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特集


はっけんの水曜日
 
三崎の朝市に、行ってみたかった

「朝市」……この、魅惑的な響き。
安くて新鮮な野菜、魚介類、華やかな売り声、素朴な人々との会話、そこでしか買えない名物、笑顔、プラプラ歩く幸せ……実際行ったことのない私には、憧れがあった。

よし、行ってみようか、朝市へ。

とはいうものの、遠出する予算はない。そこで、東京から行ける朝市は無いだろうか……? と、調べてみたら、あった、あった。
それが「三崎港」の朝市。品川から電車で一時間、バスに乗り継いで20分で行ける距離。
毎週日曜日の朝5時から9時まで開催されているという。

「都内からは、どんなにがんばって始発で行っても、7時着だなあ……前日の終電で行って、港で夜明けを待つのはどうかしら?」とも考えたのだが、キケンなのでやめた。

前日、フトンに入ってからも、起きれるか心配で心配で、結局、徹夜。

じゅうぶんに支度する時間はあったのに、なぜかアセって右目にコンタクトが入らず、
「もういいやっ片目装着で出かけちゃえっ」
ぼやけた視界のまま、家を出た。電車に乗る。不安だ……。

(text by 大塚幸代


始発電車には、「遊び疲れて辛い」人か、「これから出かけるのに朝早くて辛い」人の2種類が乗っていた。

山手線内は奇妙に静か。新宿から乗ってきて、私の隣に座ったギャルのヘッドフォンから、音楽がもれて聞こえていた。彼女はミュールをはいていて、きれいに塗られた爪が長くのびていた。「しかし、夜遊び帰りの女の子と、朝市に行く私が隣り合わせてるなんて、ちょっと不思議よね…」

品川到着。まだ5時代なので、キオスクも何もやっていない。立ち食いウドンのツユの匂いがするのだが、見ると「6時30分から開店」との張り紙。……そういえば、昨夜から何も食べていない。
とりあえず、トイレでもう片方のコンタクトを装着する。

同行してくれる友人・タカセさんから電話が。
「もしもし、京浜東北線のホームにいるんですけど、どこにいますか?」
「いや、いや、勘違いしてますよ、乗るのは京急ですよ、赤い電車の」
「………ええええええっ ガチャッ ツーツーツーツー」
電話は切れた。しばらくして、彼女の姿が改札に見えた。なぜか自動改札に、ガッチャン、ガッチャンとひっかかっていた。
「おうい、こっちですよう」




なんとか特急に乗り込む。席はほぼ埋まっていた。釣り道具を持った男の人たちが、とても多い。




「特急の始発、こんなことになってたんですね」
「釣りのおっちゃんら、やたらテンション高いですよ。さっきもホームで、『俺、オシッコいってくるー!』とか会話してて、まるで男子高校生でしたよ」
「楽しくてしょうがないんですよ、きっと」
「それにしても、おなかすきましたね」
「ねえ……」




50分ほどで、三崎口に到着。

降りる人はたくさんいたのだが、「朝市に行く!」という雰囲気の観光客は、ぜんぜん見当たらない。




バスも貸しきり状態だ。

「ほんとに朝市、やってるんですかね?」
「不安になってきましたよ」
「それにつけても、おなかがすきましたね……」

「三崎港」で降りる。バスは最初から最後まで、私たち以外には、乗る人も降りる人もいなかった。




「がらーん、と、してますけど……」
「それにしても、朝市、どこでやってるんだろう?」
「まさか、今日はやってないんじゃ……」
「いや、のぼりが出てますよ」




確かにのぼりが。

しかし、人陰がない。時間がない。あせって歩きまわる。おばあさんに道をきく。

「あー、あっちでやってますよ〜」

おばあさんが指を差した方向には「朝市 無料駐車場」があった。歩いていくと、人の気配がどんどんしてきた。




人の流れが見えたとたん、イカを焼く、激しい匂いがした。

「あっイカだ!」
「イカ専門店だ!」




とりあえずイカだんご購入。



 

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