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コネタ


コネタ1082
 
北海道みやげものディナー

北海道民だけど、高いからカニはめったに食べないですよ。

親戚に送るための北海道名物を探していて(こんなシチュエーションばかりで申し訳ない)、ふと思いました。

「私が北海道に住んでいるかぎり、北海道みやげをもらうことはない」

「ということは、私には、ここにある北海道みやげを食べる機会がない!?」 ということで、ふだんの夕食用に、おみやげもの食品を自分で買って食べてみることにしました。

(text by 加藤 和美

■みやげもの屋を物色

札幌駅構内や、近くのお土産物屋を覗いてみた。
ヒグマをアレンジしたオバカグッズや、ご当地キ○ィ、キュー○ーなどがたくさんある。
ビックリしたのが大量の「加藤茶」グッズ。80年代の売れ残りではなく、新作だ。
私がうかうかしているあいだに、加藤茶はリバイバルしていたのだろうか。

それはともかく食品探し。
海産物はさすがにおいしそうだが、普通の夕食としては高いので手が出ない。
ふだんあまり食べないようなものを探して、みやげもの屋をウロウロする。


だれかのために買うのではなく、自分のために買うとなると、見慣れたみやげものも新鮮な気分に!
おなじみ「いかめし」に挟まっていて見落としそうになった「いかチーズ」。ちょっと待て!
とにかくものすごい数の、北海道限定お菓子の数々。ミルク味、チーズ味、夕張メロン味、ハスカップ味、とうきび味、ミント味、ハッカ味などなど。
異様な迫力の缶詰たち。左からアザラシカレー、ミンククジラカレー、トドカレー、熊カレー、えぞ鹿カレー……なんでもカレーだ。
3月にもかかわらず、この日の札幌の最高気温は0度。沖縄みやげ売り場でゴーヤを手に、南国に思いを馳せる。
我にかえって、北海道みやげをこれだけ買った。
さて調理するか。

 

■食前酒気分で飲み物から

飲み物類は重いので近所のスーパーで買ってきた。飲み物類は以下の4種類。

・おたるワイン
・サッポロクラシック
・リボン・ナポリン
・コアップ・ガラナ

「リボン・ナポリン」と「コアップ・ガラナ」は北海道でしか買えないジュース。
でも実は、私はどっちも飲めない。

北海道育ちの友人に「炭酸系のジュース買ってきて」と頼んだらガラナを買ってくるし、この日も私が買おうかと迷っている横で、主婦っぽい女性が無造作にナポリンを買い物カゴにつっこんでいてビックリした。
おそらく幼少のころから慣れ親しんだ道民にとっては、この2つはごくポピュラーな飲み物なんだろうけど…。
うーん、じゃあチャレンジしてみますか!ってことで買ってみた。


こちらは安心の2本。「おたるワイン」はナイヤガラという品種がオススメ!ジュース感覚でうまい。「サッポロクラシック」は北海道限定の銘柄のビール。
問題のナポリンとガラナ。ナポリンはこれまた鮮やかなオレンジ色。実は札幌に来たばかりの頃、ペットボトルに入れたガソリンとナポリンを間違えてあわや、という過去あり。
ナポリンを飲んでみる。あれ?おいしい。駄菓子屋さんのジュースみたいな味で、なぜか懐かしさを感じる。10年の時を経て飲めるようになったよ、ナポリンー!
ガラナはいくつかのメーカーから発売されている。コアップ・ガラナは初めて飲んだがうまいじゃないか。ちょっと薬っぽい炭酸飲料という風味。この写真はウォッカで割ったもの。

 

■ではさっそくディナーを

今回購入した食材は、以下の6品。一応「安全そうな順番」に並べてみた。

【1】行者ニンニク生ラーメン(しょうゆ味)
【2】いももち
【3】さけキムチふりかけ
【4】メロンたまり漬け
【5】熊肉大和煮
【6】トドカレー

もう少し考えて買えばよかったと、並べながらすでに後悔。
ではとりあえず1品目……。


【1】行者ニンニク生ラーメン
行者(ぎょうじゃ)ニンニクというのはユリ科の植物で、おもに寒冷地で育つため、日本では北海道か、本州の高地で栽培される。
ニンニクというより野蒜(のびる)に近いと思う。ニンニクばりの滋養強壮食材!というのがウリ。
近所の居酒屋のメニューで、行者ニンニクがまるごと出てくるが、味はニンニクのように匂いが強い。


メンに行者ニンニクが練りこまれている。
ラーメン自体は、札幌なのにミソ味ではなくショウユ味なのが残念。
あえて具はネギのみ!確かにメンからニンニクに近い匂いと味が漂う。ラーメンとしては普通だけどパワーが出そうなちょっと濃い一品。

 

【2】いももち
つぶしたじゃがいもと片栗粉を練ったもの。
おもちのようにモチモチしていて、甘辛いしょうゆだれで食べるのが一般的。じゃがいものほのかな甘さが北海道らしい一品。
北海道の「フランクフルト的ポジション」の食べ物で、公園やお祭りの出店、サービスエリアでは必ず売っている。居酒屋メニューにも多い。
ひさびさに食べたくなって購入。


サービスエリアで必ず食べてしまういももち。こういうパック食材はおいしいのか?電子レンジでOKというので1分ほど暖める。
確かにいももちだけど、暖めただけだと物足りない…。フライパンで焼いた方が絶対うまいと思うので、いももちを買って帰る人は焼いてみよう。

 

