ひまわりの背中を見ながら、10年前を思い出す。
初恋の彼とは、生まれて初めてのお付き合いのようなものをした。でも、「彼女」にはしてもらえなかった。人に「彼女です」と紹介してもらえない、というヤツだ。
そのうち、彼は本命の、素直で可愛らしい年下の美少女をいとめて「彼女」とした。それでも私は諦めきれず、彼の秘密の2号さんとなった。
夏休みのサークルの集まりなんかに、彼らが皆の前で自転車二人乗りで現れたりするたびに、私の胸はムギューと痛んだ。韓国ドラマばりに、ひとり泣きながら道に倒れ込んだこともある。
それは卒業まぎわまで続いた。
彼と、とある企業の就職試験で一緒になったことがあった。彼は「難しくてわかんないや、諦める」と言って途中退出したのだが、彼はその試験に受かり、私は落ちた。
同学歴同年齢だったので、私が落ちるなら、試験放棄した彼も落ちるはずだった。「あーこれが差別ってやつなのか……」と初体験したのも、彼のおかげであった。
「なんで私じゃ駄目なのか、女として生きるってどういうことなのか、女としての才能がないと駄目なのか……」というのを、いつも考えていた。
今思えば「そんな面倒くさい女、そりゃ嫌だよなー」とは思う。
風の噂によれば、彼は大企業にあっさり就職して、結婚して、今年子供が生まれたらしい。
私は就職出来ず、今もプーのような生活をしている。
ついでに言うと今まで、お付き合いした人の故郷に連れて行ってもらったことは1回もない。
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