千歳烏山へ
もう、この時点で4時30分になっていた。
「これ、このマップによると、10台の自動販売機を使って、野菜を販売してるところが、千歳烏山にあるんです。ここ見たいんですよ……」
「でも、もう歩くのはキツいですね。時間も営業時間に間に合わないし」
「……タ、タクっちゃいましょう!」
環八まで出て、タクシーをひろった。
タクシーに乗って野菜を買いに行く私達。いいのだろうか、こんなことして。
車は徒歩とくらべると、夢のように早かった。
降りて少し探し歩くと、甲州街道ぞいに、販売機がドーンとあった。
「あったあった!!」
「買うぞおーーーー!!」
「あ、あれ……?」
中はほとんど空だった。
何か入っているボックスもあったが、よく見ると、牛フン、鶏フンなど、肥料だった。
「フ、フンかあ……」
「………くうう」
「……あ、この近くにもう1軒あるみたいですよ。5時までの営業みたいですけど…」
「い、行きましょう!」
急いで行ってみたが、案の定、もう品物は完売していた。
店の前には、手書きのダンボールの看板が置いてあった。
『***と車の横に書いてあるライトバンに乗って来る七十才位の男の人お金を入れて下さい。何回も見てますよ』
「……そういう人、いるんですね、やっぱし」
「見てる、んですね……」
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