【3】さけキムチふりかけ
冷静に考えるとなんということもないのだが、パッケージにつられて購入。
パッケージには、立ち上がったヒグマと、
「北海道からいんでないかい」
「この鮭なまら辛いベア〜!」
と、北海道弁&脱力ギャグが恥じらいもなく印刷されていた。

普通のふりかけのようにガシガシ食べたら、後からドーン!とくる辛味が。
予想以上に辛い。
キムチの辛さなのかは謎だが妙に辛い。
辛いものが好きな人ならイケル一品。
このふりかけ、ひとふりでご飯1杯はいけそうなところもリーズナブル。


このパッケージにつられて購入したのは、私だけではないと思いたい。
油断すると後から辛さが来る。
少しずつ食べるが吉。

 

【4】メロンたまり漬け
このあたりからちょっとあやしくなってきた。
「メロン」という高級そうな響きと、「たまり漬け」ががっぷり四つに組んでいるのがなんとも奇妙な語感を生んでいる。
まあメロンもウリ科の植物なので、キュウリとは変わらないはずだ。はずだ。

勇気を出して食べてみたところ……うーん、ごめんなさい。
もともと漬物類は苦手なのだった。
写真撮影してくれた友人は、「普通の漬物だ」と言って食べていた。
「でもたくさんは食べられない」とも言っていた。


見た目は、京都あたりでも売っていそうな普通の漬物っぷり(?)
ウワーすいません、漬物ニガテです。
メロンはナマで食べさせてください。

 

【5】熊肉の大和煮
きましたよー、獣の肉がきましたよ!
私は熊を食べたことはないけれど、熊は中華料理でも使っているという高級食材。
あまり不安は感じずに、缶詰をオープン。

見た目は普通の煮物だが、匂いは強い。肉の臭みを消すためだろうか。
食べてみたら、肉自体はものすごく柔らかい。特にゼラチン部分がプルプルしている。
が、しかし後味が…獣臭い…。
それを消すために、ショウガの匂いも強い。
全体的に味と匂いが濃いが、まあご飯と一緒だったら食べられる。

ただし友人は「これはだめだー」とネを上げていた。
やはり生臭いのと、ショウガがキツイのがダメらしい。


「熊肉30%」と記載されている。食べる前は「30%だけ?」と思ったが、食べた後は「30%でじゅうぶんです」と言いたい。
見た目は普通だったが…濃い味付けでも隠せない、熊のインパクト。「熊」としか書かれていないのも気になる。ヒグマなのか?

 

【6】トドカレー
えー、本日のメインイベント。もといメインディッシュ。
北海道に来た人なら1度はみやげもの屋で見たことがあるんじゃないだろうか、トドカレー。
トドカレーはマズイらしい、という前情報があって、食べる前から腰が引けている状態。
いや、でも意外とイケルかもしれないし…だれでも大好きなカレーだし…と、缶を開ける。

レンジで暖めてから、まず肉だけを探して食べてみる。
臭い!生臭い、獣臭い!
カレーで強烈に煮てあるはずなのに、隠れていない獣の匂い。
肉自体は柔らかいが、おつまみのマグロフレークのような不思議な食感。
カレーだけならご飯と一緒になら食べられるけど、肉部分はちょっとキツイ。

熊肉で若干ダメージを受けていた我々は、トドにトドメをさされた状態に。
いやジョークとかじゃなくてホント…。

こんなことなら、熊かトドかどっちかにすればよかった。
…って、そもそもこんな二択を選ぶ方が間違っている。
北海道にはもっと普通におしいものが、うなっているはずなのに。
なんなのこの結果。
おそらく私はおみやげもの屋で、かなりおだっていたのだろう…。
(注:おだる=北海道弁で調子に乗る、の意)


ドド〜ン!!ああ、せめてミンククジラカレーにしておけばよかった。静岡育ちなのでクジラには馴染みがある。イルカも食べるよ。
ものすごく久しぶりにカンキリで缶を開ける。
なんかもうこのへんから気分が重い。
皿に開けたら…立った!トドカレーが立った!原形を留めたまま立っている。食べる前からすごい存在感。
皿見た目は普通のカレー…だと思うのだが、「これはトドだ」という意識が強くて、完全に腰が引けている。
まず、ハシで肉だけ確認。
「さー食うぞー」と言ってから口に運ぶまでが長い。
「陸の獣とは違う!」と語りだす。私のトークを聞かされた友人いわく「このあと自分が食べさせられると思うと気が気ではなかった」。

■おみやげもののおいしさって…

ただ「おみやげものを食べよう!」という平和な企画のはずだったのに、後半は獣の匂いが満ち満ちた内容になってしまった。
これらの夕食を食べ終わった後、「よく肉食獣の肉はまずいって聞くけど、あれは本当なんだなあ…」と遠い目でつぶやく友人。まあその事実を体感しただけでも貴重な経験だった、と言っておこう。

記事の中で熊やトドの肉を「臭い」「キツイ」などと書いてしまったが、肉大好き!な人だっら平気でイケル範囲かもしれない。どちらも匂いを消すために最大限の工夫はされていたので。

ただ今回痛感したのは、
「おみやげものは、誰かが自分のためにわざわざ買って来てくれるからこそありがたく、価値がある」
ということ。
自分で買っても、珍しくても、いまいちうれしくないのだー!
「○○さんが選んで、買って来てくれた!」とかなんとか考えながらいただくのが、おみやげもののおいしさの秘密なのかもしれない。

すっかり買ったことを忘れていた
「ジンギスカンキャラメル」と「サッポロビールキャラメル」。
今なら、こいつらだってかわいく見える。

 

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