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特集


ロマンの木曜日
 
となりの自由研究
フンの模型をつくる
先日、「夏休みの自由研究が終わっていない子供募集」という募集をかけさせていただいた。急な募集にも関わらず沢山のご応募をいただき、ありがとうございました。
すべてお手伝いしたかったのですがそうもいかず、今回は1件だけお手伝いさせていただいきました。伺った先は「生き物のフンの模型を作りたい」という小学校6年生の男の子。
夏休みが終わるまであと少し。そんな焦りに包まれながら、フンの模型を作ってきました。

(text by 住正徳



中学生の頃にもらった自由研究の賞状
土屋君のおじいさんが経営する理髪店「イーグルハウス」が作業場
今回の主役、土屋君。小学校6年生
製本された研究結果
フンの実物の標本
土屋君にプレゼン。34才と12才のガチンコ勝負

土屋君の自由研究、生き物のフンの模型作りを手伝う

いきなり自慢話になってしまい恐縮ですが、僕は中学生の頃、夏休みの自由研究で表彰さた事がある。
「ミミズと植物の成長についての研究」というテーマで、ミミズのいる土、化学肥料入りの土、普通の土という3種類の土でカイワレ大根の成長スピードを比較した。良い子、悪い子、普通の子みたいな研究だが、それが担任の目にとまり、学校代表としてコンペに参加した。その結果、神奈川県と読売新聞から日本学生科学賞という賞をもらった。

中学生活最後の夏、観察の為に必要なミミズを調達するため川崎の祖父の家に行った。真夏の日射しが照りつける中、祖父と一緒にミミズを探した。20匹以上捕まえてネスカフェの瓶に入れて帰ってきた。
今から7年前、祖父は他界してしまったが、今でもあの日のミミズ捕りは鮮明に覚えている。僕の中で夏休みの自由研究といえば、祖父とネスカフェとミミズだ。

そんな「モノより思い出」な夏休みを演出したい。
という訳で「夏休みの自由研究が終わっていない子供」を募集した。

しかし8月も後半、まだ自由研究が終わっていない子供なんていないかもしれない。
そんな不安をかき消す様に、「まだまだこれから」というお子さんを抱えるお母さんたちから、たくさんのご応募をいただいた。

検討の結果、渋谷区にお住いの土屋君(小学校6年生)の研究を手伝わさせてもらう事にした。以下は土屋君のお母さんからのメール。
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手伝って欲しいのは昆虫およびナメクジ、カエルなどのフンの模型作りです。全16種類。紙粘土で制作し、絵の具で色をつけます。ちなみにフン採集と顕微鏡で見たイラストは終わっています。よろしくおねがいします!
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フンの模型作り。グラッときてしまった。

お手伝い当日お母さんはお仕事があるので、僕と土屋君の2人で作業する事になった。
土屋君のおじいさんが経営する理髪店「イーグルハウス」が作業場だ。

作業を始める前に、既に終わっている研究を土屋君が見せてくれた。採集したフンをイラスト化したものに説明を加え製本したものと、フンの実物を標本にしたもの。どちらも良く出来ている。

「凄いよコレ。もう出来てるじゃん」
「うん」
「これだけじゃ駄目なの?」
「うん、やっぱり模型も作りたいし…」

そうだね、これに模型まであったら完璧だよ。がんばろう。

しきりに照れている土屋君は、大人びた表情と子供っぽい仕種が入り交じっていた。
自分が小学校6年生の頃を思い出そうとした。小学校6年生ってどんな事を考えているのだろうか?
うまく思い出せなかったので、とりあえず土屋君にデイリーポータルの本「おとなの自由研究」をあげて、僕が中学生の時にもらった賞状を見せた。

この人だったら手伝ってもらっても大丈夫。そう思ってもらう為のプレゼンテーションだ。


 

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