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とくべつ企画
 
ローメンの真実

長野県伊那市だけに「ローメン」という独特の麺類がある。

いま地域限定のメニューは町おこしに使われたり、行ってみたらそれ目当ての観光客が行列していたり(香川の有名うどん店の手前では車が渋滞しているという)、大変なことになっている、ことが多い。

ローメンはどうなんだろう。B級グルメ界では割と知られたローメンを食べてみました。(林 雄司)

昭和30年に考案されたそうです。

手前に発祥の店が

すごい焼酎がある

ローメン

街の飲食店の看板。サザエさんとマスオさん?

店内は強壮トーン

飯田線伊那市の駅から10分ほど歩くと小さな歓楽街がある。風俗店やパチンコ、飲食店が集まっている。その一角に「ローメン発祥の地」という石碑が立っていた。

石碑から1軒はさんだ隣の店が「ローメン」を考案した中華料理「萬里」である。ちなみにそのあいだの1軒は「火鍋ローメン発祥の店」である。へー。

店に入ってローメンを注文する。ローメンが来るまで店内を見ていると、

・オットセイのペニスとコウ丸漬け
・マムシ・ニンニク・すずめ蜂漬け
・コブラと肝臓漬け

見てるだけで鼻血が出そうな焼酎の瓶詰めがあった。メニューも生肉の刺身が充実していたり、全体に精力がつきそうなものが多い。まあ、中華料理ってそういうものかもしれないし…。

 

手触りのある懐かしい味

ローメンが運ばれてきた。麺が堅くないあんかけやきそばのようだ。麺が独特。あげる前の固焼きそばというか、表面がざらざらしているソフト麺のような、はじめて食べる食感である。

上に乗っているあんかけ的なものの具は主にキャベツ、きくらげ、ラム肉。そう、肉がラムなのだ。マトンではなくラム。子羊ではなく、おとな羊だ。独特の風味がある。

あんかけ、と呼んだけど、特にとろみはない。甘いのかしょっぱいのか、どちらにでもとれる味だった。テーブルの上の調味料でお好みで味を付けてくださいと書いてあった。なるほど。

 

町おこしにひと役買わない味

地方のB級グルメは万人向けの味にされて東京で売られたりするが、このローメンにはそうではない荒々しさを感じた。

水戸黄門でうっかり八兵衛が土地の名産品を食べることを楽しみにしているが、江戸時代だとそこでしか食べられないものがあって、八兵衛が楽しみにするのも無理はない。

このローメンはここでしか食べられない味である。うっかり八兵衛の楽しみを体験できるメニューだ。

なんて力んで書いたけど、伊那市のバスターミナルでおみやげローメンが売ってました。なんだよ。

 

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