「うまいとしかいえなくて……」と僕がまごまごしていると店員さんがフォローしてくれた。
「みなさんいろんな表現しますよ。『動物のぬれた毛』とか『白馬に乗って走っているようだ』と表現するひともいますよ」
なんだ、そういう表現もありか。ならば得意だ。
「自然の草原」というはちみつをテイスティングする。
「うーん、これは『おばあちゃんちのにおい』ですね」
店員さんの頭上に大きな「?」が浮かんでいる。
「お寺の廊下みたいだと言う人もいますね」
あ、そうそう、僕が言いたかったのはそういうことです。
つぎ、ひまわりのみつをなめる。
甘いなか、遠くのほうにすっぱげでさわやかな粒が見える(図参照)。
さすがにそんなアシッドな景色を説明するのをためらっていると
「あ、ヨーロッパっぽい」
「そうです。フランスのひまわりなんです」
大塚さんと店員さんが盛り上がっている(説明し忘れましたが、今回、水曜担当のライター大塚さんが写真撮影しています)。なんだなんだ。悔しい。ヨーロッパなんていったことないし。
オーストラリアのはちみつをなめる。ラベイユの店員さんいわく
「南半球のはちみつは元気な味がするんですよ」
「確かに、こう、なんというか、甘いですよね」
また「甘い」としか言えなかった。でも、ニュアンスはわかってたんですよ。
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