ひさびさの石の裏めくり
やってきたのはお台場海浜公園。午後から天気が崩れるという予報だったので、朝イチで出勤の人々の流れをかき分け海岸へ。
子供の頃、夏に海水浴に行くと磯野石は必ずひっくり返してまわった。小さなカニとか、イソギンチャクとか、ヤドカリとかヒトデがいるのが嬉しくて、泳げない私は砂浜派よりも断然磯派だった。
懐かしみつつ、そして強風に煽られつつ磯辺を歩いていくと、そこらじゅうの石が愛の記念碑になっていることに気が付いた。
恋人たちが何かにつけて刻むということは薄々気付いていたが、それがお台場の石にまで及んでいるとは。
同時に気が付いたのがフナムシの圧倒的な多さ。石碑と石碑の間をぬって何十匹もがカサカサ移動してる。
裏返す前からこの虫具合。裏側はどんなことになっているのか、とにかく見なければ。こわごわ手近の小さな石をひっくり返そうとしてみた。しかし、どれも石同士がパズルのパーツみたいにぎっちりはまっていて動かない。
表面に転がってる大きな石の方が逆に動かせるかも。テコの原理とかで。うおりゃっ。
動かない。いや、当たり前だ。 何キロあるんだ、この石。実はあまりの風の強さと足場の悪さにややパニック状態になっていた。落ち着け。落ち着いて子供の頃の磯の勘を取り戻すのだ。
フナムシばかり
ようやく動く石を見つけた。ガコっと外すと、案の定一斉にフナムシが這い出してきた。ひるむ間もなくムシ達は他の石の裏へ。早い。
さらにいくつかの動く石を発見したが、やはりフナムシばかりだった。何かのRPGみたいになってる。
一カ所イソギンチャクがいたところがあったような気がするのだが、後で写真をチェックしてもどこにも映っていない。幻だったのか…?
噂によると食べられるような牡蛎もいるらしいのだが、あまりのフナムシの多さにすっかり参ってしまった。
今度はダンゴムシばかり
ついでに磯の沿道にある草むらに転がっていた石もひっくりがえしてみる。土にカブトムシの昆虫とかうまってるかも! ガバっ。
……。石の裏一面にびっしりのダンゴムシ。 「風の谷のナウシカ」で、飛行機のフロントガラスにオームがギッシリくっついていたシーンを思い出した。蒼き衣をまとってもいない私にはかなり重めなビジュアだ。
フナムシ同様、全員すごいスピードで また石の裏へと逃げていく。写真に撮る暇もない。
ダンゴムシとフナムシは同じ等脚類。お台場海浜公園2004年春の石の裏界は等脚類による圧倒的支配社会といえそうだ。
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