリッパ(中国)
銀 ブーツ(日本)
銅 運動靴(日本)

4位 健康サンダル(中国)
5位 パンプス(日本)
6位 靴下(中国)
7位 上履き (日本)

カカトが安定しないといったハンデを背負いながら優勝したスリッパや、どちらかというと滑らない印象の強い運動靴の大健闘といい、やはりオリンピックには魔物が棲んでいるようだ。

ただ、上履きに関して言うと、新品よりも履き古したあたりで一気に滑りやすくなる覚えがある。コンディションを大会に合わせられなかったことが残念だ。

最後に優勝したスリッパによるエキシビジョン演技、リンクを広く使っての滑走をお楽しみましょうか。今回は最初からこれがやりたかったんですな。やっほー!


わーーい!

演技中断、おこられた

さすがに7種類の履き物のなかで最も滑りやすかったスリッパだ。とにかくするっする滑れた。撮影は周囲の人に迷惑がかからないよう、早朝に行ったため当たりに人があまりいなかったので調子に乗って、自由にあちこち滑っていた。すると。

「こんにちは」

やわらかい物腰ながら、微妙な緊張感をもって警備員の方が近づいてきた。直感で、あ、怒られる、と思った。

古賀「こ、こんにちは」
警備員さん「なにしてるの?」
古賀「 ええと、スケートみたいに滑ったら楽しいかなと思いまして」
警備員さん「でも、ここ、オフィスビルだし、人にあたったりしたら危ないですよね」
古賀「は、はい」
警備員さん「事故があったら大変ですよね?」
古賀「すみません……」

考えてみれば当たり前だ。警備員さんは“危ない”という観点から注意してくださったのだから優しい。危ない以前に、大の大人が屋内で走り回るなど常識的にどう考えてもNGである。

オフィスビルの1Fでスリッパを履いた状態で私はしょんぼり反省していた次第です。

目が覚めたと同時に学校で滑ってたときも、よく怒られていたのを思い出しました。廊下スケートの際は、安全に注意し、場所をわきまえ行いましょう。


 

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