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特集


はっけんの水曜日
 
青くする実験

変わった色の食べ物に、どうしても魅かれる。
ピンクのウエハースのパン、パフェにかかった色とりどりのスプレーチョコレート、縁日の真っ赤なリンゴ飴、蛍光色のチョコバナナ……。

「ああいうの食べると身体に悪いのっ」
子供の頃、母はそう言って買ってくれなかった。許されたのは、ソーメンの中に混ざった、ピンクと緑の麺を食べることだけ。
赤いソーセージもピンクのでんぶも買ってくれなかった。幼稚園当時の私は、茶色と黒の地味な弁当箱を見つめては、ため息をついていた。

子供の頃に抑圧されたものは、大人になって反動が出る。

「そうだ、ごはんをカラフルにしてみよう。せっかくだから、普段いちばん食べない色にしてみよう。……青かな?」

私は食用色素を買いに出かけた。
食べ物の色を変えると、気持ちはどのように変化するんだろう?

(text by 大塚幸代


粉が入っています
色素投入
青ドリア!

食用色素ゲット

色素は東急ハンズの製菓材料売り場にあっさりあった。150円、5.5グラム。

使用上の注意を読んでみる。

「営業用として、下記商品には使用してはいけません……野菜、豆類、わかめ・こんぶ類、きなこ、醤油、魚類、茶、海苔、みそ、カステラ、スポンジケーキ、マーマレード、めん類……」

お菓子以外の食品には、使って欲しくなさそうだ。でもべつに売るわけではないので、無視して使用することにする。

ちょっとなめてみる。味はしない。匂いをかいでみる。かすかに何か美術室っぽい、絵の具っぽい匂いがするような気がするが、使用するのは少量なので、結局、無味無臭だろう。

青ドリア

さっそく夜食のドリアを青くすることに。

ホワイトソースを鍋に入れ、色素を入れてみる。

もわーん

青くなっていくソース。でも元が黄色っぽいので、どちらかといえば緑になった。

ごはんにかけてみる。
ぱく。
……まずくはない。そこそこのインスタントの味だ。

しかし、私の中の生理的なものが、NGを出していた。

目をつぶって食べてみる。ただのドリアだ。
目を開けて食べてみる。見ているものと口の中の味がつながらない。食感だけが口の中で大きく感じられた。

食べ切るのに、ひどく時間がかかってしまった。

 

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