●座り込めば馴染めるのでは…
中継が長引きそうだったので講堂を出た。
ホールでは卒業生たちがいくつかのグループを作って、それぞれ楽しそうに盛り上がっていた。
僕と林さんはそのパワーを前にしばし呆然とする。
「自分で言っちゃうのも何ですけど、明らかに僕たちとは違いますねえ」
「あの若さは本物ですね」
卒業生たちも僕たちも同じスーツ姿なのにどこか違う。
彼らはどこから見ても学生で、僕たちは明らかに出入りの業者さんだ。
「だって、みんなスーツのまま地べたに座ってますよ」
林さんが半ば呆れた口調で言う。
「それですよ!林さん。僕たちも地べたに座ればいいんですよ」
早速地べたに座って写真撮影。
「携帯をいじったりすると更にそれっぽいかも」
林さんのナイスアドバイスで地べたに座って携帯をいじる。
「じゃあ、写して下さい」
お互いにポーズを決め、カメラを向けあった。
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