ドミノ、風に負けるな

僕はドミノが大好きです。
幼少の頃から大好きで、積み木をひたすら並べては倒すという遊びを一人で繰り返してた記憶があります。

大人になってもそのドミノ好きは変わらず、東急ハンズで買い集めたドミノは750個にも達しています。

しかし、休日に狭いアパートで一人でドミノを並べていると、なにか悲しい気持ちになったりもします。

そこで、悲しくないドミノ倒しをしようと、公園でドミノ倒しをすることにしました。

（text by 荒原 べんぞう）

まずは外へ

というわけで、ドミノを持って公園へやってきました。

天気は良好、風も穏やかでドミノ日和と言えるのではないでしょうか。

ドミノを屋外で並べるなんて初めての経験ですので、とりあえず試しに、150個ほど、花壇の縁に並べてみることにしました。

いざ並べる

さて、気合を入れて並べましょう。
と、思ったら、一分もたたないうちに風でドミノが倒れてしまいました。

いくら風が穏やかとはいえ、突発的に強い風が吹いてしまえば、それだけで苦労が水の泡になってしまうのです。

公園でドミノをすれば風が障害になることぐらいはわかっていたつもりですが、これほどまでに強敵だとは思いませんでした。

しかし"風が吹くからやらない"というのでは、今までの常識の範囲内でのドミノのままです。

そこで僕なりに少し工夫をして、一定間隔ごとに間を開けながら並べることにしました。
こうすることで、一部が倒れても被害を最小限にする作戦です。

ところが数分後、また倒れてしまいました。

一定間隔ごとに間を開けても、風が吹くとドミノは全体的に倒れてしまうので、僕のやった工夫には意味がないのです。

さて、どうしたもんか・・・。

場所を変えよう

より確実にドミノを並べる方法を考えた結果、まずは場所を変えてみることにしました。

今まで並べてた花壇の縁は一見平らなように見えて、じつは少しデコボコしていました。
そのため、ドミノは弱い風でも倒れやすくなっていたのではないかと考えたわけです。

しかし、この程度の工夫で根本的な問題が解決したわけではありません。
ですが、もう僕にはこれ以上アイデアがないのも事実です。

こうなったら、あとはガチンコで並べるしかないでしょう。
強い風が吹かないうちに、パパっと並べてしまうのです。

なにやら少年野球の子供達に注目されているようですが、そんなことを気にしている余裕はありません。
今は、時間との戦いなのです。

そして数分後、僕は戦いに勝ちました。

あとは繋げるだけだったのに

さて、150個のドミノもほとんど並び終え、あとは一定間隔ごとに空けていた部分を繋げていくだけになりました。

しかし、そのとき・・・！

やってしまいました。倒してしまいました。
しかも今度は、風ではなく人的ミスです。

すっかり忘れていましたが、ドミノは風との戦いである前に、自分との戦いなのです。

自分とだけ戦っても十分すぎるほど難しいのがドミノ倒しのはずなのに、なぜか風とも戦ってわけがわからなくなっていました。

それよりもショックなのが、せっかく頭を使って考えた工夫がヒューマンエラーを誘発したことです。
助けるつもりが邪魔になってしまった。それが何よりも悲しいです。

あきらめない心

ショックをうけて呆然としながら周りを見ると、いつのまにか子供達が近くまで集まってきていました。

一人で始めた孤独な戦いが、いつしかみんなの戦いになっていたのです。

僕は一人じゃないんだ。そう思うと、底知れぬ力が湧いてきて、再びドミノを並べることができました。

そして数分後、ついに・・・

ついに、もう一度完成です！

こんどは人的ミスを起こさないように慎重に間を連結して、本当の完成となりました！

でも、悠長に喜んでいる暇はありません。
風が吹かないうちにドミノを倒さなければならないのです。

今まで"倒れるな"と思って並べたドミノが、"倒れろ"という願いに変わる瞬間です。
倒した結果をムービーでどうぞ。

成功です。大成功です。
周りに集まってた子供達も拍手で称えてくれています。
ありがとう！

ムービーの最後のほうで「オレもやりてぇ！」って叫んでる子供もいます。
本気で言ってるのか？やめといたほうがいいぞ。