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コネタ


コネタ1079
 
すべて受け入れてみる

(text by しぐ

拒絶せずに受け入れてみよう

街を歩いていると、何かを差し出される風景に出会います。
それはチラシであったり、ポケットティッシュであったり、形は様々だけれども概ね広告媒体の類。
煩わしさにまかせて、いつも無視して通り過ぎてしまいます。

一度、その全てを受け入れてみたら、どんなものがどのくらい集まるんだろう。
局地的かつ限定的にではありますが、少しだけ寛容に接してみる事にしました。

 

調査方法

ただやみくもに歩き、ノーガードで受け取りまくるだけでは能がありません。
最終的には何かを見いだしたいとして、以下の要領で調査を行う事としました。

  • 歩く速度は配布する人がキャッチしやすいよう、比較的ゆっくりと。
  • 差し出されたものはすべて受け取る。
  • こちらからのアピール(声をかける、立ち止まるなど)はしない。
  • 13時、15時、17時の計三回、自身が決めた新宿駅周回ルートを歩く。
  • 最後に収集した配布物を分析する。

これらを念頭に置きつつ、早速真冬の新宿に繰り出してきました。
普段やり慣れていない事をしたので、受け取る手も最初はぎこちなかったのですが、三周目ともなるとだいぶこなれてきました。
もう少しでプロの域に到達できそうです。どんなプロだ。

 

配布スポットをめぐる

今回調査している中で、新宿駅周辺における集中配布スポットを認識することができました。
上記地図1〜4の全部で4カ所。実際歩いてきた様子と共にご紹介していきたいと思います。
緑黒の点線は、今回歩いたルートをあらわしています。

 

1.新宿駅南口広場

周回ルートのスタート&ゴール地点に設定したこの地では、ティッシュの配布が多く見受けられました。
しかしこの日はそれらが男性の手に渡る事はなく、女性にのみ選別して渡されていました。

日によって変化があるのだと思いますが、当日は結局取得数ゼロに終わり、自分の中では「女性専用スポット」という認識でおります。

女性がターゲット

 

2.新宿駅南口〜甲州街道沿いの道

現在工事中により狭くなっているものの、結構多くの数を確認できました。

進行方向へは下り坂になっており、若干歩行者のスピードも速くなりがち。
その為か、配布する人の見きり判断が他と比べると少し早めのように感じました。

歩行者が信号待ちをしている間に、自ら歩いて配ってくる場合も。

若干の傾斜があります

 

3.小田急ハルク前付近

上に架かる歩道橋が屋根となる全天候型配布スポット。
人通りも多く、配布する人にとっては絶好の環境であると言えましょう。

駅から流れてくる人と信号を渡ってくる人が交差する場所である為、定期的にかなりの混雑を呈します。
周囲に人が多いと思うように動くことができず、取得チャンスを逃す事もあるので要注意。

時に人の波が濁流のごとく

 

4.新宿大ガード下

言わずと知れた配布スポットのメッカである新宿大ガード下。
特に夜になると、沢山の配布機会に出会うことができます。
こちらにも屋根があるので、雨の日も安心ですね。

両脇にずらっと並び、おじぎをしながら手を差し出してくれる。
お金持ちの家で出迎えを受けているようで、ちょっといい気分になれます。

両脇に狛犬のように

 

日によって配布物の内容・比率に変化があると思いますが、配布スポットを把握していれば、いざという時に役立てる事ができるかもしれません。

花粉症の季節も近づいてきた今日。
皆さんもそれぞれ独自のティッシュ取得マップのようなものをつくっておくのも良いかもしれません。

 

分析してみます

計三周して得たものは、それぞれ以下のとおり。


一周目 13:00

・コンタクトレンズ店のチラシ ×2
・旅行代理店のチラシ(ガム付き) ×1
・消費者金融会社のティッシュ ×2
・バイト情報誌 ×1


二周目 15:00

・コンタクトレンズ店のチラシ ×3
・消費者金融会社のティッシュ ×2
・マンガ喫茶のティッシュ ×2


三周目 17:00

・コンタクトレンズ店のチラシ ×1
・スキューバダイビングスクールのチラシ ×1
・光ファイバー回線のチラシ ×1
・消費者金融会社のティッシュ ×2
・マンガ喫茶のティッシュ ×4
・バイト情報誌 ×1


ティッシュとコンタクトレンズチラシの数が目立ちます。
全体の傾向をつかみやすいよう、グラフにしてみました。

以上のデータと経験を踏まえ分析し、自分なりの考察を加えてみます。

 

