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はっけんの水曜日
歌舞伎町の生まれた頃の話を聞いた

ホストクラブ「愛」の看板の前で



大きな生け簀のある日本料理あみもとの斜め前の、キングコングのぶらさがっているビルの前で、また簡さんが立ち止まった。
「ここは留日台湾同郷会のビルです。中国語で『パン』といって、日本の県人会みたいなものですね。一緒に事業をやりましょうという会です。
ここらへんは、昔は台湾料理屋が多かったんですよ。それは日本人向けじゃなくて、夜働く台湾人女性のためのものだったんです。最近そういう店は減っています。なぜかというと、働く女性が大陸の女性にとって変わったからなんです。台湾と大陸では、料理が違っちゃいますからね。ちなみに台湾人女性たちは、もうママクラスになっちゃってます。
そう、今は新華僑といって、大陸などから人々が、ここ10年くらいの間に、新しく来ているんです。例えば髭鬚張魯肉飯(台湾風ぶっかけごはん屋チェーン)、台南但仔麺(小皿台湾料理居酒屋) 、台湾牛肉麺(台湾料理食堂)も新華僑の店ですね。台南但仔麺 などは完全に日本人のお客さん向けですけど、台湾牛肉麺は台湾味なので、台湾人客ばっかりですよ」

私はその3店に行ったことがあったので、味を思い出していた。どこも美味しかったけれど、「台湾牛肉麺」だけは確かにちょっと、食べ慣れない味がした気がする。ちなみに髭鬚張魯肉飯は歌舞伎町店を閉めて六本木ヒルズに移転している。

簡さんが説明していると、後ろに立っている「ホストクラブ『愛』」の看板の前に、台湾から来たらしい観光客の団体がやってきて、添乗員が説明を始めた。ニアミスだ。



「あのう、台湾の人って、台湾の人が作った町ってことで、新宿に興味あるんですか?」
誰かが質問をした。
「いやあ、それはないでしょう。ただ有名な繁華街スポットっていうだけですよ。台湾でも、あのホストクラブはとっても有名ですよ。ハハハ」
簡さんは薬屋の前で止まって、看板を指差した。



「こういうね、台湾から来る人向けの薬屋さんとかも、歌舞伎町にはたくさんあるんですよ…」



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