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特集


ロマンの木曜日
 
タクシー運転手の行きつけに連れてってもらう

次は月島へ

白山通り沿いに停まっていたタクシーに声をかけた。


ちょっとすみません

「あのー、ちょっといいですか?」
「どうぞどうぞ」
「おいしいお店に連れて行って欲しいのですが……」
「ほほう。だったら月島の『月よし食堂』だな」


月島行こう

運転手の和田さん(58才)はとても気さくな方だった。
「今、ご飯食べてたんですか?」
話しかけた時、楊子をくわえていたので、聞いてみた。
「うん、そこの永禄寿司でね。神保町の永禄寿司は他の永禄寿司よりもネタがデカいって知ってた?」
「いや、知らなかったです」
「7貫も食べたらお腹一杯になるよ」

「やっぱり神保町はタクシーの運転手さんが多いですか?」
「そうだね、ここに来れば何でもあるし、安くてうまいから。あっ、でもこれから行く『月よし食堂』もいいよ。おかずの種類が凄く多くて、サバ焼きとかメンチカツとか、とにかくいっぱい。マグロぶつなんて絶品だし、カレー汁ってのもあるな」
「カレー汁?」
「味噌汁の代わりにカレー汁。定食食べながら、カレー気分も味わえる優れものだな、あれは」


そんなこんなで車は歌舞伎座の横を抜けていく

今から7、8年前、和田さんはテレビチャンピオン(テレビ東京)に出演した事があるという。「タクシー食通選手権」という企画で決勝まで勝ち残り、最後の最後で負けてしまったらしいのだが、何を競ったのかというと、
「大宮の自動車学校のコースを借り切って、バックでSの字を3回、Lの字を3回まわってから、ココイチのカレーを食べる訳よ。で、今食べたのは何倍の辛さでしょうか?って分る訳ないよなー。目が回って大変だったよ」

テレビチャンピオンに出る事を家族に内緒にしていた和田さん。それでも番組宣伝のCMを奥さんが偶然見てしまい、家族全員でテレビを見るはめに。
「テレビであんな事して! 今度出たら離婚だからね」
と見終わった瞬間、奥さんから怒られてしまった。

そういった離婚危機を乗り越えつつ、タクシーに乗って今年で20年。そんな和田さんがお勧めする『月よし食堂』に到着した。


ここが月よし食堂だよ タクシーがいっぱい

「ほら、タクシーがいっぱい停まってるでしょ」
通り一帯にタクシーが停まっている。
「あれ全部月よし食堂の客だよ。タクシー近代化センターの指定食堂でもあるから」

わざわざ店の前まで僕を連れて来てくれた和田さん。
「中、見てきなよ。おかずがいっぱいだから」
言われるがまま、月よし食堂の中に入ってみた。


明るい店内 100種類ほどあるおかずの中から選べる

タコ刺250円、インゲン煮200円、豚の生姜焼250円、メンチ200円、カキアゲ200円、スキヤキ200円……、とにかくどれも安い 若だんなの岡本さん(右)

いやあ、さっき天婦羅定食たべちゃったからなあ、おいしそうだけどちょっと無理だなあ。今度絶対来よう。

「前にキムタクがここで撮影したんだよ」
和田さんが自分の事の様に自慢していた。富士通FM/Vのポスター撮影がここで行われたらしい。店内にもその写真がどーんっと飾られていた。

キムタクも食べた月よし食堂。お腹が空いている時に、是非どうぞ。


ここから次のタクシーを拾い、次は「綺麗なトイレ」に連れていってもらいましょう。


 

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