■ティッシュが欲しいなら夜だ。

  • 時間を追うごとに取得数が増加している。
  • 遅い時間になると、一度に2、3個の同時配布も見受けられるようになる。
2つ同時配布の図

やはり無料配布物界の雄、ティッシュはどの時間においても個数でトップになりました。

上グラフでも一目瞭然、取得機会は遅い時間になるにつれて多くなっていく傾向にあるようです。

寒さの厳しい夜、頻繁に出る鼻水に対する気遣いのたまものですかね。
素晴らしい配慮です。

 

■コンタクトレンズチラシには配布ムラがある。

  • 配布している人数に対して、取得割合が一番少ない。
  • 他の配布物に比べて、配布人の見切りが早い。

ティッシュ以上に印象深かったのがコンタクトレンズ店のチラシ配布。
一定のゾーンに何人も配置され、余りある自己主張のもとに差し出してきます。

ただし配りムラが多く、一人おきもしくは二人おきに配ろうとしている傾向が見受けられました。

配布人の目が悪いのでしょうか。コンタクトレンズのチラシだけに。

すぐ引っ込められてしまう

 

■ターゲットを限定した配布物も存在する。

  • 女性にターゲットをしぼったティッシュ配りの存在を確認。
  • どうあがいても男性は受け取る事ができない。
女性しか見えないらしい

ニーズに合わせてターゲットをしぼり配布する方法は合理的です。

女性にのみ配布されるものは、化粧品のサンプルやホストクラブの広告媒体などが考えられるでしょうか。

逆に男性のみに配布されるものや、年齢によって判断されるものも存在していそうです。
顔で判断されていたら嫌ですね。

 

■日によってイレギュラーが存在する。

  • 常習的に配布されるもの以外にも、単発モノの存在を確認。
  • その場限りで完配するので、将来レアアイテムに化ける可能性も。

リアルタイムさが重要な情報誌や新製品の試供など、その場限りの配布物にも遭遇する事が多いです。

基本的に今後出会う可能性が少ない配布物である為、後々オークション等で高い値がつく可能性もあります。

そんなダイヤの原石とも言えるものを笑顔で配布してくれる人に対し、我々はもっと感謝すべきなのかもしれません。

今しかないバイト情報を配ってます

 

■お店の前で配布するチラシには要注意。

  • 家電量販店前で配布しているチラシを受け取ったら、別所に導かれて話をきかされた。
  • おそらく10分程度は開放してもらえず、一方的にうなずいているしかなかった。
今思えばこれがスイッチだった

 

大手家電量販店などの前で配布しているチラシは、受け取るとセールストークに切り替えられるという罠である可能性が高いので気を付けた方が良いです。

光回線の素晴らしさを熱心に語られるも、自宅が賃貸住宅ではどうにもならず。
俺だってできることなら光回線にしたい、浮いたお金で廻らないお寿司食べたいとでも言いたかったのですが、面倒な事になるといけないので沈黙を守ったのです。

配布物を受け取るのにも、目利きが必要な世の中になってしまったのです。

 

■欲しい時には積極的に受け取る意志を示すべし。

  • 視線をあわせないでいると、差し出してもくれない時がある。
  • 受け取るリアクションの始動が遅いと、受け取り損ねてしまう。

配布人は一日に数え切れない人を相手に配布しているので、一人にこだわってはいられません。
少しでも受け取らないそぶりをしたり、こちら側のアクションが遅れたりすると、ターゲットは早々に他の人に移ってしまいます。
欲しい時は、相手の目を見て、こちらから積極的に手を伸ばしていく必要があるのかもしれません。
攻めの気持ちを忘れてはいけないという事です。


いかがでしょうか。
皆さんも是非、配布物取得に繰り出す際には、上記をふまえて臨んでみて下さい。

少し大人になりました

新宿駅周辺、一日限りというローカルでマクロな範囲内ですが、かなりこの世界の事を知ることができたと思います。
今まで邪険に扱ってきた無料配布の類ですが、こうして少し寛容になってみる事で色んなものが見えてきました。

無料配布に関する攻略法を導き出す事ができました。
でも一番大きかったのは、配布している方々に対する偏見の緩和です。

肉体的にも精神的にも過酷な仕事である事を知り。
素直に労をねぎらい、ティッシュくらいなら受け取っても良いかな、と思うようになりました。

見いだしたものは傾向と対策などではなく、今までの自分自身の心の狭さ。
得たものはティッシュなどではなく、人間本来のやさしさだったのかもしれません。

自己満足ではありますが、晴れ晴れとした気分です。
たまには寛容にもなってみるものですね。

ごくろうさまです
 

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