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コネタ


コネタ1104
 
黄身の××漬けに挑む
××はチョメチョメとお読み下さい

いきなりですが、想像してみてください。
炊きたての御飯の上には半熟玉子。箸先で黄身をプチッと突つくと中身がトロリと流れ出て、白い米粒はみるみる黄色に覆われていく。そこへ醤油をタラリ…。

たまらん。めまいがする。

ワタクシ、卵の黄身を偏愛しております。そんな黄身を使った手軽なおつまみに「味噌漬け」がありますが、あれって味噌じゃなきゃダメなんでしょうか。あれこれ試してみました。

高瀬 克子

調理のコツは「破かないこと」だけ
容器には、お猪口を使うことに

何で漬けるべきか

さて、黄身の味噌漬けですが、作り方はいたって簡単。

1 黄身を味噌で覆う
2 そのまま冷蔵庫に入れて2〜4日
3 黄身が固まり、完成

どうです、この手軽っぷり。そのうえ、酒の肴にも、ご飯の友にも抜群というスグレ物。黄身を愛する者なら、是非作ってみてほしい簡単料理だ。

より丁寧に作るには、味噌を酒やみりんで伸ばしたり、ガーゼで卵黄をガードしたりするらしいが、私はやったことがない。それでも十分うまいのが、この料理の素晴らしいところだと勝手に思っている。

さて「味噌以外に何で漬けるか」だが、特に目新しい物を買い足したりはせず、冷蔵庫にある物を有効活用することにした。

卵によそ行きの服は似合わない。似合うのは普段着なのだ。

ザ・普段着の調味料たち
黄桃の缶詰にも見えますね

チャレンジメニューもあります

ここで、上で使用した普段着メニュー(味噌以外)を紹介しておこう。
・中濃ソース ・焼き肉のタレ ・イカの塩辛 の3種だ。

どれも安定感は抜群だが、意外性に欠ける選択と言わざるを得ない。たぶん、そこそこ美味しい物が出来るだろう。だが「うまく出来るかな?」というドキドキは得られない。

というわけで、さらに3種類プラスすることにした。ええ、こんな私でも、たまにはドキドキが欲しいんです。


マヨネーズ。卵プラス卵黄という過剰さ
うま味のかたまり、味の素
ヨーグルト。生きた菌がどう作用するのでしょう。大穴です

味噌で黄身が固まるのは、その塩分が重要な役目を果たしているからに違いない。

ならば、マヨネーズはどうなるのか。食塩の表記はあるものの、果たして固まってくれるのか。そして味の素は。

さらに、唐突と思われかねないヨーグルトの参戦だが、味噌と同じ発酵食品という括りで選んでみた。果たして乳酸菌は、黄身にどんな変化を及ぼすのか。

ああ、ドキドキしますね。…私だけか?


計7種、このまま冷蔵庫へ

冷蔵庫を開けるたび、お猪口がチマチマと並んでいるのが目に入る。…ああ、お猪口という小宇宙の中で、いったいどんな変化が起こっているんだろう。

それにしても、黄身とお猪口の相性の良さよ。ほぼジャストサイズじゃないか。「地味にお猪口を集めていたのは、このためだったのか」
とさえ思える適材適所っぷりだ。今まではラップと輪ゴムで作っていたが、これからはお猪口にしよう。なんたってかわいい。


3日が過ぎました

三十路を越えると「時の流れは滝の如し」である。しかし黄身を前にすると、妙に時間が長く感じられたから不思議なものだ。ま、それだけ楽しみだったってことかもしれない。

では、さっそく黄身を発掘してみよう。


味噌
味噌の重みで変形してますが、なんと美しいベッコウ色なことでしょう
中濃ソース
キレイな丸が出来ました。しっかり固まってます。色もシブイ

焼き肉のタレ
液体系は形がキレイですね。ゴマ付きが贅沢な感じ
味の素
なんと、かたまってます! さては水分が吸収されたのでしょうか。うま味ってスゴイな

イカの塩辛
どうですか、このツヤ、この照り! …完璧。

つい写真を大きくしてしまうほど、イカの塩辛は美しかった。予期しなかっただけに、感激もひとしお。素晴らしい。


食べないことには始まらない

見た目はおおむね満足だが、食べてみなくては真のジャッジは下せまい。箸でネットリとした黄身を少量つまみ、口に含んでみる。

まずは食べ慣れた味噌から。勿論おいしい。固くなり過ぎたせいか歯によく付くが、それが練りウニっぽくもある。うま味がギュッと濃縮されて、いつまでも口の中で弄んでいたい味だ。うまいねぇ。

…正直に言うと、味噌を越える味などないと思っていた。味噌が最強だと信じていた。しかし今回、なんとそれを上回る物が登場しました。イカの塩辛です。見た目だけじゃなく、味までも素晴らしい!


塩辛のいいところを全部に吸収したたかのよう。適度なしょっぱさ&柔らかさ
黄身自体も恐ろしいほどに美味しくなっております。御飯が激しく減っております

焼き肉のタレも黄身と好相性。なんとなく、肉を食べてる気分になれます
見事なまでの失敗作。結局、加熱してから食べましたが

とにかく塩辛の圧勝だった。私が大の塩辛好きというのもあるだろうが、それにしたってウマすぎる。これはカラスミか?

以下、あまり気の入らない評を書いた。塩辛の前には、どれも霞んでしまうのだ。

ソース … スパイスのピリッとした味が引き立つ。まぁまぁまぁの味。
焼き肉のタレ … これはウマイ。黄身とよく合う。あー、御飯おかわり!
味の素 … すみません、口の中がえらいことになって食べられませんでした。うま味調味料は、くれぐれも適量を守りましょう。

えーと、このまま終わってしまおうかと思ったのですが、やはり、この2つに触れない訳にはいきませんかね。

マヨネーズ … 表面がネットリしただけで固まらず。これは茹でたアスパラガス等に付けて食べるとアリだとは思う。
ヨーグルト … 固まるそぶりも見せず。ほのかに甘いトロトロの黄身は、おいしさとはほど遠い場所におりました。

これからはイカだ

まさか、こんなオチになるとは思ってなかった。

いや、でも本当にですね、塩辛はすごいですよ。イカの臓物バンザイ、ですよ。

今回ばかりは真剣にオススメいたします。是非、是非一度! 黄身偏愛者としてウソは言いません。

大量の白身は、乾煎りしてから豚汁に入れて食べました

※まねして作る際は腐らないように気をつけてください。腐った場合は食べないでください。(編集部より)

 

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